インターネット広告における不正詐欺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 11:32 UTC 版)
「電通」の記事における「インターネット広告における不正詐欺」の解説
2016年7月、広告主であるトヨタ自動車からインターネット広告で効果が出ていないという指摘があり、社内調査で不正が発覚。電通は同年8月に外部の弁護士を含む内部調査委員会を発足し、電通とグループ会社18社がネット広告を提供した2263社に聞き取りなどの調査を実施した。 同年9月に予備調査を公表し、インターネット上に掲載する広告について契約通りに掲載しなかった上、約111社に対し広告料を不当に請求していたことが明らかにされ、この時点で不正被害は計約2億3000万円に上ると想定された。過剰請求のみならず架空請求まで行っていたが、トヨタ自動車による指摘があったにも関わらず、2000年に発覚した自動車メーカースズキへの3億円広告料不正請求・受領事件同様に、表沙汰にならない限りは電通社内内部で処理するつもりであったと指摘されている。しかし同年9月21日、英経済紙フィナンシャル・タイムズが不正問題をめぐって電通がトヨタのほか100社以上の企業と緊急の会談を行っていると報じ、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルも報道。そのため電通は記者会見を開かざるを得なくなった。 不正は主にバナー広告や動画の中で、主に年齢や検索傾向などから興味のありそうな広告を表示する運用型広告で見つかった。2016年12月に調査結果を公表する予定としていたが、調査データが膨大だったこと、女性社員の過労死事件の後は残業時間が制限されたことを理由に、予定は遅れ2017年1月に公表された。不正被害に遭った企業は96社、作業件数は997件、被害金額は計1億1482万円分。実際に広告が掲載されず架空請求が行われたのは10社・40件・338万円分であった。不正請求ないし架空請求詐欺などの犯罪に該当するという認識が欠如していたとして、およそ100社にのぼる被害企業には過剰請求・架空請求など不正請求していた代金を返金するなど、各社の要望に沿う対応をとるとした。 また、担当者が一人で出稿からレポート作成まで行うなど、ミスを隠蔽したり数字改竄が行われてもチェックする体制が整っておらず、組織全体として補う体制も不十分だったこと、ネット広告需要の急増に反して人員の補充や育成を怠った点に問題があり、国内デジタルグループ各社との連携も不足していたことが原因だとした。担当の執行役員ら17人を報酬減額処分(額面は不明)にし、これまで担当者による人力での広告掲載レポート作成から、今後は人手を介在しない自動生成システムを開発するなど再発防止に努めるとしたが、膨大な規模に上る不正請求事案に対しては見当違いな対応だと指摘されている。
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