《乳母》の正しい読み方
「乳母」の正しい読み方
乳母の読み方には、「うば」「にゅうぼ」「めのと」「おんば」などがある。どれも正しい読み方だが、一般的には「うば」と読むことが多い。平安時代の文献や古典などでは「めのと」「おんば」などと呼ばれていたが、昭和以降は一般的に幅広く「うば」と呼ばれている。
「乳母」の意味解説
乳母とは、実母に変わって赤子に乳を与える女性、養育をする女性のことである。乳母という言葉は、古事記、日本書紀、万葉集などにも出てきており、古くから乳母は実母の乳が出ない場合や、実母が病気や死去などにより子育てできない場合などに頼む風習があった。平安時代などでは皇族や貴族、武家といった豊かな家では、身分の高い女性が育児などをするべきではないという考えや、しっかりとした頭の良い女性が育児をした方が子の教育上にもよいという考えから、乳離れした後の子の養育、教育をするために乳母を置いていた。また男性でも「傅役(もりやく)」といって、身分の高い家に生まれた子どものお世話や教育係のことを「乳母」と呼ぶこともあった。なぜ「乳母」と読むのか・理由
「乳母」を構成する「乳」という漢字は「ニュウ・ジュ・ニュ」「ちち・ち」と読み、「母」は「ボ・モ」「はは」と読むことができる。しかし一般的には「うば」と呼ばれており、漢字単体では「う」とも「ば」とも読まない。「うば」は、熟字訓といわれる読み方で、漢字の単字単位ではなく熟字単位で訓読みに当てた読み方なのだ。「乳母(うば)」は「乳」も「母」も単体で「う」とも「ば」とも読まないが、「母」と「乳」だけで意味が伝わるように熟字訓という特殊な読み方が使われているのである。
「乳母」の類語・用例・例文
乳母の類語子守
保母
侍女
ベビーシッター
乳付け親
めのと
まま
おんば
乳母の用例
有信の乳母が懼れて、幼い有信を抱いて麻布長谷寺に逃げ匿れた。/森鴎外「伊沢蘭軒」
子供の時に乳母に抱かれて、月蝕を見た気味の悪さも、あの時の心もちに比べれば/芥川竜之介 「袈裟と盛遠」
北の方を、乳母の十郎権の頭が扶け参らせ、後れて来るのを、判官がこの石に憩って待合わせたというのである。/ 泉鏡花 「瓜の涙」
肖も着かぬが、乳母ではない、継しいなかと見たが、どうも母親に相違あるまい。/泉鏡花 「革鞄の怪」
私は乳母をせびって、一緒にそこへ連れて行ってもらいました。/小山内薫 「梨の実」
乳母の例文
徳川家光の乳母は、のちの春日局(かすがのつぼね)である
明治初期では庶民でも実母の乳の出が悪い場合は、乳母を雇うことがあった
母は乳母を雇わずに自分で私を育ててくれた
あの子は母親よりも乳母になついている
「乳母」の英語用例・例文
乳母は英語で「Nanny」「wet nurse」と訳す。「乳母」の英語用例・例文
Tokugawa Iemitsu's nanny was later Kasuga Bureau.(徳川家光の乳母は、のちの春日局である)
His mother was the third daughter of Hikinoama, who was a nanny of Yoritomo.(母は頼朝の乳母であった比企尼の三女である)
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