AdS/CFTのアイデア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 02:54 UTC 版)
「AdS/CFT対応」の記事における「AdS/CFTのアイデア」の解説
反ド・ジッター空間の重要な性質は、境界(3次元の反ド・ジッター空間の場合には円筒となる)にある。境界の重要な性質の一つは、いずれの点の周りも局所的には、重力のない物理学で使われる時空のモデルであるミンコフスキー空間のように見えることである。 従って、反ド・ジッター空間の境界によって与えられる「時空」の中で補助となる理論を考えることが可能となる。この見方はAdS/CFT対応の出発点であり、反ド・ジッター空間の境界は共形場理論の「時空」と見なすことが可能となることを言っている。この主張は、一つの理論からもう一つの理論に計算を翻訳する「辞書」があるという意味で、共形場理論がバルクである反ド・ジッター空間上の重力理論に等価であるという主張である。一方の理論の実在がもう一方の理論の中に対応する片方を持っている。例えば、重力理論での単独粒子は境界上の理論の粒子のいくつかの集まりに対応しているかもしれない。加えて、この2つの理論に関する予言は、数値的な量としても同一視できるので、2つの粒子が重力理論の中で衝突する確率が 40%であるとすると、境界上の理論でも対応する(粒子の)集まりは 40%の衝突確率を持っている。 反ド・ジッター空間の境界は、反ド・ジッター空間自体よりも小さな次元を持っていることに注意が必要である。例えば、上に図示した 3次元の例では、境界は 2次元の面である。AdS/CFT対応は、2つの理論の間の関係が 3次元の対象とそのイメージのホログラムとの間の関係に似ていることから、よく「ホログラフィック対応」として記述される。 ホログラムは 2次元ではあるが、表現している対象の 3次元の全ての情報をエンコードしている。同様に、AdS/CFT対応により関連付けられている理論は、次元の数が異なっているにもかかわらず、「正確に」等価であると予想されている。共形場理論は高次元の量子重力理論の情報を持ったホログラムのようである。
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