アポロ行進曲
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「ブルックナーの管弦楽曲・吹奏楽曲」の記事における「アポロ行進曲」の解説
「アポロ行進曲」(「アポロ・マーチ」とも)WAB115は長い間ブルックナーが作曲した吹奏楽曲とみなされ、つい最近までこの曲が「ブルックナー作曲」としてしばしば紹介されていた。WAB番号も付されている。しかし現在ではブルックナーの真作ではないと、ほぼ断定されている。 この作品を本当にブルックナーが作曲したのかについては、早くから、研究者の間では、疑問が呈されてきた。譜面にブルックナーのサインがない他、そもそもこれをブルックナーの作品として言及・紹介している諸文献の出典もあいまいであることが判明した。後の研究で、元々ケーレル・ベーラ(Kéler Béla)が1857年に作曲した曲であり、ブルックナーが手元にその写譜を持っていたために誤解がなされたとの説が、ほぼ断定的に論じられるに至った。ケーレル・ベーラは、ブルックナーと同じく、ジーモン・ゼヒターに学んだ作曲家である。原題は「Mazzuchelli-Marsch」。これらは、ウェルナー・プローブストが1984年に論じたものである。 なお、後述の「行進曲変ホ長調」は、ブルックナーの真作とされている。その行進曲とこのアポロ行進曲は編成が同一であるなどの相似点が見いだされる。彼自身の行進曲作曲のための研究資料として、この写譜をブルックナーが持っていたのではないかとも考えられている。 出版の経緯は不明だが、第2次全集の校訂においても、この「アポロ行進曲」は、ブルックナーの真作ではないとの注釈を記された上で、下記「行進曲変ホ長調」の付録資料として掲載される形で、出版された(1996年)。 吹奏楽曲とはいえ、現在の一般的な吹奏楽編成とはやや異なる。現在の一般的な編成に合わせた編曲譜(作曲者以外の編曲者による、例えばエリック・ライゼン編曲)も存在し、むしろそれによってこれまで広く演奏されてきた。沼尻竜典指揮大阪市音楽団によるCDは、オリジナルの編成を尊重して演奏していることを謳っている数少ないCDの一つである(ただしケラー作曲の作品として収録されている)。 変ホ長調、トリオは変イ長調。編成はフルート(変ニ調)、クラリネット(変イ調/変ホ調2/変ロ調3)、トランペット(変ホ調5/変ロ調2)、フリューゲルホルン2、ホルン3、ユーフォニアム3、トロンボーン2、チューバ2、小太鼓、大太鼓、シンバル
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