IADL

実用日本語表現辞典

IADL

別表記：アイエーディーエル

「IADL」とは、手段的日常生活動作のことを意味する表現である。

「IADL」とは・「IADL」の意味

「IADL」とは、手段的日常生活動作という意味で、介護・看護用語として用いられている。「Instrumental Activities of Daily Living（インストゥルメンタル アクティビティ オブ デイリー リビング）」という英語の頭文字をとった略語で、生活に不可欠な基本的な動作ではなく、買い物をしたり、公共交通機関を利用したりなど、スムーズな生活を送るのに必要となる応用的な動作のことを指す。

・「IADL」と「adl」の違い
「IADL」と「adl」は、どちらも介護・看護用語として用いられるため混同されることがある。「IADL」は掃除や料理、洗濯、買い物などのほか、金銭管理や電話対応などスムーズに日常生活を送るうえで必要な動作のことを指し、「adl」は食事や排せつ、入浴など基本的な生活動作のことを指す。「adl」は、「Activities of Daily Living（アクティビティ オブ デイリー リビング）」の略語である。一般的には、「IADL」を行うのが困難になった後、「adl」を行うのが困難になっていく。

・「IADL」の評価方法
「IADL」の評価方法は色々な種類があり、介護・看護施設において患者の状態を把握するために用いられている。代表的な評価方法としてはLawtonの尺度や老研式活動能力指標、DASC-21があげられ、中でもLawtonの尺度を採用している介護・看護施設が多い。Lawtonの尺度では、電話使用・買い物・食事の準備・家事・洗濯・移動・服薬管理・金銭管理という、自立度を測る8つの評価項目が定義されている。それぞれの項目において全て自分で判断して行えるのか、周りのサポートが必要であるのかなど、自立して行える程度をスコア化して評価する。スコアが高いほど自立度が高いという評価になり、「IADL」が維持できていることになる。

また、老研式活動能力指標を採用しているところも多い。老研式活動能力指標は、手段的自立・知的能動性・社会的役割という3つの項目で評価する。手段的自立としては、買い物や移動、請求書の支払いが自分でできるか、知的能動性では書類を書いたり書物を読んだりできるか、社会的役割では若い人と話したり相談に乗ったりなど、人との関わり合いがどれぐらいあるのかを評価し、「IADL」が維持できているかを測る。

・「IADL」が低下する原因
「IADL」が低下する原因は、病気や加齢による身体機能の低下や認知機能の衰えがあげられる。また、退職後に人との関わりや外出する機会が減ることで身体機能が衰えていったり、家族が過剰に面倒を見ることで今まで普通にできていたことができなくなったりすることが原因になることもある。身体的な衰えだけでなく、精神的な衰弱も「IADL」の原因になるといわれている。

・「IADL」の低下を防ぐには
「IADL」の低下を防ぐには、バランスの良い食事や適度な運動などで身体機能の維持を図ることが大事だとされている。筋力が落ちると自立した行動ができなくなってしまうため、簡単な運動を積極的に行うのが良い。また、脳の活性化を図るためにもデュアルタスクを取り入れるのが良いとされている。テレビを見ながらメモを取る、掃除しながら洗濯をするなど、簡単な作業を並行して行うだけで良い。2つのことを同時に行うことで、認知力の低下を防ぐことができる。そのほか、周りからのサポートを受けすぎず、できることは自分でやるという姿勢が「IADL」の低下を防ぐのに役立つ。

・「Apdkl」と「IADL」の違い
「Apdkl」と「IADL」は、アルファベットの並びが似ているため関連するワードだと思われることもあるが、字面が似ているだけで意味は全く異なる。「IADL」は手段的日常生活動作という意味であるが、「Apdkl」はシンガポールを拠点として出版物の販売やスクールの運営、貿易などを行っている企業である。

「IADL」の読み方

「IADL」の読み方は、「アイエーディーエル」である。

（2023年1月31日更新）