エビのビブリオ病菌 [Vibrio panaeicida]
この病気は夏から秋にかけて多く発生し、その症状はおもに腹節筋肉が白濁し、鰓(えら)とリンパ様器官に褐色ないし黒色の斑点ができることが特徴である。病気が進むとリンパ様器官は壊死(えし)し、メラニン色素をもつ多数の細胞が現れて(黒変症)やがて死亡する。治療にはノボビオシン、オキシテトラサイクリンなどの抗生物質やオキソリン酸などの合成化学療法剤が有効で、ワクチンや免疫賦活剤が実験的に予防効果があるとされている。
原因菌は当初からビブリオ属細菌であるとされ、最近(1995年)、日本でエビの学名から新種としてビブリオ・ペナエシダと命名された。この細菌はグラム陰性、通性嫌気性で1本の鞭毛で運動する短桿菌(0.8-1.0 × 1.0-3.0μm)である。20-25℃,pH6-10,塩分1.0-3.0%でよく発育する。また、この細菌はクルマエビ養殖池に常在し、一見健康なエビも保菌しているので、環境悪化によるエビの障害や病原菌の発育条件がそろえば発病する可能性が高い。
なお、エビ以外の甲殻類では日本やアメリカでガザミにビブリオ病が発生し、アメリカでは腸炎ビブリオが死因とされたが、日本のガザミの病原菌はその種名が未定である。一方、"エビの細菌病"とよばれた敗血症の原因菌はウナギの鰭(ひれ)赤病菌と同じ運動性エロモナスであるエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)である。この細菌はヒトの食中毒細菌としても知られている。
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