ウイルスの呼称・発生地に関する争議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 15:19 UTC 版)
「中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」の記事における「ウイルスの呼称・発生地に関する争議」の解説
「武漢肺炎」も参照 2020年1月以降、流行が世界全体に拡大していくに従い、中国政府の対応への批判も多数なされるようになった。また、アメリカや日本では発生の起源を明確にするためには「武漢」の名称を入れる(「武漢肺炎」「武漢ウイルス」「武漢コロナウイルス」など)ことが適切だとする意見も出てきた。中国外務省や国営メディアは「武漢ウイルス」のような言葉が出るたび火消しに走っている。 WHOは2015年に「名称についてのガイドライン」で、新たなヒト感染症・ウイルスの名称に地理的な位置、人名、動物や食品に関する名前、特定の文化や産業に関する名前を含むべきでないとする方針を定めている。武漢でアウトブレイクが発生した新型ウイルスの名称について、WHO新興感染症対策部門のマリア・ファン・ケルクホーフェ氏は2月7日に「名称によってどの場所も連想されないようにするため、暫定の名称を付けることが重要だ」とし、「多くのメディア報道が、今もなお武漢や中国を使って呼んでいるのを皆が目にしていると思う。われわれはしっかりと汚名を着せないようにしたい」と述べた。また、WHOの感染症専門家シルビー・ブリアン氏は中東呼吸器症候群 (MERS) やスペイン風邪といった地域名などを用いた呼称も、「関連する地域や民族に汚名を着せかねないために避けるべき」としている。WHO健康危機管理プログラムのマイケル・ライアン氏も「この病気に関連付けられた汚名が着せられないように期するのはわれわれ全員の責任であり、民族に基づいた個々人に対して不必要かつ無用な人物像を描いてしまうことは、全くもって全面的に容認できない」と語った。ジョンズ・ホプキンス健康危機管理センターのクリスタル・ワトソン准教授は「正式名称がないと、たとえば人々が『中国ウイルス』などの呼称を使い始めてしまい、特定の人々に対する反感を巻き起こす危険がある」と述べた。 2月11日、WHOは新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) による疾患の正式名称を「COVID-19」に決定した。
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