どのように伝わったか?
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 05:18 UTC 版)
「悪魔ロバート」の記事における「どのように伝わったか?」の解説
1250年頃のドミニコ会修道士エチエンヌ・ド・ブルボン(英語版)によるラテン語の散文が、ロバートの最古の伝説として知られている。ただしこの中では、ロバートはどこの誰とも語られてはいない。一方、13世紀のフランス語韻文の騎士道物語では、ロバートはノルマンディー公夫人の子として描かれるようになる。 それ以降も、この逸話は14世紀の奇跡譚などに断片的に散見され、フランス語散文としては13世紀のものと推定されている『ノルマンディー年代記(Croniques de Normandie)』にも登場する。しかし、この伝説が広く知られるようになったのは、1496年のリヨン、1497年のパリで最初に出版された『La Vie du terrible Robert le dyable(悪魔ロベールの恐ろしい生涯)』という文献によってである。 16世紀以降になると、この伝説はしばしば、10世紀の人物である「無怖公」・ノルマンディー公リシャール1世と合わせて出版されるようになった。1769年には、完全復刻版として『Histoire de Robert le Diable, duc de Normandie, et de Richard Sans Peur, son fils(ノルマンディーの無怖公リシャールとその子、悪魔ロベール史話)』が刊行されている。 この伝承は、やがてフランスからスペインへと伝わり、よく知られるようになった。イギリスでは、おそらく14世紀末頃に書かれた『ゴウサー卿(英語版)』の奇跡譚として扱われるようになったが、この系譜の作品では、母の夫が悪魔そのものとして描かれている。 発行年は不詳だが、15世紀のウィリアム・キャクストンの助手、ウィンキン・デ・ウォード(英語版)は、フランスの大衆本を英訳して『Robert deuyll(悪魔ロバート)』を出版した。これとは違う系統のもので、イギリスの作家トーマス・ロッジ(英語版)が1591年に出版した『Robin the Divell(悪魔ロビン)』というものがある。この主人公は「第2代ノルマンディー公」とされている。 オランダでは、アントワープ司教(英語版)による1621年の禁書目録の中に『Robrecht den Duyvel(悪魔ロブレヒト)』というタイトルがある。 ドイツでは、この伝承はあまり流布しなかった。19世紀のヨーゼフ・ゲレス(ドイツ語版)による大衆本(Volksbücher)で初めて紹介されている。このほかドイツでは、ヴィクトル・フォン・シュトラウス(ドイツ語版)が1854年に発表した叙事詩や、エルンスト・ローパック(英語版)がオペラ『悪魔のロベール』を基に1868年に喜劇化した『Robert the Devil, or The Nun, the Dun, and the Son of a Gun』(Robert the Devil)がある。
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