イタリア以外の地域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/18 04:26 UTC 版)
2010年時点でイタリア以外の地域におけるバルベーラの栽培面積は3,500ヘクタールを超えているものの、ヨーロッパでは、スロベニアのアドリア海沿岸部プリモルスカ地方やクロアチア、ギリシャ、ルーマニアでわずかに植栽されているのを除き、バルベーラを見かけることはほとんどない。 イタリア移民の影響により、バルベーラの植栽は南米の各地、とくにアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイに散見される。バルベーラはアルゼンチンで広く栽培されており、栽培面積は2010年時点で546ヘクタールあった。栽培面積の大部分はメンドーサ州およびサン・ファン州が占め、ピエモンテ州のもののようなセパージュワインを作る生産者も存在する (ノートンなど)。 オーストラリアには1960年代にカリフォルニア大学デイヴィス校からバルベーラの挿木が輸入され、2015年時点での国内栽培総面積は110ヘクタールであった。ニューサウスウェールズ州のマジーでの栽培の歴史は長く、1974年設立のワイナリーであるモントローズのワイン醸造家、カルロ・コリーノが栽培を開始したイタリア系ブドウ品種のなかにバルベーラが含まれていた。カルロ・コリーノやトマス・フィアスキといったイタリア人醸造家が先駆者となり、イタリア系品種を栽培するワイナリーが数多く生まれた(ディ・ルッソ・ワインズ、ファースト・リッジ・エステート、スキムストーンなど)。現在では数多くのワイン生産地域でバルベーラが植栽されている。破砕量の割合ではリヴァリーナが大半 (69%) を占め、ビクトリア州のキング・ヴァレー (9%) 、サウスオーストラリア州のマクラーレン・ヴェール (4%) 、アデレード・ヒルズ (3%) 、ニューサウスウェールズ州のハンター・ヴァレー (3%) が続く。バルベーラの果実の成熟期はシラーズおよびメルローとほぼ同じで、カベルネ・ソーヴィニヨンやネッビオーロよりやや早い時期であることから、理論的にはオーストラリアのワイン生産地域の多くがバルベーラの栽培に適していることになるが、理想的なテロワールの特定には至っていない。 南アフリカ共和国の生産者たちは、マームズベリやウェリントン、パールといった温暖な気候の地域でバルベーラの栽培を始めている。 アメリカ合衆国におけるバルベーラの栽培面積は2010年時点で2,798ヘクタールあり、その大半はカリフォルニア州が占めている。バルベーラは同州に導入されて最も成功したピエモンテのブドウ品種のひとつであり、1880年代にクパティーノで栽培されたのが最初である。バルベーラはセントラル・ヴァレーで広く栽培されており、大量生産のジャグワイン(英語版) (バルクワインの一種) のブレンド用品種となっている。20世紀末以降、イタリアのブドウ品種のワインがブームになってから、カリフォルニア州のワイン生産者にもバルベーラで高品質のセパージュワインを生産しようとする者が増えた。比較的冷涼なワイン生産地域であるナパやソノマでは成功例もみられるほか、栽培の歴史の長いセントラル・ヴァレーのシエラ・フットヒルズ AVAでも複数の生産者が高い評価を得ている (ヨルバやジェフ・ランクウィストなど) 。ワシントン州では、生産者たちがバルベーラの試験的栽培をレッドマウンテン AVAやワラワラ AVA、コロンビア・ヴァレー AVAで行なっており、これらの若いブドウ樹から作られたワインは、複雑さや熟成によって引き出される力においては限られるが、イチゴのような香りのする果実味の強いワインになる。これら以外にも、バルベーラの栽培はアリゾナ州、ニューメキシコ州、オレゴン州、テキサス州にみられる。
※この「イタリア以外の地域」の解説は、「バルベーラ」の解説の一部です。
「イタリア以外の地域」を含む「バルベーラ」の記事については、「バルベーラ」の概要を参照ください。
- イタリア以外の地域のページへのリンク