イデア論とは? わかりやすく解説

イデア論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 19:59 UTC 版)

プラトン」の記事における「イデア論」の解説

一般にプラトン哲学はイデア論を中心に展開されると言われる最初期対話篇執筆していた30代プラトンは、「無知の知」「アポリア行き詰まり)」を経ながら、問答駆使し正義・徳・善の「単一の相」を目指し悪戦苦闘続けソクラテスの姿を描き「徳は知識である」といった主知主義的な姿勢提示するに留まっていたが、40歳頃の第一回シケリア旅行において、ピュタゴラス派交流持ったことにより、初期末の『メノン』の頃から、「思いなし」(思惑臆見doxa ドクサ)と「知識」(episteme エピステーメー)の区別数学・幾何学「魂」との結びつき明確に打ち出していくようになり、その延長線上で感覚超えた真実としてのイデア」の概念が、中期対話篇から提示されていくようになった生成変化する物質界背後には、永遠不変イデアという理想的な範型があり、イデアこそが真の実在であり、この世界不完全な仮象世界にすぎない不完全な人間感覚ではイデア捉えることができず、イデア認識は、かつてそれを神々と共に観想していた記憶留めている不滅の魂が、数学・幾何学問答通して、その記憶を「想起」(anamnêsisアナムネーシス)することによって近接することができるものであり、そんな魂が真実としてのイデア似姿エイコン)に、かつての記憶刺激されることによって、イデア対す志向愛・恋erôs、エロース)が喚起されるのだとした。 こうした発想は、『国家』パイドロス』で典型的に描かれており、『国家』においては、「太陽の比喩」「線分の比喩」「洞窟の比喩」などによっても例えられてもいる。プラトンは、最高のイデアは「善のイデア」であり、存在知識超える高原理であるとした。哲学者は知を愛するが、その愛の対象は「あるもの」である。しかるにドクサ思いなし思い込み)を抱くにすぎない者の愛の対象は「あり、かつ、あらぬもの」である。このように論じてプラトンは、存在論知識を結びつけている。 『パルメニデス』『テアイテトス』『ソピステス『政治家』といった中期終わりから後期にかけては、エレア派影響顕著になる『ティマイオス』では、この世界宇宙は、善なる製作者デミウルゴス)たる神によって、永遠なイデアを範型として模倣制作したのであることが語られる『法律』では、諸天体が神々の「最善の魂」の知性ヌース)によって動かされていることを説明する

※この「イデア論」の解説は、「プラトン」の解説の一部です。
「イデア論」を含む「プラトン」の記事については、「プラトン」の概要を参照ください。

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