黒竜蝨
クロゲンゴロウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/04 07:07 UTC 版)
クロゲンゴロウ C. brevis (Aubé, 1838) は日本(本州・四国・九州)・中国・朝鮮半島に分布する種である。 体長20 - 25ミリメートル(mm)で背面は光沢を伴う緑色 - 黒褐色である。頭部はかなり密に点刻され、頭楯・上唇は黄褐色から赤褐色で、前頭両側に浅いくぼみがある。前胸は小さな点刻としわをまばらに備え、前縁部にやや密な点刻横列を有する。上翅には3条の点刻列を有し、翅端前方には小さな黄褐色紋があるが、個体によっては不明瞭である。触角・口枝は黄褐色から暗褐色、前脚・中脚は黄褐色から赤褐色、メスの前跗節・腿節基半・中跗節は暗色、後脚は暗褐色で、転節と脛節基半は赤褐色である。腹面は黒から暗赤褐色で、腹部第3 - 4 節の両端に黄褐小紋を具え、オスの交尾器中央片は単純で、先端部は小さく突出する。 水生植物の豊富な浅いため池・放棄水田・水田脇の堀上などに生息するが、ゲンゴロウとは異なり繁殖期以外の季節でも休耕田・堀上など浅い水域で生息していることが多い。幼虫は5月 - 8月に見られ、新成虫は8月 - 9月に出現し成虫で越冬する。 危機的状況にある種が多いゲンゴロウ属の中では最も多く見られる種類であるが、本種も2018年現在は準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)に指定されており、都府県レベルでも多くの地域で絶滅危惧種・準絶滅危惧種に指定されている。ゲンゴロウが絶滅しても本種が残存しているような生息地も多いが、本種もまたゲンゴロウと同様の生息環境が不可欠であるため、ゲンゴロウが生息できない環境では本種も安泰ではない。 飼育下における成虫寿命は2年 - 3年程度で、本種をタガメの飼育水槽でタンクメイトとして混泳させるとタガメが食べ残した魚などの死骸をきれいに食べてくれる場合がある。また小型水槽で飼育していても濾過装置を使用して複数個体を飼育しているとオモダカ類・フトイなどの茎内部に産卵し、いつの間にか幼虫が泳いでいる場合がある。なおゲンゴロウほど泳ぎは上手くなくゆっくりと泳ぐため、飼育時の水深は15 - 30センチメートル(cm)程度が推奨される。蛹室の直径は約22ミリメートル・幼虫上陸 - 蛹化までの前蛹期は5日 - 8日程度、蛹化 - 羽化までの蛹期は7日 - 11日程度である。
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