じゅ‐ひ【樹皮】
樹皮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/15 04:20 UTC 版)
樹皮(じゅひ、英: bark)[1]とは、一般用語としては、樹木(木本植物)の幹や枝の最外層を覆う死んだ細胞からなる組織を意味することが多い。ただし生物学や林学では、樹木において維管束形成層より外側にある組織をすべて含んだ意味で用いることが多い。この広い意味での樹皮は、維管束形成層から外側につくられた靭皮(二次師部)と、その外側にできたコルク形成層およびそれに由来する組織(コルク皮層、コルク組織)からなる周皮で構成されている。一般的な意味での樹皮は、周皮の外層にあるコルク組織におおよそ相当する。樹皮は内側から次々と形成されて表層から剥がれていくが、その裂け方や剥がれ方は植物種によって異なるため、種によって異なる外観を示す(下図1)。またコルク組織に覆われると空気の出入りが遮られるが、新たな分裂組織が形成されてコルク組織を突き破り、空気の出入り口となる皮目(ひもく)が形成される(下図1b)。
注釈
出典
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樹皮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 00:27 UTC 版)
日本の他のニレ属共通で樹皮を結って縄にしたり、内樹皮を叩いて潰して接着剤として使ったという。
※この「樹皮」の解説は、「アキニレ」の解説の一部です。
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樹皮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 13:56 UTC 版)
イヌブナの樹皮は、暗灰褐色でイボ状の皮目が目立つ。一方、ブナは、灰白色でイヌブナほどの凹凸はみられない。
※この「樹皮」の解説は、「イヌブナ」の解説の一部です。
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樹皮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 17:56 UTC 版)
こげ茶または暗灰色、表面が鱗状の板に深く分割されている。末端枝はほっそりしていてジグザグで、太い髄かまたは大きな髄の空洞があり、最初は薄く赤味がかった茶色で軟毛に覆われている。それらは色が薄い茶色から灰白色へ、そしてついには赤味がかった茶色に変動し、樹皮は縦向きの亀裂によって幾らか割れている。渋く苦い。
※この「樹皮」の解説は、「アメリカガキ」の解説の一部です。
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「 樹皮」の例文・使い方・用例・文例
- アメリカシラカバの樹皮で作ったカヌーで川を下った。
- 樹皮からエキスを抽出する。
- 樹皮からエキスを抽出する.
- 樹皮タンニンで(皮膚)を日に焼く
- 樹皮に名前を彫る
- 樹皮でカバーする
- 樹皮を食べる動物
- 樹皮や樹木に穴を開ける短いくちばしの甲虫の大科
- 樹皮と木の幹に穴を掘る小さなカブトムシ
- トウヒの樹皮をを突き抜けて、最終的に木を枯らす骨形成層を食べるのを好む小さい甲虫
- まだ樹皮がついた、粗雑な丸太小屋
- 木の粗い樹皮に似た
- ガラガラヘビの樹皮に似たうろこ
- 亀裂がある樹皮を持つ木
- 昆虫の順序:チャタテムシおよび樹皮シラミを含む
- 植物の樹皮にすむ数種の昆虫類
- タパ・クロスは、樹皮をたたいてシート状にして作られた不織布である
- アメリカシラカバの樹皮で作ったカヌー
- 植物(樹皮、根、葉のように)の一部から作られた薬品
- 3本マストの樹皮
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