カレワラのワイナミョイネン
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「ワイナミョイネン」の記事における「カレワラのワイナミョイネン」の解説
19世紀の伝承研究家の中で最も有名なカレワラの著者エリアス・リョンロートは、ワイナミョイネンの神話的な背景に異論を唱え、彼が9世紀ごろに実在した古えの大英雄であり、影響力を持つシャーマンだったと主張した。リョンロートは人間離れした特徴をワイナミョイネンから奪い、リョンロート自身が発案した原初の女神イルマタル(英語版)にその属性を与えた。リョンロート版のカレワラでは彼女が海を漂っている間にカモが彼女の膝の上に産卵する。ワイナミョイネンは大地が出来るまでの730年間母の胎内にいたため、産まれたときから年相応の知恵を持っていた。太陽と月と熊(おそらくは大熊座であると考えられる)に祈りを捧げ、彼はようやく母胎から逃れ海へと落ちた。 ワイナミョイネンは混沌を秩序立ったものにしてカレワ(英語版)の国を作り出した「永遠の吟遊詩人」として紹介されている。そしてカレワではワイナミョイネンは北隣にあるポホヨラから妻をカレワの国に迎えようとする。彼らは最初ポホヨラの人々から好意的に迎えられたが、後に敵意をもって扱われるようになった。これはイルマリネンが作った魔法の創造物サンポの製作と盗難に起因していた。サンポ奪還の際に起こった戦いで、サンポはばらばらになり、世界中に散らばって行方がわからなくなった。 ワイナミョイネンは向こう見ずなヨウカハイネン(英語版)を魔法の歌で沼に沈めた。彼はまた巨大なカマスを仕留め、あごの骨から魔法のカンテレを作り出した。 ワイナミョイネンは最後には衰えた。第50章カレワラ最後の詩、乙女マリヤッタの物語では乙女が漿果(くだもの)を食べた後に子を宿し男の子を産むが、この赤子を尋問し裁くためにワイナミョイネンが訪れた。そしてワイナミョイネンは自然の摂理に反して産まれた子は殺すべきだと判断した。しかし生まれてからほんの2週間の新生児は老賢者がヨウカハイネンの妹、乙女アイノ(en:Aino)を溺死せしめた過失をたしなめた。この後赤子は洗礼を受け、カレリアの王に指名された。敗れたワイミョイネンは海岸へいき、人間の領土から船出するため歌を歌って銅の小舟を作った。彼は最後に再び彼の力と技術が必要になった時は必ず戻るという約束の言葉を残した。50章目の詩の主題はフィンランドへのキリスト教伝来と、その結果生じた古い異教信仰衰退の歴史である。この主題は叙事詩では一般的なもので、アーサー王伝説の中にもアーサーがアヴァロンへ旅立つ時に同様の約束をしており、ここでもイエス・キリストの再臨が繰り返されている。なお1888年にジョン・マーティン・クロフォードが翻訳した最初の英語訳ではワイナミョイネンの名前は英語表記の「Wainamoinen」になっていた。
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