光覇明宗
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「うしおととらの登場キャラクター一覧」の記事における「光覇明宗」の解説
表向きは仏門の一派であるが、人間に災厄をもたらす妖退治を使命とする戦闘組織としての一面も持つ。それに伴い、主戦力たる法力僧の養成や強力な武法具の開発に力を入れている。最大の使命は「白面の者」の抹殺であり、「獣の槍」についても潮が手にする以前からその存在を把握し、監視を続ける一方、それを手にして戦うための「伝承者」を養成していた(獣の槍が500年ぶりに世に出た時点の伝承者候補は4人)。伝承者候補とはいうものの、光覇明宗が自主的に優れた霊能者を育成しただけで獣の槍側からは全く関知しない。当初は平凡な子供である潮が槍を手にしたことに危機感を抱き、潮から槍を奪い、とらも滅ぼそうとしていたが、次第に潮ととらの実力を認め、2人を全面的にバックアップしていくようになる。規模は大きく、寺院数九千、信徒数六百万を誇る。総本山は奈良県と和歌山県の境に存在する。 和羅(にぎら) / カズオ 声 - 柴田秀勝(テレビアニメ版) 光覇明宗を束ねる大僧正。本名はカズオ。元は孤児で、兄の凶羅とともにお役目様(日崎御角)に育てられた。兄弟仲は良かったらしい。顔には凶羅との法力比べの事故による大きな火傷の跡がある。 四師僧(よんしそう) 大僧正・和羅に次ぐ地位にあると思われる4名の僧。それぞれが獣の槍伝承者候補を擁している。 丸顔が正智で関守日輪を担当、痩せ顔が成宗で秋葉流を担当、最も大柄なのが境知で杜綱悟を担当、やや大柄なのが妙観で引狭霧雄を担当。 自分たちが総力を上げても解けなかった蔵の封印を法力僧としての修行すらしていない一般人である潮が易々と解いて獣の槍を手にした事実が受け入れられず、その上封印されていた妖怪・とらが退治される事なく潮に纏わりついているという事への危険性に危惧を覚えて、それらを排除するために独断で若い法力僧や凶羅を刺客として差し向けた。紆余曲折を経て潮が獣の槍の正統伝承者と認められてからはバックアップするようになる。 関守 日輪(せきもり ひのわ) 声 - 水樹奈々(テレビアニメ版) 獣の槍伝承者候補の一人。女性であり、櫛を使って戦う。 優れた力を持ちながら父親の「お前が男だったら」という言葉の為に自分が女であることにコンプレックスを持っており、それを克服するために獣の槍の伝承者になることに執着していた。また、相手からそのコンプレックスに触れられると頭に血が上って口より先に手が出てしまう傾向がある。 当初は使命感もなく成り行きで槍を振るう潮に強い怒りを抱いていて、それまでの戦いにおける彼の無責任ぶりや落ち度を糾弾したあげく槍を取り上げてしまう。しかしその直後に槍を狙う大量の婢妖に襲われ、頼みの槍も力を発揮せず危機に陥ったところを潮に助けられる。それからは潮を多少なりとも認めるようになった(それでも基本的にお調子者で非情になり切れない彼には厳しく当たる)。 その後はキリオが槍を破壊しようとしている件で潮と共闘したり、白面との最終決戦の折には結界を張るために無防備になっている僧達を婢妖や黒炎から守ったりと、光覇明宗の主力の一人として活躍。槍の伝承候補者に選抜されてからはいつ死んでもいいように命を捨てる覚悟を秘めており、メイ・ホーに一瞬の隙を付かれて寄生され操られるがままに潮を殺そうとした時や自分や流が斗和子の操る木偶人形のゴーレムに囚われの身となった時には、必死で抵抗し潮の命を守るべく自決しようとするなど強靭な精神力を持つ。 