トビイロゲンゴロウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/04 07:07 UTC 版)
トビイロゲンゴロウ C. sugillatus (Erichson, 1834) はクロゲンゴロウに近似した種で、日本国内では南西諸島に分布する。 体長18 - 25ミリメートルでクロゲンゴロウと似ているが、体形はクロゲンゴロウよりやや細い卵型で、背面は緑色か黒褐色で光沢がある。頭部は細かく極めてまばらな点刻があり、頭楯は黒く、上唇は黄褐色から赤褐色で、前頭両側と複眼内縁部に浅いくぼみがある。前胸は前縁部と側縁部にやや密な点刻の列があるが、クロゲンゴロウよりまばらで、上翅にはクロゲンゴロウ同様3条の点刻の列があるが、個体差があるが前胸背側辺がオレンジ色(黄褐色)がかっている。触角・口枝は黄褐色から暗褐色、前脚・中脚は暗赤褐色、オスの前跗節・前転節・中転節・腿節はやや淡い色で、後脚は暗褐色である。腹面は黒から暗赤褐色で、腹部第3節及び第4節の両端部に黄褐色の小さな紋があり、後胸腹板外方にはクロゲンゴロウよりかなり目立つしわがある。オスの交尾器中央片は先端部が細長く伸び、クロゲンゴロウとは大きく異なる。 日本国内では南西諸島に分布し、海外では台湾・中国・東南アジア・ネパール・インド・スリランカ・チベット・フィリピンに分布する。水生植物の多い池沼・放棄水田・堀上などに生息する。 ゲンゴロウ・クロゲンゴロウの関係と同様に本種は「以前はフチトリゲンゴロウ・ヒメフチトリゲンゴロウが生息したが環境が改変された」場所でも比較的長く観察できる場合があり、まだ多産地も多いが生息地が南西諸島に限定されているため楽観視はできない種である。沖縄県レッドデータブックでは準絶滅危惧種に指定されている。活発に活動する種であり、冬季は15℃以上の水温を維持すれば飼育・繁殖とも容易な種である。 中国華南地方・東南アジアでは普通種で、華南地方では同じ普通種であるフチトリゲンゴロウなどとともに食用として利用されているが、近年は減少傾向にある。
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