ウィンザー朝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/17 03:34 UTC 版)
ウィンザー家 House of Windsor |
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王朝 | |
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主家 | ザクセン=コーブルク=ゴータ家 (ヴェッティンの分家) |
創設 | 1917年7月17日 |
家祖 | ジョージ5世 |
現当主 | チャールズ3世 |
断絶 | 2022年9月8日(男系。女系は現存) |
分家 | マウントバッテン=ウィンザー家 (認知的親族関係) |
著名な人物 | 一覧(英語版) |

ウィンザー朝(ウィンザーちょう, House of Windsor[1])は、イギリスおよびその他の英連邦王国の王朝である。1901年、ザクセン=コーブルク=ゴータ家(ヴェッティン家の分家)は、ヴィクトリア女王とザクセン=コーブルク=ゴータ公子アルバートの嫡男である国王エドワード7世の王位継承により、ハノーヴァー朝からイギリスの王位を継承した。1917年、第一次世界大戦中のグレートブリテン及びアイルランド連合王国での反ドイツ感情のために、王室の名前を、ドイツ語の英語読みのサクス=コバーグ=ゴータ家(House of Saxe-Coburg-Gotha)から英語のウィンザー家(House of Windsor)に改名し[2]、さらにそれまで王家は姓をもたなかったが、ヴィクトリア女王の男系子孫は「ウィンザー」の姓を称するものと定められた[3]。チャールズ3世からは姓はマウントバッテン=ウィンザーとなっているが、家名(王朝名)は「ウィンザー」のままである。
現在の家長は15の主権国家の君主である。該当する国はイギリス(拠点)、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ジャマイカ、バハマ、グレナダ、パプアニューギニア、ソロモン諸島、ツバル、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、ベリーズ、アンティグア・バーブーダ、セントクリストファー・ネイビスである。これらの各国の君主制に加えて、3つの王室属領、14のイギリス海外領土、および2つのニュージーランドの自由連合がある。
歴史
ウィンザー家(House of Windsor)の元の家名(王朝名)はサクス=コバーグ=ゴータ家(House of Saxe-Coburg-Gotha)といった。これはヴィクトリア女王の夫(王配)アルバートの家名(その英語形)であった。アルバートはドイツのザクセン=コーブルク=ゴータ公エルンスト1世の息子であったが、この家系からはベルギー、ブルガリア、ポルトガルの王家も出ている。
第一次世界大戦中の1917年、ジョージ5世は敵国ドイツの領邦であるザクセン=コーブルク=ゴータ公国の名が冠された家名を避け、王宮のあるウィンザー城にちなんでウィンザー家と改称し、かつ、王家は姓を用いないとの先例を覆してウィンザーを同家の姓としても定めた。そのため、1917年以降は現在の国王チャールズ3世にいたるまでをウィンザー朝と称し、かつ、その構成員(ジョージ5世の直系および存命の叔父コノート公アーサーの系統)は(必要がある場合には)ウィンザーの姓を用いる。ただし、ヴィクトリア女王の血統が断絶したわけではないので、いずれもハノーヴァー朝の継続と見なされることがある。ハノーヴァー朝以来代々の王位継承者の配偶者はドイツ人やドイツ系の王族が迎えられることが多かったが、エドワード8世がアメリカ人女性ウォリス・シンプソンとの結婚問題から退位し、代わって王位に就いたジョージ6世の妃エリザベスはグレートブリテン王国成立以降で初の同国出身の王妃となった。その孫で現国王のチャールズ3世の元の妃ダイアナ、現在の妃カミラもまた同国出身である。
なお、1960年にエリザベス2世と夫フィリップ(Philip)公の男系子孫の姓を、フィリップの家名であるマウントバッテン(Mountbatten)を反映してマウントバッテン=ウィンザー(Mountbatten-Windsor)とする枢密院令が発せられた。ただし、家名(王朝名)が変更されたわけではないため、チャールズ3世が即位した後もその王朝名は「ウィンザー(House of Windsor)」のままである[3]。
歴代君主
1917年に、家名をウィンザー家と改称。
- ジョージ5世(1917年 - 1936年)
- 1922年に南アイルランドが「アイルランド自由国」としてイギリス(グレートブリテン及びアイルランド連合王国)から分離し、1927年以後イギリスの正式国名は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」となった。正式な王号もそれに伴い改称されている。
- エドワード8世(1936年)- 退位後はウィンザー公爵。
- ジョージ6世(1936年 - 1952年)
- エリザベス2世(1952年 - 2022年)
1960年の枢密院令により、エリザベス2世の男系子孫はマウントバッテン=ウィンザーの姓を称するようになった。
- チャールズ3世(2022年 - )
肖像 | 名 | 誕生 | 在位 | 戴冠式 | 配偶者 | 崩御 | 続柄 |
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ジョージ5世 | 1865年6月3日 マールバラハウス |
1910年5月6日 – 1936年1月20日[4] (25年, 260日) |
1911年 6月22日 |
メアリー・オブ・テック | 1936年1月20日 サンドリンガム・ハウス (70歳, 230日没) |
エドワード7世とアレクサンドラ・オブ・デンマークの嫡男 |
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エドワード8世 | 1894年6月23日 リッチモンド公園 ホワイト・ロッジ |
1936年1月20日 – 1936年12月11日 (10か月, 21日) |
なし | ウォリス・シンプソン | 1972年5月28日 ルートデュシャンデントレイネメント4番地 (77歳, 340日没) |
ジョージ5世とメアリー・オブ・テックの嫡男 |
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ジョージ6世 | 1895年12月14日 ヨーク・コテージ |
1936年12月11日 – 1952年2月6日 (15年, 57日) |
1937年 5月12日 |
エリザベス・ボーズ=ライアン | 1952年2月6日 サンドリンガム・ハウス (56歳, 54日没) |
ジョージ5世とメアリー・オブ・テックの嫡男 |
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エリザベス2世 | 1926年4月21日 メイフェア ブルトン通り17番地 |
1952年2月6日 – 2022年9月8日 (70年, 214日) |
1953年 6月2日 |
フィリップ・マウントバッテン | 2022年9月8日 バルモラル城 (96歳, 140日没) |
ジョージ6世とエリザベス・ボーズ=ライアンの息女 |
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チャールズ3世 | 1948年11月14日 バッキンガム宮殿 |
2022年9月8日 – 在位中 ( 2年, 251日) |
2023年 5月6日 |
