身長 身長の概要

身長

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/03/12 02:34 UTC 版)

身長に関する基礎知識

人間の大きさを身長で表すのは、動物のうちでは例外的で、人間以外の動物は、多くは全長 として口の先端部から尾の先端部の長さを言う。体長は頭と胴の長さで、尾は含まないのが普通である。哺乳類恐竜の大半は脚が長く体長に比して体の高さが大きいので、体高を用いることがある。これは4本脚で直立した時の肩の高さの値で、首を上に上げた高さではない(キリンの類を除く)

人類学では、身長160cmから169cmまでを「中身長」とし、150cmから159cmは「低身長」、150cm未満は「超低身長」と言い、170cmから179cmは「高身長」、180cm以上は「超高身長」とする。更に人類全体の平均身長は、男性で165cm、女性はそれよりおよそ7%低いとされているが[1]、地域差が非常に大きい。また、後に述べるように先進国を主として近現代には大幅な身長の増加があったのをはじめ、同じ国や地域でも、時代によってもかなりの変異が見られる。

身長を決定する要因

個人の身長は主に成長ホルモンとそれを刺激する女性ホルモンの分泌によって左右される。女性ホルモンは成長ホルモンの分泌を刺激し身長の伸びを促すと共に骨端線の閉鎖を促し、骨端線が閉鎖され成長ホルモンを止めてしまう。女性は男性より女性ホルモンの分泌が多いため、思春期開始が男性より早く、身長の伸びのピークも男性より早いが、骨端線も男性より早く閉鎖してしまうため、最終的に女性ホルモンの分泌が少なく骨端線の閉鎖が遅くなる男性より低身長となる。女性ホルモンが全く作用しない男性では骨端線が閉鎖しないため高身長となる[2]。先天的に下垂体に異常がある場合、成長ホルモンが多くまたは長期間排出されると巨人症となり、逆に少ないまたは短期間排出の場合には小人症となる。思春期開始時期の平均身長は男性は約145cm、女性は約134.1cmで、思春期の身長の伸びのピークは男性は約13歳、女性は約10.88歳(10歳10ヶ月-10歳11ヶ月)でピーク時の女性の平均身長は約142.4cmである[3]

また、身長は一日を通して一定ではなく、平均身長の男性で約2cm程度の変化がある。これは、朝起きたときには椎間板が充分に水分を含んでいるが、夜寝る前には自重などにより圧迫され、かなり水分を放出するためといわれている。しかしこれらは個人の変異又は一時的なもので、人種或いは地域集団に見られる身長の差や、時代による変化とは関係がない。

生活水準が向上し栄養(特に、肉を中心とする動物性蛋白質)に恵まれると身長が高くなると言われる場合が多いが、身長の大小と栄養の間には必ずしも強い相関はない事に注意する必要がある。確かに近現代になって先進諸国では身長が大きくなったが、世界的には身長の高低と生活水準(文明)の高低は一致しない事が多い。例えば、世界の高い身長の集団はアフリカのサラ族(平均身長181.7cm、以下同じ)、スマトラ島中央部のマライ人 (175.5cm) 、南米南部のパタゴニア人 (175.0cm) 、スウェーデン人 (174.4cm) など、文化にも地域にも、共通点もまとまりもない[4]。一般に、コーカソイドは高身長の傾向があり、特に北欧に分布する北方人種は高い。モンゴロイドは中身長が多く、ネグロイドはナイル川上流付近で平均180cm以上の超高身長(サラ族、ディンカ族等)のものからネグリロ(ピグミー)のように150cmを切るような超低身長まで幅広い変異を示す。こうした差異は生まれた時からあり、フランス人の新生児の身長の平均は50cmなのに対し、インドシナ人の場合は46cmしかない。人種あるいは地域によるこのような差がなぜ生じたのかは不明。

