塩屋湾のウンガミ
名称: | 塩屋湾のウンガミ |
ふりがな: | しおやわんのうんがみ |
種別1: | 風俗習慣 |
保護団体名: | 田港区、屋古区、塩屋区、白浜区 |
指定年月日: | 1997.12.15(平成9.12.15) |
都道府県(列記): | 沖縄県 |
市区町村(列記): | 国頭郡大宜味村字田港、屋古、塩屋、白浜 |
代表都道府県: | 沖縄県 |
備考: | 旧盆明けの初亥の日を中心とした三日間 |
解説文: | 沖縄県北部の大宜味村の塩屋湾で行われるウンガミは、田港区・屋古区・塩屋区・白浜区のシカアザ(四か字)で行われる行事である。旧盆明けの初亥の日を中心に三日間かけて行われており、一年交代でウグァンマール(御願年)とウドイマール(踊り年)とを行う。 ウグァンマールには、行事の前夜にハミンチュ(門中を代表する神女)がそれぞれの門中の元屋【もとや】(本家筋の家)に集まりウンケー(神迎え)を行う。ヌル(祝女。塩屋湾のウンガミの祭祀を主宰する神女)はサンナム(ヌルの世話役)とシマンホー(島方。祭祀を担当する男性)を従えて神のお迎えをし、明日のウンガミの実施を神に告げて案内する。 当日の朝、ヌルは田港のウフェー屋を拝み、田港アサギ(祭祀を行う建物)に向かう。ハミンチュたちも、各々のメービー(世話役)に付き添われて田港アサギに集まる。神女たちは、アサギの東側を流れるタンナ川に行って拝み、最後に川水をつけた手で額を三回撫でる。次に田港アサギでウンケージャク(御迎酌)を行う。ヌルがお酒(泡盛)を盃に注いで祭りの始まりを告げる。ウンケージャクが終わると、参拝者を含めて全員に、ミキ(神酒)を配る。門中の人たちは、それぞれの門中のハミンチュを拝み、長方形のムリ餅をいただく。ヌルとハミンチュは、マタザイ(二股の銛【もり】を真似た道具)を持ったシマンホーの先導で屋古アサギに向かう。 屋古アサギではヌルはアサギを背に海に向かって南面し、ハミンチュたちも所定のタムトに座り、シマンホーたちは中央の柱の周囲に座る。ヌルはウンケージャクを行い、屋古の旧家二軒の当主と盃を交わす。屋古アサギでは、ハミンチュはアシビガミ(遊び神)・ファーリガミ(爬竜船神)・スリガミに分かれる。ワハヌル・ウフシル(アシビガミの一人)・スリガミの三人のハミンチュは山の方に向かい、手の甲を額に当てて地面に伏せる。ヌルは祈願した後にアザハバ(ボチョウジの葉)とジジキ(ススキ)を束ねたもので三人の背をたたく。 屋古アサギでの行事が終わると、ヌル・ワハヌル・ウフシル・ウフチガミ(アシビガミの一人。田港ワハヌルともいう)は駕篭【かご】に乗り、シマンホーに先導されて塩屋のシナバ(砂場。現在は青年浜【せいねんばま】と呼ぶ)に向かい、ファーリガミたちは屋古の海岸のフルガンサに向かう。 田港と白浜・屋古・塩屋の三組がそれぞれ大小二隻のファーリーを出し、これには大保・押川・江州の集落からも漕ぎ手が参加している。六隻のファーリーには、それぞれファーリガミも乗り込む。まず、ウグワンバーリーとして、フギバンファーリー三隻が出発する。ファーリーが塩屋のアガリヌハマに到着し、ファーリガミが下船すると、漕ぎ手は海に飛び込んで櫂【かい】と櫂とを互いにたたいて気勢をあげる。続いて、ウフバーリー三隻の競争が同様に行われる。 ヌルの行列が兼久浜に到着すると、ニレー・ジュウグ(竜宮の神)にウンガミ行事の無事終了を感謝するとともに、豊作と寄り物(豊漁)を祈願するナガリを行う。最後にシマンホーがイルカを捕る所作をするフィートゥ(イルカ)ヌニゲーを行う。 ヌルたちは再び行列を組んでシナバに戻り、そこでパーシを行う。パーシが終わると、シナバで沖縄相撲の奉納が行われる。 ウグァンマールには、翌日にヤーサグイを行う。ヌルやハミンチュたちが拝所を拝み、ハミンチュの元屋を回り、その家の不浄を祓い、一家の健康と繁栄を祈る行事である。 ウドイマール(踊り年)には、塩屋ではウンガミの翌日塩屋小学校前のアサギマーでウドイ(踊り)を行い、屋古と田港では、サーサーといって、ハミンチュと村人たちが集まって、アサギマーなどでミキを飲んで踊ったりする。 塩屋湾のウンガミは、沖縄の伝統的な民俗信仰のあり方を伝えるとともに、沖縄県北部に分布するウンガミを代表する行事である。 |
祭礼(信仰): | 唐津くんちの曳山行事 土崎神明社祭の曳山行事 城端神明宮祭の曳山行事 塩屋湾のウンガミ 大善寺玉垂宮の鬼夜 大江八幡神社の御船行事 室根神社祭のマツリバ行事 |
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