インテグレーションとインクルーシブの違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 15:57 UTC 版)
「インクルーシブ教育」の記事における「インテグレーションとインクルーシブの違い」の解説
フランク・ボウは、統合(インテグレーション)と「完全な包括(インクルーシブ)」の違いを強調した。インクルーシブ教育においては、少数派である障害を持った子供は、同世代の障害を持たない仲間たちと隣同士で学習する。アメリカ合衆国では、教育者が一般的な統合教育を実践するならば、アメリカ全障害児教育法の下で特別教育を受ける権利を認められる子供は、1週間のうち3分の2以上を通常学級で学習することができる。彼(女)らは、実際にずっと通常学級にいなければならないというわけではなく、作業療法、理学療法、言語療法などの応対を受けるために「取り出し」の対象になることもある。 対象的に、完全な包括の下では、個別障害者教育法の対象となる子供たちは、文字通り1日中、通常学級に在籍することになる。必要な応対は「入り込み」を通じて行われる。つまり、専門家が教室にやってきてそこで支援を行うのである。ボウは、完全な包括ではなく、統合教育が障害を持ったほとんどの子供たちにとって妥当な取り組みであると考えている。また、ボウは、知られたところでは自閉症、知能障害、難聴の子供、複合障害児など、子供たちの中には、統合教育でさえ、適切な教育を提供できないかもしれない者がいることも認識している。 しかし、スタインバック夫妻によれば、通常学級に在籍することは人権である。彼(女)らは、高等学校まで学校は障害を持ったすべての子供たちに完全な包括を提供できるように再構築するべきであると考えている。アメリカ連邦政府の教育省によれば、個別障害者教育法の実施に関する最新の調査では、該当する子供の約半数がほとんどの時間を通常学級で過ごしている。ただし、障害種別に見ると、その割合は非常にばらつきがあることが分かる。言語障害を持った子供の90%以上が包括的な教室に在籍している。しかしその一方で、通常学級に通う自閉症の子供たちは、わずか29%に留まっている。これらのばらつきは、個別障害者教育法の要求に応じたものであろう。つまり、教育的対応は、子供がどこに在籍するべきかではなく、それぞれの子供に固有な必要性によってなされるべきであるという考え方である。
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