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三省堂 大辞林

三省堂三省堂

しんわ 0 【神話】

(1)古くから人々の間に語り継がれている、神を中心とした物語

(2)宇宙・人間・文化起源などを超自然存在関与結果として基礎づけ、説明した話。神聖な真実として信じられ、日常生活規範として機能することもある。
(3)人間思惟(しい)や行動を非合理的拘束し、左右する理念固定観念
皇軍不敗の―に踊らされる」



神道用語

岡山県神社庁岡山県神社庁

神話(しんわ)

古代日本では神語(かんがたり)といい、「古事記」、「日本書紀」、「風土記」、「古語拾遺」などの上古典見え神々物語指し天皇祖神中心とした日本人祖先歴史


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神話

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/04 13:41 UTC 版)

神話(しんわ、英:myth、mythology)は、人類が認識する自然物や自然現象、または民族文化文明などさまざまな事象を、世界が始まった時代におけるなど超自然的・形而上的な存在や文化英雄などとむすびつけた一回限りの出来事として説明する物語であり、諸事象の起源[1]や存在理由を語る説話でもある[2][3]。このような性質から、神話が述べる出来事などは、不可侵であり規範として従わなければならないものとして意義づけられている[2][3]

英語mythologyには「物語としての神話」と「神話の研究」のふたつの意味がある[4]。例えば「比較神話学」(comparative mythology)は異なる文化圏の神話を比較研究する学問であり[5]、一方で「ギリシア神話」(Greek mythology)とは古代ギリシアの神話物語の体系を指す。単語「myth」は口語にてしばしば「誤った根拠」を指して使われる[6][7]が、学問的に使われる場合は、その真偽を問うことは無い[7][8]民俗学では、神話とは世界や人類がいかにして現在の姿となったかを説明する象徴的な物語と定義される[8][9][10]が、他の学問分野では単語「myth」の使い方が異なり[10][11][12]、伝統的な説話を広く包括する意味合いを持たせている[13]

上で触れたように、比喩的な用法では根拠も無く絶対的事実だと思われている事象を例えて用いる言葉[1]にも使われ、「日本の『安全神話』が崩れた」といった例で使われる場合もある。これらは、現実が隠蔽され、人々の考え方や行動が何かしら誤った方向に固定化してしまった「常識」とも言える[14][15]

目次

神話の本質

ギュスターヴ・モロー1868年作『プロメテウス』。最初のプロメテウス神話はヘシオドスの証言にあり、それはアイスキュロスの筆と思われる悲劇的な三部作形式に纏められた。神話の共通テーマ「火」を代表する物語である[16]

典型的な特徴

神話の主要登場人物はや超自然的なヒーローが多い[17][18][19]。支配者や聖職者は神話を神聖なものとして是認し、宗教と密接に関係させることがあり[17]、そのような社会では神話は遠い昔の「真実の物語」とみなされる[17][18][20][21]。実際に、多くの社会では古い物語を二つ、1)「実話」である神話 2)「嘘の話」である寓話、に区分している[22][23]。神話は一般的に、世界が現在の形をなす前の根源的な時代のことを描写し[17]、そこで世界がどのようにして今の有り様となったか[8][9][10][24]、そしてさまざまな習慣や社会組織、さらに禁忌がどうして成り立ったかを説明する[17][24]

神話・伝説・昔話

神話はストーリーを持つ物語の形式で、人間を取り巻く様々なものについての過去の出来事を語る。このようなモチーフは伝説昔話でも扱われるが、これらと神話とは密接に関連するものの学問用語として明瞭に区分されている[2][25]

神話は始原的な出来事を伝えるものに対し、伝説・昔話は過去のある時点の出来事について語られる。また、単一の事象を伝える点では神話と伝説は似ており、伝説は神話同様真実を伝える物語と受け取られるが[17]、基本的に固有名詞を持つ人物を主人公とし、その活躍した場所も限定され、時代も世界がほぼ現在のように様相が固まった後を舞台とする[17]ため歴史的記載に近く、神話のような広い対象の根源になるものではなく、神聖的性格も帯びてもいない[2]。主人公も神話のような神や超人ではなく、あくまで人間が主役となっている[17]

昔話は異なる時と場所で何度か起こった出来事の典型を表す話であり、真実を表現したものではないか、もしくは神聖な物語ではないものと認識される[2][17]。例えば『桃太郎』も、退治はどこででも起こりうる争乱の数ある一つと捉えることが出来るため、神話とも伝説とも異なる性格を持つ[2]

