どのようなときフォールトトレラント設計をするのか
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 06:45 UTC 版)
「フォールトトレラント設計」の記事における「どのようなときフォールトトレラント設計をするのか」の解説
あるシステムにおけるすべての部品に対してフォールトトレラント設計を施すのは得策ではない。冗長性を上げると反面コストなどが増大し、費用対効果の面で見合わなくなってしまう。 どの部品をフォールトトレラントにすべきかを決定するには以下のような判断基準が考えられる。 その部品はどれだけ重要か? 輸送のみを目的とする自動車では、ラジオやオーディオは重要(必須)な機能ではない。したがって、ラジオやオーディオをフォールトトレラント設計にする必要性は低い。 その部品はどのくらい障害を起こすか? 自動車のドライブシャフトのように、いくつかの部品は故障することはほとんど考えられないので、フォールトトレラント設計の必要性は低い。 その部品をフォールトトレラントにするのにかかるコストは? 例えば、自動車のエンジンに冗長性を持たせるとすると、経済的にも重量やサイズもコストが高くなることが予想される。 全ての条件に適合した部品の例として自動車の搭乗者拘束システム(シートベルトやエアバッグ)がある。我々が意識しない第一の搭乗者拘束システムは重力である。自動車が転覆などした場合、重力による拘束はなくなってしまう。このような事故の際に搭乗者を拘束するのは安全上非常に重要なので、第一の条件に合っている。シートベルトがない時代には事故によって搭乗者が外に放り出されることがよくあった。したがって第二の条件にも合っている。シートベルトなどは価格的にも重量的にもコストは高くない。したがって第三の条件にも合っている。以上のことから、シートベルトを全ての自動車に装備するのはよい考えと言える。その他のエアバッグなどの補助部品はやや高価なので、第三の条件に適合しないかもしれない。このため、安価な自動車にエアバッグを搭載していないものが(高価な自動車よりも)多いのである。逆に、センチュリーおよびセンチュリーロイヤルは、乗っている要人の保護が最優先事項であるため第三の条件は無視され、通常の使い方では満たされない第二の条件も銃撃等による故障という特殊条件を考慮し、同様に絶対に故障してはならないため第一の条件を満たす、としてエンジン及び補機類の冗長化が行われている。
※この「どのようなときフォールトトレラント設計をするのか」の解説は、「フォールトトレラント設計」の解説の一部です。
「どのようなときフォールトトレラント設計をするのか」を含む「フォールトトレラント設計」の記事については、「フォールトトレラント設計」の概要を参照ください。
- どのようなときフォールトトレラント設計をするのかのページへのリンク