エンジン・吸排気系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 06:08 UTC 版)
一般的にパワーやトルクがあればあるほどドリフトはしやすくなるとされているため、過給機・インタークーラー・エアインテーク・エアクリーナー・マフラーを含めた吸排気系の改良・改造が行われることが多い。ターボチャージャーのタービンを大型化したり、インタークーラーを大型化したり、マフラーを排気効率の高いものに交換したりといったものが定番である。 特に高回転域よりも低回転のトルクを稼いだ方がドリフトのしやすさに関して有利であるため、アマチュアクラスでは極端に大きいタービンを装着することは避け、ブーストアップやポン付け可能なタービン程度の改造にとどめることが多い。一方、D1グランプリやフォーミュラ・ドリフトクラスのハイチューンマシンになると高回転でのトルクを増してタイヤから白煙を出しやすくするが、これだけではターボラグが発生し低中速域のトルクが不足するため、NOSで低中速域のトルクを稼ぎ、ターボラグを最小限に抑えるという手法がかつては定番であった。しかし、近年はNOSが使用禁止になった大会が多く、代わりにアンチラグシステムによりターボラグを抑えている車両が多い。 なお、近年のD1グランプリ車両はハイパワー化が進んでおり、通常だとかなりのハイパワーというべき500馬力クラスでも普通と言われる程である(ランキング上位選手の車両の大半が700~1000馬力級というパワーウォーズ状態になっている)。そのためベース車両が本来搭載するエンジンに関係なく、ハイパワーを狙いやすい大排気量エンジンへの換装が一般化しており、特にチューニング手法が確立され耐久性も高いトヨタの2JZ-GTEエンジンが多用される傾向にある。 ドリフト走行中は車両を横に向けるため正面に風が入りづらくなり、ラジエーターが本来持つ熱交換性能を低下させるため、エンジンがオーバーヒートしやすい。そこで、ラジエーターの大容量化、オイルクーラー設置などの対策をとる。また、近年のD1グランプリ出場車両は前述のとおり多くの車両が大排気量エンジンへ換装しているが、これによりノーマル車両に比べて車両前半部分の重量が重くなってしまう場合が多いため、前後重量配分を調整するために、ラジエーターをリアのトランク等の中に設置する、所謂リアラジエーターの車両が多い。 パワーを追求するために、排気系の触媒装置(キャタライザー)や消音装置(サイレンサー)を排除している車両も多い。しかし、このような車両は公道走行においては違法改造車となることに注意しなければならない。当初はナンバー付き車両であることが参加条件であったD1ストリートリーガル(現・D1ライツ)では触媒の装着と車検に通る音量(車検証の排出ガス規制の識別記号がE-の車両で103db、GF-の車両で96db)が必須であったほか、競技専用車で争われるD1グランプリでも、触媒の装着に加え音量がサーキットごとの規制音量以下であることが必要とされている。
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