ADSL
「ADSL」とは、一般のアナログ電話回線を使用して提供するブロードバンドインターネット接続サービスのことを意味する表現。
「ADSL」とは・「ADSL」の意味
「ADSL(エーディーエスエル)」とは、Asymmetric Digital Subscriber Lineの頭文字をとった略称で、一般のアナログ電話回線を使用して提供するブロードバンドインターネット接続サービスのことである。日本では2000年代前半に普及した高速デジタルデータ通信技術だ。ツイストペアケーブル通信線路で高速デジタルデータ通信を行う技術を「DSL」と呼び、ADSLは複数ある「xDSL規格」の1つである。インターネットのアップロード(上り)とダウンロード(下り)の通信速度が理論上同じものをSDSL(対称デジタル加入者線)、通信速度が理論上異なるものをADSL(非対称デジタル加入者線)という。ADSLの仕組みは、アナログ電話回線のうち音声通話に使用しない帯域を幅広く流用して、高速データ通信を行うというものである。ADSLでアップロードとダウンロードの速度が異なるのは、片方を遅くする代わりにもう片方の速度を速くするという利便性のためだ。利用者の多くを占める一般家庭における通常のインターネット利用では、Webサイトの閲覧などが主でありダウンロードの通信データ量が多い。そのためADSLでは、一般的にダウンロードの速度をアップロードの速度よりも高速に設定することで、利用者の利便性を追求している。
ADSLは、電話局から距離が遠くなると通信速度が落ちるという点が特徴だ。電話局からの距離を問わず通信速度が安定している光ファイバーケーブルを利用した光回線インターネットが普及するにしたがって、サービスの提供を終了する事業者も増えている。たとえば、NTT東日本・西日本の「フレッツADSL」は、2022年1月31日以前から「フレッツ光」の提供となっていたエリアでは2023年1月31日に終了し、2022年2月1日から2023年1月31日に「フレッツ光」が提供可能となったエリアでは、2025年1月31日に終了予定だ。
また、ソフトバンクが提供するADSLサービス「Yahoo!BB」は、2020年3月以降一部の地域から順次終了して2024年3月末に終了する。ソフトバンクの後継サービスには、光回線の「ソフトバンク光」と、スマートフォンと同様に無線で通信する「ソフトバンクエアー」がある。
ADSLは英語の頭文字をとった略称が名称となった単語であるため、同じようにアルファベットを組み合わせた単語と混同されやすい。たとえば、「ADHD」は「注意欠陥・多動性障害(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)」、「ASD」は「自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder)」という発達障害の名称である。また、「ALS」は「筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis)」という難病の名称であり、いずれもADSLとは無関係だ。
「ADSL」の熟語・言い回し
「ADSL」の熟語・言い回しには、関連語も含めて下記のようなものがある。ASSL終了とは
ADSLは、スマートフォンなどの高速モバイル通信サービスと、光ファイバーによる高速通信の光回線サービスが主流になるにつれ利用者が減少していることから、事業者がサービスの廃止を検討するようになった。サービス終了が決定した事業者は新規契約申し込みの受付を終了することになり、ソフトバンクの「Yahoo! BB ADSL」は2016年6月30日に受付を終了、NTT東日本・西日本の「フレッツADSL」は、2019年2月28日に受付を終了した。
サービスの提供終了が決定すると、ADSL利用者は乗り換え先を探すことになり、「ADSL終了」が話題となった。「ASSL終了」は誤入力や取り違えて生まれた言い回しと考えられるが、「ASSL」とは一般的に「Analysis Services scripting language」というスクリプト言語の一種であり、ADSLとの関連性はない。
ADSL 回線とは
「ADSL 回線」とは、一般的にADSL通信を行うインターネットサービスのことを意味する言い回しである。光回線やISDN回線など、インターネットの種類を区別する際に呼び分ける名称だ。ADSLサービスでは通常、一般のアナログ電話回線によってデータ通信を行うため、「ADSL回線」という専門の回線設備は存在しない。ただし、電話回線を持たない利用者がADSL専用として使用する回線を契約する際、アナログ電話回線と区別するために「ADSL専用回線」という呼称を使用することがある。
フレッツADSLとは
「フレッツADSL」とは、NTT東日本・西日本が提供するADSLサービスのことだ。回線契約と、インターネット接続を仲介するプロバイダ契約が別々に分かれているため、地域ごとにNTT東日本・西日本とADSL契約をした上で、別途インターネットサービスプロバイダとも契約する必要がある。
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