アルミ合金製軽量車体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 04:55 UTC 版)
「北陸鉄道6010系電車」の記事における「アルミ合金製軽量車体」の解説
本系列の計画段階では、日本では鉄道車両向け軽合金製車体の研究は黎明期にあり、本格的な高速電気鉄道用旅客車としてはようやく1962年に西ドイツのWMD社と提携した川崎車両(現・川崎重工業車両カンパニー)が、そのライセンスの下で製作する全アルミ合金製車両の初号車として、山陽電鉄向けに車体構造材として5000番台・6000番台のアルミ合金材を混用し、溶接とリベット組み立てを併用する2000系2012-2505-2013の3両1編成を納入したばかりであった。 このような状況下で、本系列の製造を担当した日本車輌製造本店は独自の道を模索し、車体はA6063アルミニウム合金の押出形材を台枠・柱・長桁などに使用し、これらを溶接して組み上げた骨格に、表面をアルマイト処理した短冊状の波形押出形材を外板として使用するという独特の工法を開発しており、本系列はその初の実用化例となった。 この工法は製造に非常に手間がかかるためか後続が現れず本系列限りとなったが、軽合金を構造材として使用したことによる軽量化の恩恵は絶大であり、ここで得られた貴重な知見と実績はその後日本車輌製造が国鉄301系電車の担当メーカーとして川崎車輌とともに指名されるきっかけともなった。 事実、機器による重量差の出にくいクハは本系列のクハ6061の方が6000系のクハ6051よりも自重が2 t軽量化されていた。これは、装着する台車がプレス材溶接組み立てによる軽量構造の日本車輛製造ND-109Aであったクハ6051に対し、クハ6061が後述するように重い形鋼組み立て式釣り合い梁台車である日本車輛製造製D-16を装着していたことを考慮すると、車体重量については差が更に拡大する。クハ6061の装着台車であるD-16自体は心皿荷重上限16 t級で他社では普通鋼製の18 m車に装着されていた機種であるが、こうした車体の軽量化により1ランク下の15 m級車から流用した旧型台車や低出力な主電動機を使用しつつ、脆弱な軌道条件の線区で使用可能な18 m級車を実現する、という当初の設計目標は見事に果たされていたことになる。
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