おもてなし研究の特徴的な視点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/03 04:03 UTC 版)
「山上徹」の記事における「おもてなし研究の特徴的な視点」の解説
おもてなしは、一般的にお客への心配り・気配りする立居振舞いにおける「スキル」と認識されがちである。しかし、山上はヒト対ヒトが対等な関係にあることを前提とし、お互いに喜び合う心、精神(マインド)そのものの大切さを主張している。そのために、山上のホスピタリティ・おもてなし研究の特徴的な視点は、複雑な経済社会現象を考察するにあたり、単純化して3つに区分して総合的に論じている。それは、中国の陰陽道における「天・地・ヒト」という奇数の「三」の考え方とも通じる。「三」という数字は陽数であり、かつ縁起も良く、さらに、おさまりが良い数字であるからだ。それゆえ、ホスピタリティ・おもてなし学を3つの要素に区分すれば、その本質が明確に理解できるという考え方に基づいている。3つの要素の区分とは、たとえば、定義を「最狭義、狭義、広義」、社会・経済活動を「モノ・体・ハード」「コト・技・ソフト」「ヒト・心・ヒューマン」、研究のアプローチを「現物・現場・現象」(三現主義)、おもてなしの目線を「上から目線・Win-Lose」「同じ目線・Win-Win」「下から目線・Lose-Win」、人間の精神状態を「ハレ・晴れ」「ケ・普通」「ケガレ・穢れ」、文化の伝播を「グローバル」「グローカル」「ローカル」、さらに、世界三大料理を「フォーク食」「箸食」「手食」などの視点から論述している。食ビジネスを例にすれば、まず、店舗、食材・食具などの「清潔で快適なくつろげる空間」「美味しい料理」の創造という「モノ・ハード」、また、食材などの物流システム・調理法・料理人のワザなどを含めた「安全・安心、調理・衛生システム等」の創造という「コト・ソフト」、さらに、接客スタッフなどの先回りの気づきの「楽しく語らい、コミュニケーション」の創造という「ヒト・ヒューマン」といった総合的なおもてなし力がフル・セットされなければならない。とりわけ、同業他社との競争に対し、後者のヒト(スタッフ等)の先回りの気づきが今日、ビジネスの成否を決定づけるという視点から解明が試みられている。 山上徹『食ビジネスのおもてなし学』学文社、『食文化とおもてなし』学文社、『ホスピタリティ・ビジネスの人材育成』白桃書房、『京都観光学』法律文化社、『ホスピタリティ精神の深化』法律文化社等の著書(編書)を参照。
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