『Post War』シリーズ:戦争
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「太田三郎 (芸術家)」の記事における「『Post War』シリーズ:戦争」の解説
1992年から開始され、太田が岡山県津山市に移住した1994年以降発表されている『Post War』シリーズは、2021年現在、以下の13シリーズが制作されている。 『Post War 46-47 兵士の肖像』:「太平洋戦争で行方不明になった兵士の像」(朝日新聞掲載の肖像/出征前に撮られた写真) 『Post War 50 私は誰ですか』:「中国残留日本人孤児」(新正卓写真集) 『Post War 54 被爆地蔵』:「広島の被爆した地蔵」 『Post War 55 被爆樹』:「広島の被爆した樹木」 『Post War 56 無言館』:「戦没画学生」(太平洋戦争で亡くなった画学生の遺作) 『Post War 60 被爆者』:「津山市在住の被爆者」 『Post War 62 軍人像』:「無縁塚となった軍人像」 『Post War 66 戦災痕』:「岡山市内に残る戦災の遺跡」 『Post War 68 戦ノ碑』:「広島-長崎-沖縄-鹿児島-東京に残る戦争の「碑(いしぶみ)」を題材にした作品」 『Post War 69』戦争遺児:「岡山県在住の戦争遺児」 『Post War 72 世紀の遺書』:「『世紀の遺書』の言葉」 『Post War 74 折鶴焼』:「長崎県波佐見での折鶴を焼いた灰を用いたワークショップ」 『Post War 75 広島の種子』: 原爆投下によって草木も生えないと言われた広島で採集した種子」 太田の造語である「Post War」には、後ろに連なる数字のカウントが続く限りにおいて、戦後は過去ではなく現在の問題であり、さらにその数字がゼロになることのないようにという作家の願いがこめられている。 戦争をテーマとした作品は、ほかに『軍事加刷切手』(1995)、『最後に勝つものはまごころである』(1996)、『広島のかけら』(2007)がある。この中で切手の形式をとらない唯一の作品である『最後に勝つものはまごころである』は、シベリアの収容所での捕虜生活の中で亡くなった山本幡男の遺書を、文字による記録を持ち帰ることを禁じられた仲間の捕虜たちが暗記して遺族に届けたという事実にもとづいている。『最後の手紙』(立川昭二著、筑摩書房)でこのことを知った太田が、この他者の筆跡によって妻に届けられた手紙をそのまま書き写した作品である。
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