カシ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 09:06 UTC 版)
オークとの比較
英語で常緑性のカシのみを指す場合はライブオーク (live oak) と呼ぶ。ヨーロッパにおける常緑性のカシ類の分布は南ヨーロッパに限られており、イギリスをはじめとする中欧・北欧に分布するoakは、日本語では植物学上ナラ(楢)と呼ばれているものばかりであるが、文学作品などではカシとして翻訳されている例が多く、誤訳を元にした表記である[2]。
種
日本に自生しているブナ科植物のうちカシと呼ばれているものでは主に以下の種がある。
- コナラ亜科 Quercoideae
- クリ亜科 Castaneoideae
- マテバシイ属 Lithocarpus
- シリブカガシ Lithocarpus glaber
- マテバシイ属 Lithocarpus
利用
植栽
民家の垣根に植樹される主要な樹木の一つでもある。防音の機能を有する樹種(防音樹)として知られる[3]。
常緑樹であるために防風林としての機能も果たした。またカシの生葉・生木は他の樹木と比較した場合に燃え難いこともあり、隣家火災の際には延焼を防止する目的も持ち合わせていた。
木材
漢字で木偏に堅と書くことからも判るように、木材としての材質は非常に堅い。また粘りがあり強度も高く耐久性に優れている。その特性から道具類、建築用材に使われる。ただし、加工がしにくい、乾燥しにくいといった難点がある。
- 建築では欄間、敷居に使われる。
- 鉄道の枕木。初期の木製レール。
- 橋
- ハンマー(掛矢)、スコップ、鍬、杵など道具類の柄。
- 山車のかじ取りをするための梃子。
- 木刀、ヌンチャクなどの武道用具。
- 和太鼓の桴(ばち)。
- その他、杖、棺桶など。
戦争とカシ
1904年に始まった日露戦争では、日本軍の砲車がカシ材を使ったものであったため、ロシア帝国の砲車(ヤシャブシで代用していた)よりも優れていたという見分結果がもたらされた。ヨーロッパでは、カシはイタリアにあるだけで、多くはカシよりも弱いナラが代用とされていた[4]。
1940年、日中戦争の長期化で戦時色の強まった大日本帝国では、用材生産統制規則により特定の樹種について用途指定を実施。カシ材の使用用途については、軍需、内地使用の船舶、車両用に限られることとなった[5]。
カシをシンボルとする市町村
多くの市町村がカシをシンボルとして採用している。ここではシンボルを「カシ(樫)」としている市町村を列挙し、「イチイガシ」などのように各種をシンボルとしている市町村および消滅した市町村は除いた。
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