潮との交流を通じて、自分らしく生きることの大切さに気付き、槍への執着や女性であることへのコンプレックスから解放され、最終決戦では「私は日輪。関守日輪だ」と晴れ晴れとした顔で戦いに赴いている。 秋葉 流(あきば ながれ) 声 - 細谷佳正(テレビアニメ版) 獣の槍伝承者候補の一人。武器は錫杖と独鈷(どっこ)。特技は独鈷を使った結界術で、気付かれないうちに妖怪の動きを封じたり退路を断ったりする。また、瞬時に相手の弱点を見抜き、最良の戦略を立てる頭脳も大きな武器になっている。 潮とは婢妖との戦いで協力して以来、その人柄を気に入り、よき兄貴分として何度も力を貸している。また、とらを過去の凶悪な振る舞いから当初は、その素行を疑っており、滅ぼそうとして返り討ちにあうも逆に強い関心を示すようになる。その一方、伝承者ながら獣の槍にはほぼ無関心である。 幼少の頃から本気を出さずして何でも出来てしまう天才だったが、その事によって達成感というものを得られない人生につまらなさを感じただけでなく、絶えず周囲との軋轢にさらされていたため、いつも飄々として本気を見せない態度を取っていた。しかし潮と出会ったことから、自分の本気を発揮できない虚無感を隠したまま生きることに疑問を持ち、最終決戦の折に突如として白面側につく。その真意はそれまで隠していた本当の自分の姿を潮に見せることと、全力を出せる相手と認めたとらに戦いを挑むことだった。 潮が母親を助けに結界のもとへ向かう途中に立ち塞がり、とらと念願の激戦を展開。最初はこれまで隠していた不動金剛力などの法術を繰り出してとらを驚嘆させ、得意とする独鈷と結界術も駆使してとらを苦しめる。そして動きを封じたとらの前で、本当の自分も知らずに一途に信じる潮を嘲笑するが、それが潮に本心を明かせない負い目の裏返しであることをとらに見抜かれ、さらに本気で反撃に転じたとらに圧され始める。一度はとらに倒され、負けを認めて引くように諭されるが、なおも立ち上がり、光覇明宗の最強単独降魔捨法「月輪」で最後の勝負を挑む。だが、それもとらに受け切られた後に全力の反撃を受けて致命傷を負い、ついに力尽きて敗北を認める。最後に自身の苦悩と複雑な思いをとらに吐露した後、全ての力と本心を出し切ったことに満足感を抱きながら「風がやんだじゃねぇか」とつぶやき絶命した。彼の死は白面の者に利用され、潮ととらとの間に亀裂を生んでしまうことになるが、後の最終決戦では冥界の門から白面との最終決戦中の潮のもとに魂として現れ力を貸す。その際には潮と出会ったことで本当の自分を取り戻せたと感謝を告げていた。 単行本の巻末では、全裸のままアクロバティックな体勢でバイクに乗って登場するシーンが描かれており、読者の間で話題になった(読者の一人は、計3回の作者サイン会訪問で上半身・尻から太もも・ひざ下と描いてもらい、ついに全身像を手に入れた)。 杜綱 悟(もりつな さとる) 声 - 逢坂良太 / 幼少期 - 鷄冠井美智子(テレビアニメ版) 獣の槍伝承者候補の一人。人格・能力共に最も伝承者に近いと言われた男で周囲の人望も厚い。 法力に加えて陰陽道にも長け、蛭蠱(ひるこ)などの式神を使うことができる。幼少のころより潜在的に強い法力を持っていたが、逆上すると自身の力をコントロールできなくなる欠点があり、かつて純を襲った妖怪を一撃で粉砕して滅ぼしたが、その凄惨な姿から彼女をひどく怯えさせてしまったことがあった。そのことを非常に悔いており、二度と妹にあんな思いをさせまいと厳しい修行で自身を鍛え上げた結果、若い法力僧の中でもトップクラスの能力の持ち主となった。 