アジリティの起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/12 02:33 UTC 版)
文書で確認できる最初の犬のアジリティは、犬関連のショー(展示会)の「Crufts」で1978年に、観客を楽しませるための一種のエンターテイメント・ショーとして登場した。1977年にCruftsの組織委員のメンバーに加わったJohn Varleyが、メイン競技場で行われる「obedience競技」と「conformation競技」の間にできてしまう時間に、観客たちを(待たせて退屈させないように)楽しませることを任務として与えられた。VarleyはドッグトレーナーのPeter Meanwellに助けを求め、二人は、犬たちが生まれつき持っているスピードや敏捷性(俊敏さ)を観客に見て実感してもらうために、馬術の障害飛越競技に似た、何度も何度も犬をジャンプをさせるコースを作り出し、デモを行ったのである。この最初のデモの時にすでに、現在のアジリティ競技でも用いられ続けている障害物がいくつも登場していた。たとえば 「Over & Under」 (A-frame/tunnel combination)、 「Tyre Hoop」 (tire)、 「Weaving Flags」 (weave poles)、 「Canvas Tunnel」 (collapsed tunnel) 、「Cat Walk」 (dogwalk)などである。そのデモについては『Our Dogs』という犬関連の新聞に記事が掲載され、活字の文書として記録が残っている。(なお、そのような文書としては記録が残っていないものの、この1978年のデモ以前にもCruftsで、同様の目的(観客を退屈させない目的)でシーソーやトンネルが行われていた、と語る関係者もいる。 またさらに言えば、Cruftsショーに限らなければ、警備犬のエキシビションを各地で行っていたイギリス空軍憲兵のドッグ・デモンストレーション・チームが、トレーニングに様々な障害物を用いていた、との証言もある。)ともあれ1978年のCruftsドッグショーでのデモで、犬たちはスピード・挑戦精神・器用さなどを見事に見せ、来場したドッグ・オーナーたちの大好評を得た。ドッグ・オーナーたちは同様のデモをもっと見たくなり、また自分の犬を同様のデモに参加させたくなった。このデモのことは犬愛好家たちの間で広く知られることになり、同地域でも、英国国内でも、そして国境を越えても広まってゆき、標準化された道具(障害物)が生みだされた。1979年までに、ドッグ・トレーニング・クラブ(犬のトレーニングの同好会)のなかにはアジリティという新しいスポーツのためのトレーニングを提供するものがいくつも現れた。そして1979年12月には、ロンドンでの国際ホース・ショー(馬のショー)において、初の犬のAgility Stakes競技が開催された。1980年には、ザ・ケネルクラブ(=イギリスにある、由緒正しい、最古のケネルクラブ)が、アジリティを、認可された一連の規則ともども、公式スポーツとして認知し、同年のCruftsで、この新規則を用いてチーム・イベントとしてアジリティ競技が試行され、その年はPeter Meanwellが採点者、Peter lewisが記録者となった。 1978年の参加者たちにも含まれていたPeter LewisとJohn Gilbertがその後、ヨーロッパや世界各地へとアジリティを伝道する役割を担った。1983年にはイギリスにおける最初の全国的アジリティクラブとなる「the Agility Club ザ・アジリティ・クラブ」が設立された。
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