神話・昔話・伝説の3つは伝統的な古い説話を区分する手段に用いられる[26]が、これを物語る各文化では必ずしも厳密な線引きが出来ている訳ではない[2][27]。文化圏によっては神話と伝説に明瞭な差異を持っていないところもあれば[28]、ひとつの同じ説話についても、ある集団はそれを真実と捉えてそれゆえ神話と考え、別の集団は虚構と捉えてそれは昔話と考えるような場合もある[29][30]。神話が宗教の一部に組み込まれたような状態では昔話的な特徴が強調されて、登場人物も人間の英雄や巨人妖精などへ再解釈されてしまう[18]

ただし神話・昔話・伝説は伝統的な古い説話を分類するほんの一部分でしかなく、これら以外にも逸話ジョークのようなものもある[26]。さらには古い説話そのものも民俗学の一分野でしかなく、他にも舞踊や伝統装束、音楽など多岐に渡る[30]

神話の起源

インド神話の女神カーリー。男性側観念から見た女性の暗い面としてドゥルガーから分離したものとみなされる[31]

父権制の成立と神話

神話と墳墓シンボルとの関係を調べたJ・J・バッハオーフェンは、1861年の著作『母権制』にて、神話は母権制社会が父権制へ変遷する過程で構築されたと論説した。その段階を、初期の乱婚制母系社会から一夫一妻制を経て大地母神デーメーテール型の母権へと変わり、やがて古代ギリシアローマを典型とする父権優位型神話体系が成立したと述べた[32][33]。ここには根底に、母親は自ずと母親たりえるが、父親がアイデンティティを持つには説明が不可欠で、この主張のために神話が創られたという[34]

この背景が影響し、神話の女神女性に見られる性質には、男性側の観念が反映した要素がある。ひとつはギリシアのアルテミスやインドのドゥルガーのような豊穣がある。ただしそこには単に恵みをもたらすのみならず、全てを呑み込むような過剰な部分も併せ持つ[31]。他にも処女母親という相反する性質の同居があり、日本のアマテラス、ギリシアのアテーナーそしてキリスト教聖母マリアらがこの例に当たる。これも男性が女性に抱く理想[35]が反映し、後に難しい理屈をつけたものと言える[31]

エウヘメリズム

ひとつの理論として、神話とは歴史的な出来事が歪められて説明されたものという考えがある[36][37][38]。これによると、語り部が歴史的な出来事を繰り返し何度も詳述するうちに、登場人物が神格化され神話が成立したという[37][38]。例えば、の神アイオロスの神話は、ある王が臣下にを使い風を読むよう命令した故事が発展したものという解釈がある[37]。紀元前5世紀のヘロドトスプロディコスも同様の主張をしており[38]、このような考え方は紀元前320年頃の小説家で、ギリシア神話の神々は人間の伝説が変化したものと主張したエウヘメロス(en)にちなみエウヘメリズムと言う[38][39]

寓話

神話は寓話を元にしているという説がある。それによると、アポローンポセイドーンと言った具合に自然現象を扱う寓話が神話に変化したという[38]。また哲学的概念や的概念を表す寓話を元にした神話もあり、例えばアテーナーは賢明な判断、アプロディーテー願望を示すという[38]。19世紀のサンスクリット文献学者フリードリヒ・マックス・ミュラーは神話の寓話的理論を纏め、当初神話は自然を語る寓話として形成されたが、やがて文字通りに解釈するようになったと主張した。例えば、「raging」という表現は元々はが「荒れ狂う」ことを表現していたが、これがやがて海を司る神の「激怒する」性格を現すようになったと言う[40]

擬人化

いくつかの考察によれば、神話は無生物や力の擬人化という説もある。それによれば、古代の崇拝は炎や空気などの自然現象に向けられ、徐々にこの信仰対象が神に変化したという[41]。例えば、神話的思考論(en)によれば古代人は何を見るにしても単なる物ではなく人格を帯びているという見方を持っていたという[42]。したがって自然現象はそれぞれの神の所業であると考え、その思考が神話形成へ繋がったと主張している[43]

