皮肉
「皮肉」とは、意地悪な言葉・当てこすりのことを意味する表現である。
「皮肉」とは・「皮肉」の詳しい解説
「皮肉」とは、遠回しに意地悪く非難すること、期待していたものと異なる結果に終わることを意味する表現である。直接的に非難するのではなく、遠回しに悪口を言う場合に用いられることが多い。「あなたが部長に抜擢されるなんて、他の社員はどんな仕事ぶりなの?」や、「美味しい夕食をありがとう、最近のレトルト食品は質が高いよね」などは、皮肉な言い回しの例えとしてあげられる。皮肉な言い回しは、ライバルをやり込めたり、相手の不手際を遠回しにわからせようとする時など、ビジネスシーンで用いられることもある。「皮肉」の語源・由来
「皮肉」という言葉は、仏教用語の「皮肉骨髄」に由来している。「皮肉骨髄」とは中国禅宗の達磨大師の言葉で、達磨大師の体や信念、思想、行為のことを指す。弟子の修行の程度に合わせ、大師は「我が皮を得たり」、「我が肉を得たり」、「我が骨を得たり」、「我が随を得たり」と評価していた。このうちの「皮」と「肉」は体の表面上にあることから、神髄には達していないことを意味する。弟子に直接的な言葉で「お前は神髄に達していない」と告げるのではなく、「皮」と「肉」という言葉で間接的に告げたことから、遠回しに非難することが「皮肉」と呼ばれるようになったという。「皮肉」と「嫌味」の違い
「皮肉」と「嫌味」は、どちらも不快なことを言うという意味で用いられる表現であるが、ニュアンスは少し異なる。「皮肉」は遠回しに非難する、悪口を言うのに対し、「嫌味」は単純に不快なことを言うことである。「皮肉」は直接的な悪口にならないよう計算された言葉であるのに対し、「嫌味」は不快にさせるために計算づくで悪口を言ったり、直接的に不快な言葉を発したりすることである。「皮肉」を含む熟語・言い回し
「皮肉が効いてる」とは
「皮肉が効いてる」とは、皮肉によって相手にダメージを与えるという意味の表現である。結婚式の招待客が花嫁よりも派手なドレスを着て出席した場合に、「そんな素敵なドレス、花嫁さん以外が来ているのを初めて見た」という発言は、「花嫁以外の人が派手なドレスを着るなんてマナー違反だ」ということを遠回しに非難し、相手にダメージを与えるという点で「皮肉が効いている」ことになる。そのほかにも、「今日はいつもよりきれいだね、化粧に何時間かかったの?」と言うのも、普段はあまりきれいではないと遠回しに非難しているため、「皮肉が効いている」言い回しになる。
「皮肉」の使い方・例文
・皮肉なことに、新しい税制は助けることを意図していた人々に、より大きな経済的負担をかけることになってしまった。・彼は、平和のために集められた募金で武器が購入されていることの皮肉を訴えた。
・欲しいものが何でも買えるように頑張って富を築いたものの、手に入れた頃には疲れ果てて楽しむ気力が残されていないのは皮肉である。
・彼はプライドの高い皮肉屋であるため、職場で少し浮いた存在になっている。
・彼女が上司に対して言う皮肉は本質をついているため、同僚はみんな心の中で喝采している。
・あまりにも相手の態度が失礼であったため、去り際に皮肉を言って部屋を出た。
・前日から楽しみにしていたのに、遠足の当日に熱が出て行けなくなったのは皮肉である。
・彼が私に対して皮肉な発言ばかりするので、とうとう堪忍袋の緒が切れた。
・嫌いな相手に皮肉を言ってやり込めたのは痛快だった。
「皮肉」の英訳
「皮肉」の英訳は、「irony」である。・The irony is that the program turned out to have been incorrect all along.(皮肉なことに、プログラムは最初から間違っていたことが判明した)
・The irony is that his absence has improved the team's situation.(皮肉なことに、彼の不在がチームの状況を改善した)
・The irony of the situation was apparent to everyone.(状況の皮肉は誰の目にも明らかであった)
ひ‐にく【皮肉】
読み方:ひにく
[名・形動]
1 皮と肉。また、からだ。
「年を取るに連れて趣味が—になって行くんだね」〈谷崎・蓼喰ふ虫〉
3 遠まわしに意地悪く相手を非難すること。また、そのさま。当てこすり。「辛辣(しんらつ)な—を言う」「—な口調」
4 期待していたのとは違った結果になること。また、そのさま。「—なめぐりあわせ」
[派生] ひにくさ[名]
ひ‐にく【肥肉】
ひ‐にく【×髀肉/×脾肉】
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