日本においては、第二次世界大戦後の国民の栄養状態改善(肉食の普及)によって青少年の身長が大幅に伸びたと言われるが、実際はそのような単純なものではない。東京帝国大学(現在の東京大学)男子学生を対象とした調査によると、1910年代から1940年代の30年間に3.1cmの身長増加が認められ、同じく女子学生では1910年代から1950年代の40年間に3.4cmの増加があり、戦前から男女共にほぼ10年間に1.0cmという急速な身長の伸びが見られた事が分かる[5]。歴史を遡ると、成人男子の場合、縄文時代には156cmから160cmであったが、古墳時代には165cmほどになり、以降は鎌倉時代、室町時代と経るにしたがって次第に低くなり、江戸時代には157cmと、歴史時代では最も低くなり、以後増加に転じて、明治以降は急速に高くなった[6]。これらは栄養の良否だけでは説明が付かない。

なお、100年間に10センチメートルほどという急激な身長の伸びは、日本だけでなくヨーロッパでも確認されている。1870年代初頭から1980年までのヨーロッパ15カ国の男性の平均身長を調査した所、1870年の平均が167.7cmだったのが1980年には177.8cmになっている。国によって若干の差異があり、スペインは約163cmから約175cm、スウェーデンは約170cmから約180cmに伸びている[7][8]

先進諸国での高身長化も含め、身長がどのような理由でどのように決まるかについては古今に様々な説がある。栄養以外にも、照明の発達による昼間時間の延長がホルモン分泌に影響を与えた結果であろうとする意見もあるが[9]、現在でも決定的と言えるものはない。多くの要素が、中にはまだ知られていない原因も含めて複雑に影響し合っている可能性が考えられる。従って、巨人症や小人症のような明らかな異常の場合を除き、人為的に身長を制御する事(背を高くしたい云々)は困難な上、安易に行なうのは肉体的もしくは精神的に大きな危険を伴う恐れがある。以下に述べる説も、多くはあくまで仮説の段階で、中には厳密に証明されていないものもある。

2007年(平成20年)のある発表では、国別平均身長はオランダが1位。アメリカが5位に転落したことに関して、ジャンクフード過剰摂取による一定の微量栄養素不足が原因[10]とも指摘されたが、不明[11]

様々な説

身長は主に脳下垂体から分泌される成長ホルモンとその影響によって左右されることが明らかである。成長ホルモンは睡眠時に多く分泌されるため睡眠は重要であるが、睡眠時間帯による成長ホルモンの分泌量の影響はない[12]

思春期の身長の伸びはあまり個人差がない[13]とされる。そのため、身長を伸ばすには思春期前の期間が長く、且つ思春期前までにどれだけ伸ばせるかが重要で、これが大人になってからの身長を左右しやすい。

気候の影響が言われる場合もある。ベルクマンの法則によると、同種の恒温動物では寒冷地に住む種が熱帯地に住む種に比べて大柄になるとされる。これは、体が大きくなると表面積が増えて放熱量が増えるものの、体積の増加によってそれ以上に熱生産量が増加し[14]、寒冷地での生存に有利になるためとされる。人類も北欧人の方が南欧人より高い身長である。 ポリネシア地方では熱い気候であるが大柄な人が少なくない。海洋地域では低温に体がさらされることもあるためという説もある[要出典]

骨端線閉鎖後も少しずつ身長は伸びているとも言われ、100才で1cmぐらいの成長速度であるという。ただ、老衰とともに脊椎が湾曲して外見上は背が低くなるなど、正確な計測は難しい[要出典]

妊娠中に牛乳を多く飲むと子供の身長が高くなるという研究結果がある[15]

身長の測定

身長の正確な測定には身長計が用いられる。身長計の前に背を向けて真っ直ぐに立ち、スケールを頭頂部にまで下げたところで目盛を読む。最近はデジタルスケールのものもある。


