インテグレーションの手法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 14:23 UTC 版)
「システムインテグレーション」の記事における「インテグレーションの手法」の解説
垂直統合とは、 (「水平統合」とは反対に) サイロとも呼ばれる機能エンティティを作成することで複数のサブシステムをそれらの機能に応じて統合するプロセスである。この手法の利点は、インテグレーションが迅速に行われ、必要なベンダーだけが関与することである。従って、この手法は短期的には比較的安価である。一方、機能の追加や拡張を行う場合に唯一可能な実装 (システムのスケールアウト) 方法はもう1つのサイロを実装することであるため、所有コストは他の手法で見られるより相当高い。別の機能を作成するためにサブシステムを再利用することは不可能である。 スターインテグレーションまたはスパゲッティインテグレーションとは、各システムが残りの各サブシステムと相互接続するシステムインテグレーションプロセスである。統合されるサブシステムの観点から観察すると、つながり方が星に似ている。しかし、システムの全体図が提示されると、つながり方がスパゲッティのように見える。これが名称の由縁である。費用はサブシステムがエクスポートするインターフェースによって異なる。サブシステムがそれぞれ異なるインターフェース、またはプロプライエタリなインターフェースをエクスポートしている場合、インテグレーションの費用は大幅に上昇する。システムインテグレーションに必要な時間と費用は、追加サブシステムを加えると飛躍的に上昇する。機能の観点からは、この手法は機能の再利用が極めて柔軟であるため、好ましい場合が多いようである。 水平統合またはエンタープライズ・サービス・バス (ESB) とは、他のサブシステム間との通信専用のサブシステムを用意するインテグレーション手法である。この手法では、ESBに直結するサブシステム1つにつき接続 (インターフェース) 数を1つにまで削減することができる。ESBは、各サブシステムのインターフェースを別のインターフェースに変換することができる。これによってインテグレーションの費用を抑え、極めて高い柔軟性を提供することができる。システムがこの手法で統合された場合、任意のサブシステムを、類似の機能を提供するが異なるインターフェースをエクスポートする別のサブシステムに完全に置き換えることができる。これは他のサブシステムにとって完全に透過的である。唯一必要な措置は、ESBと新規サブシステム間の新しいインターフェースを実装することである。 ただし、中間データ変換の費用または責任をビジネスロジックに転嫁する費用が避けられると考えられる場合、水平スキームは誤りである可能性がある。 共通データフォーマットとは、すべてのアダプターが他のすべてのアプリケーションのフォーマットにデータを変換(英語版) し、またそうしたフォーマットからデータを変換しなければならないということを回避するインテグレーション手法である。エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション (EAI) システムは、アプリケーションから独立した (つまりアプリケーション共通の) データフォーマットを規定するのが普通である。EAIシステムは通常、データ変換サービスを提供し、またアプリケーション独自のフォーマットと共通フォーマット間の変換を支援する。これは2段階で行われる。アダプターはまず情報をアプリケーションのフォーマットからバスの共通フォーマットに変換する。続いて、変換された情報にセマンティック変換が適用される (郵便番号を市の名称に変換すること、あるアプリケーションのオブジェクトを他のアプリケーションのオブジェクトに分割/結合すること等)。
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