クロマニョン人
別表記:クロマニヨン人
英語:Cro-Magnon man
「クロマニョン人」とは、南フランスのクロマニョンで初めて化石が発見された、原始の人類(化石人類)の呼び名である。およそ4万年から3万年前に出現したと推定され、現生人類(ホモ・サピエンス)の直接の祖にあたる化石人類と考えられている。
「クロマニョン人」の詳細
クロマニョン人は、1868年に、フランスにあるクロマニョンの洞穴で化石として発見された。鉄道工事のさかなに偶然に発見されたという。発見地にちなんでクロマニョン人と名付けられた。その後、周辺各地でも発見されている。クロマニョン人の存在の形跡は、化石だけでなく、さまざまな道具や装飾壁画などの形でも発見されている。発見された道具から、クロマニョン人が主に狩猟をして生活をしていたと考えられる(農耕は必要性がなかったため行わなかったと考えられている)。
クロマニョン人の狩猟は、石を加工した石器や、動物の骨や角などが用いられていた。投げ槍や弓矢のような高度な武器も使用されたと考えられている。高度な狩猟技術を持っていたため、マンモス等の大型動物を狩ることもでき、その効率的な狩りによって長期にわたって絶滅を免れたとされる。
クロマニョン人は、高度な文化を持っていたことも知られている。たとえばフランス南西部のラスコー洞窟や、スペインのアルタミラ洞窟には、クロマニョン人が描いたとされる壁画が見つかっている。
「クロマニョン人」の語源・由来
「クロマニョン人」の「クロマニョン(Cro-magnon)」は、南フランスにある洞穴遺跡の名称である。最初にクロマニョン人の化石が見つかった地である。余談だが「北京原人」も北京郊外の洞穴で初めて発見されたため「北京」の名を冠する。「ネアンデルタール人」も、化石が見つかったドイツのネアンデル谷(Neandertal)に因む名称である。
「フタバスズキリュウ」は福島県の双葉層群から見つかったことに因み、「チバニアン」は千葉県市原市の地層が定義上の国際標準と認定されたことに因む。
「クロマニョン人」と「ネアンデルタール人」の違い
いわゆる化石人類としては「クロマニョン人」と並んで「ネアンデルタール人」の名もよく知られている。「クロマニョン人」と「ネアンデルタール人」は、第一に地上にいた時期が異なる。ネアンデルタール人の方が古い。ネアンデルタール人が生きていた主な時代は約40万年前~4万年前頃とされ、他方クロマニョン人は約4万年前~1万年前頃に生存していたと考えられている。
「クロマニョン人」と「ネアンデルタール人」は、古人類学上の区分も異なる。つまり、それぞれ別の人類と位置づけられる。一般的には、ネアンデルタール人は「旧人」に区分され、クロマニョン人は「新人」に区分される。
両人類の主な活動年代を見ると、ネアンデルタール人の衰亡と同時期に入れ替わるようにしてクロマニョン人が登場するかのようでもある。ただし、ネアンデルタール人はクロマニョン人の祖先ではない。生物学的な繋がりはないと考えられている。両人類が直接衝突し、クロマニョン人が駆逐する形でネアンデルタール人を絶滅に追いやったとする説もあるが、異説も多い。約4万年前にネアンデルタール人とクロマニョン人が共存していた時期があった可能性もある。
「クロマニョン人」と「ホモサピエンス」の違い
「クロマニョン人」と「ホモサピエンス」は、区分の粒度が異なる。ホモサピエンスは、クロマニョン人を含む「新人」全般を指す言葉である。クロマニョン人も現生人類も含む。
クロマニョン人は、ホモサピエンスの最初期に登場した人類を特に指す呼称である。
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