アメリカ海軍での艦隊配備
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「原子力空母」の記事における「アメリカ海軍での艦隊配備」の解説
AECによって原子炉の開発計画が中止されたあとでも、海軍部内では、原子力空母に関する検討は継続されていた。1954年5月、艦艇用原子炉の開発を統括していたハイマン・G・リッコーヴァー少将は、攻撃潜水艦から航空母艦まで5種類の舶用原子炉の試作計画を提案して、今回はAECの承認を得ることができた。1955年末までには、空母用試作炉としてA1Wの計画が作成されており、これは1958年より運転を開始した。そしてこれらの原子炉を搭載する原子力空母そのものも、1958年度計画での建造が承認された。これによって建造された世界初の原子力空母が「エンタープライズ」である。 空母の原子力推進化は航続距離の延伸を実現すると同時に、煙突やその排煙が飛行甲板上の気流を阻害して航空機の発着に影響することもなくなった。しかし当時の技術で開発できる原子力機関の性能によって船体のサイズは制約されており、計画段階では小型の船体も検討されたほか、所定の速力を確保するために、当時としては並外れた大出力の舶用原子炉として開発されたA2Wですら8基という多数を搭載する必要があった。 上記の経緯によって「エンタープライズ」の建造は実現したものの、同艦の建造コストが高騰したこともあって、アメリカ海軍としては同艦の運用実績が蓄積されるまでは2隻目以降の原子力空母は建造しない方針とした。1963年度予算で計画されていたキティホーク級4番艦については原子力推進化が検討されたものの、コストの面からこれも断念された。その後、技術進歩によって「エンタープライズ」の原子炉8基式よりも安価な2基式が実現可能となったことや、ベトナム戦争で空母航空団の有用性が改めて意識されたこともあって、ミッドウェイ級3隻の代替艦として新型原子力空母3隻が建造されることになり、1967年度予算よりニミッツ級の建造が開始された。同級は順次に改良を重ねつつ長く建造されたが、2007年度からは大規模に改設計したジェラルド・R・フォード級へと移行した。
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