ダイアナ・スペンサー (1981–1996) カミラ・パーカー・ボウルズ (2005–) |
存命中 ( 76年, 184日) |
エリザベス2世とフィリップ・マウントバッテンの嫡男 |

系譜
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アルバート (サクス=コバーグ=ゴータ家) |
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女王 ヴィクトリア (ハノーヴァー家) |
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国王 エドワード7世 (サクス=コバーグ=ゴータ家) |
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エディンバラ公爵および ザクセン=コーブルク=ゴータ公爵家 |
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コノート公爵 アーサー (ウィンザー家) |
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オールバニ公爵および ザクセン=コーブルク=ゴータ公爵家 |
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国王 ジョージ5世 |
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マーガレット |
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アーサー |
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国王 エドワード8世 |
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国王 ジョージ6世 |
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ハーウッド伯爵夫人 メアリー |
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グロスター公爵 ヘンリー |
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ケント公爵 ジョージ |
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ジョン |
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コノート公爵 アラステア・ウィンザー |
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女王 エリザベス2世 |
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スノードン伯爵夫人 マーガレット |
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国王 チャールズ3世 |
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プリンセス・ロイヤル アン |
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ヨーク公爵 アンドルー |
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エディンバラ公爵 エドワード |
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ウェールズ大公 ウィリアム |
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サセックス公爵 ヘンリー |
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ジョージ |
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シャーロット |
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ルイ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
脚注
- ^ “The House of Windsor”. イギリス王室. 2025年4月15日閲覧。
- ^ McGuigan, Jim (2001). “British identity and 'people's princess'”. The Sociological Review 48 (1): 1–18. doi:10.1111/1467-954X.00200.
- ^ a b The Royal Family name - イギリス王室公式サイト(2024年5月28日閲覧)
- ^ ジョージ5世は、1917年7月17日に王室名をウィンザーに改めるまで、ザクセン=コーブルク=ゴータ家の一員だった。
関連項目
外部リンク
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サクス=コバーグ=ゴータ朝、ウィンザー朝 | |||||||||||
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アイルランド憲法公布による改名 | |||||||||||
アイルランド | |||||||||||
関連項目:イギリスの歴史、ウェールズの歴史 | |||||||||||
ウィンザー朝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 10:01 UTC 版)
ウィンザー朝の家系図 国王ジョージ5世 王妃メアリー 国王エドワード8世 国王ジョージ6世 王妃エリザベス プリンセス・ロイヤルメアリー王女 グロスター公爵ヘンリー王子 グロスター公爵夫人アリス妃 ケント公爵ジョージ王子 ケント公爵夫人マリナ妃 ジョン王子 エディンバラ公爵フィリップ王配 女王エリザベス2世 スノードン伯爵夫人マーガレット王女 ウィリアム・オブ・グロスター グロスター公爵リチャード王子 グロスター公爵夫人 ケント公爵エドワード王子 ケント公爵夫人キャサリン アレクサンドラ王女 マイケル・オブ・ケント王子 マイケル王子妃 ウェールズ公妃ダイアナ(1996年離婚) ウェールズ公 コーンウォール公爵夫人 ティモシー・ローレンス プリンセス・ロイヤル マーク・フィリップス(離婚) ヨーク公爵 ヨーク公爵夫人セーラ(1996年離婚) ウェセックス伯爵 ウェセックス伯爵夫人 ケンブリッジ公爵 ケンブリッジ公爵夫人 サセックス公爵 サセックス公爵夫人 ピーター・フィリップス ザラ・ティンダル ベアトリス王女 ユージェニー王女 ルイーズ・ウィンザー セヴァーン子爵ジェームズ ジョージ・オブ・ケンブリッジ王子 シャーロット・オブ・ケンブリッジ王女 ルイ・オブ・ケンブリッジ王子 アーチー・マウントバッテン=ウィンザー リリベット・マウントバッテン=ウィンザー 2021年7月現在。 黒線で囲まれている人物は故人。 国王エドワード8世は1936年の退位後、ウィンザー公爵となった。
※この「ウィンザー朝」の解説は、「イギリス君主一覧」の解説の一部です。
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