オオバナミズキンバイ
北米南部から南米を原産地とする、アカバナ科チョウジタデ属の水草の一種。繁殖力が強く、日本では侵略的外来種として知られている。
オオバナミズキンバイは、従来日本国内では見られなかった種であり、和名も与えられていなかった。2007年に兵庫県加西市で初めて野外環境への逸出が確認され、2008年に定着の実態が正式に論文発表されるとともに、現在用いられている和名が与えられた。滋賀県の琵琶湖では、2009年にオオバナミズキンバイの定着が初めて確認されてから、2012年までの3年間に、生息域が10倍以上に増加したことが報告されている。主な生息域である琵琶湖の赤野井湾は、琵琶湖の中でも特に汚染度の高い水域といわれており、オオバナミズキンバイの爆発的増殖は、汚濁に伴う富栄養化が原因と見られている。
オオバナミズキンバイは生息域の拡大とともに他の水草を駆逐していることが確認されており、生態系への影響が懸念されている。また、オオバナミズキンバイの近縁種に、在来種で絶滅危惧種のミズキンバイやケミズキンバイがあるが、それらの間で交雑が起こる可能性があり、遺伝子汚染(遺伝子浸透)の問題も危惧されている。
滋賀県や守山市は、オオバナミズキンバイの特定外来生物指定による駆除の法的根拠確立に先立って、早期から駆除方法や堆肥化などの対策を検討し、琵琶湖からの根絶を目指してきた。2013年12月現在、環境省はオオバナミズキンバイの特定外来生物指定を予定していると報じられている。
関連サイト:
侵略的外来水生植物 オオバナミズキンバイからまちを守ろう - 守山市
オオバナミズキンバイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/02 21:14 UTC 版)
オオバナミズキンバイ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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L. grandiflora subsp. grandiflora
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Ludwigia grandiflora subsp grandiflora |
オオバナミズキンバイ(大花水金梅、Ludwigia grandiflora subsp grandiflora)は、アカバナ科チョウジタデ属の水生植物。
概説
岸辺から水面に沿って横方向に茎と葉が伸び、厚みがある群落を形成する。葉や茎の切れ端からも成長でき、焚き火跡から発芽するほど乾燥・熱に強い[2]。
日本国内での繁殖と被害
上記のように繁殖力が強いため、自然に分布していなかった地域に侵入した場合、生態系への悪影響が大きい。在来水生植物の生息域を脅かすだけでなく、群落が水底への日光を遮るため、水生動物の生息環境も悪化させる。日本のような稲作地帯では水田への侵入や、排水設備の周辺で繁茂することによる水害リスクも懸念されている[2]。
日本では、観賞魚を飼う水槽用に移入されたと推測されている。2005年、和歌山県日高川町で最初の野生繁殖が判明した[2]。2007年には兵庫県加西市のため池で野生化していることが確認された[1]。2009年には琵琶湖の赤野井湾(滋賀県守山市)でも見つかり、琵琶湖でも急速に拡大した[1]。2017年に野生化が確認された手賀沼(千葉県)では、同じく外来種であるナガエツルノゲイトウとの混成群落が形成されている[2]。
2014年(平成26年)6月には特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づく特定外来生物に指定され、栽培・保管・運搬などが禁止された[3]。
大規模な群落を駆除する場合には重機で掘り出し、再生源となる茎や葉の切れ端をネットで回収し、人手で仕上げることが必要となる[2]。
脚注
- ^ a b c 〜新たな水生外来生物「オオバナミズキンバイ」の駆除活動に参加しました〜 水資源機構琵琶湖開発総合管理所、2017年1月18日閲覧。
- ^ a b c d e 長辻象平【ソロモンの頭巾】最凶の外来水生植物が拡大中『産経新聞』朝刊2018年10月17日(オピニオン面)2018年10月18日閲覧
- ^ オオバナミズキンバイを持ち帰らないで滋賀県草津市、2017年1月18日閲覧。
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