クイーンズ・パーク及びワトフォードへの延伸 1911年–1917年
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「ベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道」の記事における「クイーンズ・パーク及びワトフォードへの延伸 1911年–1917年」の解説
1907年、ロンドン・アンド・ノースウェスタン鉄道(英語版)(英語:London and North Western Railway、LNWR)は、既存路線に並行してハートフォードシャーのワトフォード・ジャンクションとキルバーンのクイーンズ・パークの間に電化複線を建設、クイーンズ・パークから先はユーストン終点までの既存線の下に地下線を建設する計画の認可を得た。ユーストンの地下には延長1,450-メートル (4,760 ft)のループ線を建設するものとされた。 ロンドン・アンド・ノースウェスタン鉄道は1909年に地上区間の工事に着手したが、1911年までには地下区間の建設を断念し、クイーンズ・パークからロンドン中心部まで3つの電化路線を新設することを提案している。最初の路線はユーストンまでの既存線の電化、2つ目の路線はチョーク・ファーム(英語版)でノース・ロンドン鉄道に接続して シティ・オブ・ロンドンのブロード・ストリート駅(英語版)まで乗り入れるもの、3つ目の路線はベーカールー・チューブをパディントンからクイーンズ・パークまで延伸させて接続するものだった。 パディントンまでの延伸線がまだ完成していない1911年11月にロンドン電気鉄道はクイーンズ・パークへの延伸案を議会に提出した。この延伸案では、パディントンから北進した路線はリトル・ベニス、メイダ・ヴェールを通過した後北西に向きを変えてキルバーンに到達、そこから西にロンドン・アンド・ノースウェスタン鉄道の路線と平行に進み、クイーンズ・パークのすぐ東で地上に出る。途中、ワーリントン・アベニュー、クリフトン・ヴィラスとクリフトン・ガーデンズの交差点にワーウィック・アヴェニュー、 エルジンとランドルフ・アベニューの交差点にメイダ・ヴェール、ケンブリッジ・アベニューにキルバーン・パークの3駅が予定された。ロンドン・アンド・ノースウェスタン鉄道はロンドン電気鉄道に年利4パーセントで8842万ポンドを融資し、延伸を支援した。路線案は1912年8月7日に1912年ロンドン電気鉄道法として国王裁可された。 パディントンからクイーンズ・パークまでの区間の工事進捗は第一次世界大戦の勃発により遅れ、1915年初頭に工事完了をみた。パディントン同様に、新設された3駅にはエスカレーターが設置された。メイダ・ヴェールとキルバーン・パークの駅舎は既存路線と同様レスリー・グリーン設計のスタイルを踏襲したが、エレベーターの駆動装置を収納する必要がなくなったことから、2階部分がないものとなった。ワーウィック・アヴェニュー駅には既存の地下道からアクセスするものとされた。ロンドン・アンド・ノースウェスタン鉄道はベーカールー・チューブの乗り入れに備えてクイーンズ・パーク駅を改築、変電所と車両基地2か所をクイーンズ・パーク駅周辺に建設した。 駅の工事が遅れたため、クイーンズ・パーク駅までの延伸線開業は線路完成のしばらく後となった。 ワーウィック・アヴェニュー、1915年1月31日開業 メイダ・ヴェール、1915年6月6日開業 キルバーン・パーク、1915年1月31日開業 クイーンズ・パーク、1915年2月11日開業 ロンドン・アンド・ノースウェスタン鉄道はクイーンズ・パークから北へウィルズデン・ジャンクションまでの新線を1912年から1913年にかけて建設し、途中にハールズデン(英語版)、ストーンブリッジ・パーク、ノース・ウェンブリー(英語版)、ケントン(英語版)及びヘッドストン・レーン(英語版)の5駅を設けた。新線はベーカールー・チューブがクイーンズ・パークまで延伸された1915年5月10日に営業運転を開始、 1917年4月16日にベーカールー・チューブの乗り入れ区間がワトフォード・ジャンクションまで延長されている。クイーンズ・パークから北では、ベーカールー・チューブは以下の駅に停車した。 ケンサル・グリーン(英語版) ウィルズデン・ジャンクション ハールズデン(英語版) ストーンブリッジ・パーク サドベリー方面ウェンブリー (後のウェンブリー・セントラル) ノース・ウェンブリー(英語版) ケントン(英語版) ハーロウ&ウィールドストーン ヘッドストン・レーン(英語版) ピナー・アンド・ハッチ・エンド)(英語版)(後にピナー方面ハッチ・エンドを経てハッチ・エンドに改名) カーペンダーズ・パーク(英語版)、1919年5月5日開業 ブシー・アンド・オクセイ(英語版) (後のブシー) ワトフォード・ハイ・ストリート(英語版) ワトフォード・ジャンクション クイーンズ・パークへの延伸にあたり、ロンドン電気鉄道はブラシュ・トラクション(英語版)とリーズ鍛造(英語版)に合計14両の電車を発注して増備するとともに、グレート・ノーザン・ピカデリー・アンド・ブロンプトン鉄道の予備のゲート形電車を転用している。14両の新車、1914形電車(英語版)は、ロンドンの地下鉄車両として初めて、従来の車両端の扉に加えて車体中央部に客用扉を装備した車両である。ワトフォードへの延長運転にあたっては、ロンドン電気鉄道とロンドン・アンド・ノースウェスタン鉄道はメトロポリタン客貨車製造は72両の新車を発注した。新車の落成は戦争の影響で遅れたため、納入までの間ベーカールー・チューブはセントラル・ロンドン鉄道がイーリング・ブロードウェイへの延伸用に増備したものの、工事の遅れにより余剰となっていた1915形電車(英語版)を借り入れるとともにゲート形電車をグレート・ノーザン・ピカデリー・アンド・ブロンプトン鉄道から追加転用して充当した。ワトフォード乗入用に製造された車両は、ロンドン電気鉄道とロンドン・アンド・ノースウェスタン鉄道が共同で保有したため、ワトフォード・ジョイント形電車(英語版)と呼ばれた。この電車は誤乗防止のため、ロンドン・アンド・ノースウェスタン鉄道標準の緑の車体色で1920年から営業運転に投入された。
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