  1. ^ 寺田和夫『人種とは何か』 岩波新書 1967年(昭和43年)
  2. ^ 思春期の発現・大山建司
  3. ^ たなか成長クリニック・思春期
  4. ^ 寺田和夫『人種とは何か』 岩波新書 1967年(昭和43年)
  5. ^ 鈴木尚 『日本人の骨』 岩波新書 1963年(昭和39年)初版
  6. ^ 鈴木尚 『骨』 学生社 1960年(昭和36年)。近現代以前には身長の測定は行なわれていなかったから、これらの数字は発掘された古人骨からの推定値である。
  7. ^ “ヨーロッパ男性は100年で進化?”. ニューズウィーク. (2013年9月3日). http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/09/post-3032.php 2014年2月1日閲覧。 
  8. ^ “欧州男性の平均身長、100年で11センチ伸びる=調査”. Reuters. (2013年9月2日). http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE98103N20130902 2014年2月1日閲覧。 
  9. ^ 近現代になって照明器具が発達し、夜間も昼間と同じように明るい環境となった事により、昼間の時間が長くなったと同じ作用が人体に働き、それに伴って内分泌が変化して身長の伸びを促進したとする考え。成長ホルモンは睡眠中に活発に分泌されるという説と矛盾するが、身長を決定する因子が非常に複雑に入り組んでいる可能性を考えれば、あり得ない説ではない。
  10. ^ 米国人の身長は縮んでいる、北朝鮮とは正反対の「意外な理由」 AFPBB News
  11. ^ The Dutch get ahead for heights - World - Times Online
  12. ^ Gabrielle Brandenberger,Laurence Weibel (September 2004). “The 24-h growth hormone rhythm in men: sleep and circadian influences questioned”. Journal of Sleep Research (European Sleep Research Society) 13 (3). ISSN 1365-2869. オリジナルの2013-03-08時点によるアーカイブ。. http://megalodon.jp/2013-0308-0003-10/onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-2869.2004.00415.x/full 2013年3月8日閲覧。. 
  13. ^ 額田成. “大切なのは思春期までにいくら伸びるか”. 早熟を防ぎ、成長線閉鎖を遅らせる. ぬかたクリニック. 2009年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年7月27日閲覧。
  14. ^ 体表面積は体の大きさ、例えば身長もしくは全長の2乗に比例して増減するが、体積は3乗に比例するので、体が大きくなると表面積より体積の増加量が増え、体温の保持に都合が良い。
  15. ^ 妊娠中に牛乳をたくさん飲むと子どもの背が高くなる―デンマーク研究(2013年(平成26年)9月7日 マイナビウーマン)
  16. ^ 1966年(昭和42年)に尺貫法は全面的に禁止された。
  17. ^ “兵庫県警 身長など女性の採用基準を緩和”. 神戸新聞. (2014年2月10日). http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201402/0006699313.shtml 2014年3月1日閲覧。 
  18. ^ “未来の“宇宙兄弟”はキミだ!? 宇宙飛行士になるためのギモン”. リクナビ進学ジャーナル. (2013年3月5日). http://journal.shingakunet.com/career/2822/ 2014年1月6日閲覧。 
  19. ^ 週刊エキサイト Excite エキサイトニュース(03月07日 共同通信)
  20. ^ 第一検査は173cm以上、第二検査は167cm以上。
  21. ^ メッシはマラドーナの「神域」にどこまで迫ったか:日本経済新聞
  22. ^ 金メダル候補にインタビュー: エロワン・ル=ペシュー - フランス生活情報 フランスニュースダイジェスト
  23. ^ モータースポーツではラリードライバーのケン・ブロックが、高身長が原因でF1マシンのテスト走行参加を断念した事例がある。
  24. ^ ピレリ、ケン・ブロックのF1テストを中止 - F1-Gate.com 2011年(平成24年)8月5日
  25. ^ 中学生長身バレーボール選手の視力と視力矯正率 愛知工業大学研究報告 第48号 平成25年
  26. ^ どうすればもっと身長を伸ばすことができるのか? 特命リサーチ200X-II Research Report No.087 2003/01/19


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