アメリカ軍次期制式ライフル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/19 06:51 UTC 版)
「M16自動小銃」の記事における「アメリカ軍次期制式ライフル」の解説
M16の後継機種としては、多くの候補が提案・検討されてきた。そもそもアメリカ陸軍では、上記の通り、M16はフレシェット弾を使用する新型歩兵火器(SPIW)の完成までの暫定策としての性格もあったが、SPIWの開発は頓挫した。また海兵隊はストーナー63をM16の後継として試用したが、採用はされなかった。 1986年からは未来型戦闘ライフル(ACR)の計画が開始された。SPIWで検討されたようなAAI社のフレシェット・ライフルやH&K G11、シュタイヤー社のフレシェット・ライフル、ストーナー率いるAres社の先進個人武器システム、そしてM16A2E2が検討の俎上にのぼったが、結局いずれも多くの問題を抱えているうえに現用火器を凌駕する性能は得られないことが判明し、計画自体が中止された。 1990年代末には個人戦闘兵器(OICW)計画がスタートした。これは銃本体に連装式グレネードランチャーや電子スコープのモジュールを一体化しており、H&K社はXM29を開発していた。しかし複雑さや重量過多、予算超過が問題になり、2004年に開発中止となった。 続いて、H&K社はXM8を提案した。これは部品を交換することでライフル、カービン、コンパクト・カービン、オートマチック・ライフルに組み替えられるのがセールスポイントだったが、やはり現用火器に対する優位性が薄いとして、採用目前の2005年にキャンセルされた。 新要求仕様に基づき、現在M16を製造するFN社は、すでにアメリカ軍特殊部隊向けの導入が決定している、モジュールの組替えにより歩兵用アサルトライフルにも分隊支援火器にもなり、5.56 mmや7.62 mmといった口径のサイズの近い弾をパーツ交換で同一銃で使用するマルチキャリバー機能を備えるSCAR-L/H(Special Forces Combat Assault Rifle-Light/Heavy respectively)を提案している。 一方、H&K社もSCAR同様の口径バリエーションを備え、一部特殊部隊向けに納入実績のあるHK416/HK417で対抗する動きがある。2010年にはHK416から発展したM27 IARがアメリカ海兵隊で採用され、後に選抜射手モデルのM38 SDMRも採用された。2019年にはHK417から発展したM110A1がアメリカ陸軍で採用された。 2005年当時は次期制式ライフルが5.56 mmを踏襲するのか新弾薬の6.8×43mm SPCへ移行するのかも未決定であるため、これらの候補は6.8 mmモデルも前提に設計されていた。しかし2010年代に入ると消音性能の亜音速弾と7.62×39mm弾と同規模の威力を持つ高速弾のコンセプトを併せ持つ.300 AAC Blackout弾が特殊部隊で採用され始めた。2020年にはアメリカ陸軍が6.8 mm口径弾を使用する次世代歩兵用火器プロジェクトとしてNGSW (Next Generation Squad Weapon)を開始し、SIG SAUER社のMCX-SPEARがXM5として採用された。
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