潮が獣の槍の使い手であることを知ったとき、自覚のないまま心の底に嫉妬の気持ちを抱いてしまう。その隙を突かれ体内に侵入した婢妖に精神を支配されて潮たちを襲ったが、妹の純と潮の協力によって助かる。その際には純の口から過去に助けられたことへの感謝を伝えられて悔恨も解けた。それ以来、潮には非常に感謝と好意を持っている。 くらぎの総本山襲撃の一件で獣の槍伝承者として自信喪失しかけ獣の槍なしでも強くなりたいと申し出た潮に、死法「空骸の糸」の試練を通して「穿心」の心得を伝授し、槍から離れるのではなく、槍とともに強くなってゆくことこそ正しい道だと諭した。 整った顔立ちだが色恋には疎い。だが大事な妹の純の事はよく見ていて彼女の潮への好意に気づき、潮なら純を嫁に出してもいいと思っている。 最終決戦時は式神を使い、純とともに、結界を張る僧達の護衛にあたる。 杜綱 純(もりつな じゅん) 声 - 高垣彩陽(テレビアニメ版) 悟の2歳下の妹。兄を慕っている。兄を差し置いて獣の槍を手にした潮を憎んでいたが、兄の心を取り戻すために身の危険を冒して戦った潮を見て好意を持つようになった。潮に厳しい日輪とは反発しあっている。なお、獣の槍の伝承候補の選から漏れたとはいえ、300日にも渡る過酷な山岳修行を乗り越えた優秀な法力僧であり、法力に関しては通常の僧の何倍もある。 先述の「空骸の糸」の試練では「穿心」の口伝を潮に教え、最終決戦で憎しみを乗り越えた潮は、その口伝を再度思い出しつつシュムナを打倒した。 引狭(いなさ) 声 - 坂口候一(テレビアニメ版) もとは光覇明宗の上位師僧だったが、白面に対抗するための力を生み出すことに固執するあまり、西洋の「魔道」に手を出して破門された。謎の女「斗和子」の協力を得て研究を次々と成功させ、エレザールの鎌、ホムンクルス、マテリア(キリオ)などを次々と生み出した。最後には白面の眷属である斗和子に騙され利用されていたことを悟り、後悔の果てに自ら命を絶つ。後に潮たちが獣の槍を取り戻すために彼の館へ侵入した際には、ミイラと化した彼の亡骸が見つかり、手にしていた日記を読んだ潮たちは、キリオを裏で操る白面の者の陰謀を知ることとなった。 引狭 霧雄(いなさ きりお) / キリオ 声 - 潘めぐみ(テレビアニメ版) 引狭に連れられてきた獣の槍伝承者候補。 年少ながら優れた法力を持つ。さらに強力な武法具「エレザールの鎌」を持ち、ホムンクルス「九印」を従えている。実は引狭と白面の分身・斗和子によって誘拐した赤子を元に作られた法力人間「マテリア」である。 引狭の死後は斗和子に育てられ、彼女を「ママ」と呼んで慕っていた。そして言いつけ通りにくらぎを倒し、自分についた若い法力僧らを使って獣の槍を奪い、破壊する。しかし本性を現した斗和子によって、自分が白面の計略のために作られたという真実を知らされ絶望に突き落とされた。最後は自らの手で斗和子にとどめを刺すが、心に深い傷を負ったまま失踪する。その後、騙されていたとはいえ白面の者の策略に加担していたという罪悪感に苛まれ、斗和子の持っていた貯蓄を手にしつつ九印とともにあてもなく日本各地をさまよっていたところ、偶然、静岡県の浜辺で親類の家に遊びに来ていた真由子と再会する。彼女を守るために妖怪と戦ったことを通じて心の傷を克服し、そのまま真由子の家に引き取られることになった。 斗和子に育てられていたころは自分の強さに対する自信から他者を見下し、情に流される潮を弱い人間と切り捨てる冷たい性格だったが、潮や真由子との出会いによって徐々に少年本来が持つ明るさ、活発さを取り戻していく。真由子に好意を持っており彼女の支えになろうとする姿も見られるようになる。 