神話と儀式の関係

神話と儀式の関連を解説した神話‐儀式理論[44]の極端な説では、神話とは儀式を説明するために作られたという[45]聖書学者のウィリアム・ロバートソン・スミス(en)によって提唱された[46]この主張では、古代人が何らかの目的を持って儀式を始めた時には神話とは何ら関係が無かった。しかし時が過ぎ元々の目的が忘れ去られたときに、人々はなぜ儀式を行うかを説明するために神話を創り出し、それを祝するためという理由で儀式を行うようになったという[47]。人類学者のジェームズ・フレイザーも似通った説を唱え、古代人の信仰は人智が及ばぬ法則を信じることで始まり、やがてそのような感情を失ってしまった際に神話を創り出し、それまで行っていた魔術的な儀式を、神を鎮める儀式に刷りかえたと主張した[48]

しかし現在では、神話と儀式の関係には普遍的な判断をつけずそれぞれの民族ごとに判断すべきという意見で一致している。儀式が先行し後に神話が作られたというフレイザーらの説を立証する証拠はほとんど見つからず、逆にアメリカインディアンゴースト・ダンスの例のように神話が先行して存在し、儀式は神話の補強として発達する例が多い[2]

神話の変化や統合

神話は民族や文化を単位に生まれる。古代、小規模であったこれらの単位は征服や統合を通じて集合し、やがては国家単位の大きな統一的文化・文明へと発展した。これに伴い神話も段階的にまとまり、体系付けられた。松村武雄はこれら神話の統合された構成について、「横に展開」と「縦に展開」とに分類し、前者の例としてギリシア・ゲルマンケルトなど西ヨーロッパの神話が網のように存在する状態を示し、後者の例として日本天孫系神話を挙げている[49]

中国の神話はこのような体系化がなされず断片的・孤立的なところを特徴とするが、個別の神話の中には三皇五帝に見られる3つの異なる大洪水があるように「横に展開」や「縦に展開」に相当する箇所もある。これらは、神話が固定化した時期に当該地域がどのような政治的・文化的な体系を成していたかが影響し、中国は例外的に神話が統合されない傾向にあった可能性が考えられる[49]


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  1. ^ a b 「【神話】」『広辞苑』 岩波書店、1999年、第五版第一刷、1401頁。ISBN 4-00-080113-9
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 世界神話事典 p24-46、大林、総説
  3. ^ a b 「【神話】」『日本語大辞典』 講談社、1989年、第一版、1015頁。ISBN 4-06-121057-2
  4. ^ (2009) “【myth】”, ブリタニカ百科事典. ISBN http://search.eb.com/eb/article-9108748. 
  5. ^ a b c d Littleton p32
  6. ^ *Karen Armstrong  (2006年). A Short History of Myth. Knopf Canada, p. 7. 
  7. ^ a b Eliade、Myth and Reality p1
  8. ^ a b c Dundes, Introduction p1
  9. ^ a b Dundes, Binary p45
  10. ^ a b c Dundes, Madness p147
  11. ^ Doty p11-12
  12. ^ Segal p5
  13. ^ Kirk, "Defining", p. 57; Kirk, Myth, p. 74; Simpson, p. 3
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  17. ^ a b c d e f g h i Bascom p9
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  19. ^ O'Flaherty p19 "I think it can be well argued as a matter of principle that, just as 'biography is about chaps', so mythology is about gods."、訳:原則論的な話だが、伝記が奴ら(男たち)の事を語るように、神話は神について語っていると思う。
  20. ^ a b Eliade Myths, Dreams and Mysteries p23
  21. ^ Pettazzoni p102
  22. ^ Eliade, Myth and Reality, p. 10-11
  23. ^ Pettazzoni p99-101
  24. ^ a b Eliade Myth and Reality p6
  25. ^ Bascom, p7
  26. ^ a b Bascom, p. 10
  27. ^ Kirk, Myth, p. 22, 32; Kirk, "Defining", p. 55
  28. ^ Bascom, p17
  29. ^ Bascom, p13
  30. ^ a b Doty, p. 114
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  61. ^ おそらくは、神話を哲学的に解釈したものの中で最も広範にわたるものは、プロクルスの著作『Commentary on the Republic』にある(The Works of Plato I, trans. Thomas Taylor, The Prometheus Trust, , 1996)。妖精についてのHomeric Caveを分析したポルフュリオスも重要な仕事と言える(Select Works of Porphyry, Thomas Taylor The Prometheus Trust, Frome, 1994)。外部リンク参照。
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