最終決戦時には白面の放った婢妖によって潮ととらに関する記憶を失ってしまうが、強大な法力を持っており日頃から白面の達と戦う環境に身を置いていったおかげで多少は免疫があったためか真由子と同様に他の人妖達ほど正気を失わず、潮ととらに敵対する事無く助太刀した。白面の者誕生の真相を調査したり、結界の中心となっていた真由子を守り抜いたりと水面下で重要な役割を果たした。キリオは骨董のセンスがあるようで、真由子の父に気に入られており、ゆくゆくは自分のコレクションを譲ってもいいと思われている。 凶羅(きょうら) / キョウジ 光覇明宗では最強ともいわれる法力の持ち主だが、暴力的な性格のために破門となった破戒僧。本名はキョウジ。 大僧正・和羅の兄という立場にあるため破門後もその強さを買われて妖怪退治を依頼されることがあるが、弱者を救うことなど眼中になく、力を振るって妖怪を滅ぼすことにだけ興味を示す。自分の目的を達成させるためなら手段を選ばず、一般人はおろか女性に対して暴力を奮う事さえ厭わないが、孤児であった自分と和羅を引き取った育ての親であるお役目様(日崎御角)に対してだけは、「ババア」呼ばわりしながらも頭が上がらない様子。また、自分と同じように荒れていた過去を持つ紫暮とも面識があり、法力僧の中ではトップクラスの力を持つ彼の実力は認めているようで、忌々しい様子を見せながらも彼と事を構えることは避けているようである。潮が助けようとした野村少年が潮の窮地に我が身可愛さに見て見ぬふりをして、助けずに逃げ出そうとする弱さ・子狡さ・浅ましさに好感を持つ一方で、助けを求めてばかりで自分からは何もアクションを起こそうとしない弱者は嫌っている。 潮たちとは、光覇明宗の上層部から槍の奪還と「とら」の抹殺を命じられた刺客として対峙し、強大な法力によってとらを絶体絶命にまで追い詰めるが、獣の槍を手にした潮に敗れる。詳細は不明だが過去に何かしら大きな挫折を味わっているようで、敗北する事に対して異常なまでに恐怖感を抱いており「負けたヤツは死ぬしかない」というポリシー故に自分を殺そうとしたとらを止めた潮に、自分を殺すように言うがそれを拒否した潮によって生かされる事となるが、完全敗北を喫した上におめおめと生き永らえたという結果に人生最大の屈辱を味わう。その後は2人を破ることに執念を燃やし、北海道の札幌寺院にある宝物庫に潜入し強力な武法具「穿心角(せんしんかく)」を手に、潮・とら・紫暮の乗る寝台列車に乗り込み再び戦いを挑む。しかし山魚との戦いによって勝負は中断、そのまま決着はつかなかった。 くらぎが本山を襲った時にその場に居合わせ戦うが、穿心角の攻撃も通用せず他の法力僧とともに反射された法力で動きを封じられてしまい、お役目様(日崎御角)を守りきれずその後行方不明になる。その際には「ババアがしゃしゃり出てくたばったか」と悪態はついていたが、封じられた脚を迷わず切り捨てても御角を助けに向かおうとする一面を見せていた。最終決戦時に人知れず参加し、(本人曰く)「結界のもっとも弱い部分」を1人で防衛。自身も致命傷を負わされながらも斃した数多くの黒炎の屍の上で、かつて御角に説かれた言葉や潮ととらとの戦いを懐かしく振り返りつつ、初めて自分の為ではなく他者のために戦ったことに不器用ながらも満足感を覚え絶命した。 照道(しょうどう) 紫暮の留守中に芙玄院や潮の世話を任されている僧。白面との最終決戦でも法力僧の一人として参戦していた。
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