【シーハリアー】(しーはりあー)
Hawker Siddeley Sea Harrier.
ハリアーを発展させた、STOVL式艦上戦闘攻撃機。
STOVL機は軽空母での運用にも適すると考えられたため、インビンシブル級STOVL空母と合わせて開発された。
野戦攻撃機であったハリアーに対し、本機は艦隊防空・航空優勢確保・対艦攻撃・偵察など多岐にわたる任務が想定されたため、大幅な設計変更を必要とした。
対空・対艦用の「ブルーフォックス」レーダーや長距離航法用ドップラーレーダーの装備、HUDや兵器照準コンピューターの追加などがなされた。
空中戦に備えて、キャノピーは涙滴型に変更された。
またエンジンも、塩害対策を施されたペガサス Mk104に改良された。
フォークランド紛争においては撃墜22機、被撃墜ゼロという圧倒的な戦績を残した。
しかし、対空砲火で2機が失われ、他に運用事故で2機が失われている。
当初の運用者であった英国海軍からは既に退役しており、現在はインド海軍のみが使用している(空母「ヴィラート」艦載機として)。
日本での導入計画
前述の通り、本機を運用したのは英国海軍とインド海軍のみであるが、これ以外にわが国(海上自衛隊)でも導入が検討されたことがある。
1981年、当時の防衛庁が今後数年間にわたる業務計画として「中期業務見積り(56中業・1983年~1985年)」を策定した。
この中で、海上自衛隊に満載排水量2万トンクラスの洋上防空用軽空母を導入することが検討されており、この艦に搭載する「高速哨戒機」として、本機を40機程度導入する予定だった。
しかし、この時には軽空母の建造が見送られたため、本機の導入も幻に終わっている。
スペックデータ
乗員 | 1名/2名(複座型) |
全長 | 14.50m/12.73m(機首折り畳み時、FRS.1) 14.17m/13.16m(機首折り畳み時、FA.2) |
全高 | 3.71m |
全幅 | 7.70m/9.04m(フェリー翼端装備時) |
主翼面積 | 18.7㎡/20.1㎡(フェリー時) |
空虚重量 | 5,897kg |
運用重量 | 6,374kg |
最大離陸重量 | 11,884kg |
最大兵装搭載量 | 3,269kg |
エンジン | ロールス・ロイス ペガサスMk.104ターボファン(推力95.64kN)×1基 |
速度 (超過禁止/最大/巡航) | 716kt/639kt/459kt |
海面上昇率 | 15,240km/min |
実用上昇限度 | 15,545km |
荷重制限 | +7.8G/-4.2G |
戦闘行動半径 | 400nm(制空ミッション・AIM-9×4)/250nm(Hi-Lo-Hi・対地攻撃ミッション)(FRS.1) 100nm(90分のCAP・AIM-120×4)/116nm(Hi-Hi-Hi・超音速迎撃ミッション)/ 200nm(Hi-Lo-Hi・対艦攻撃ミッション)(FA.2) |
兵装 | 2連装ADEN 30mm機関砲パック×1基 AIM-120「AMRAAM」 AIM-9「サイドワインダー」 シーイーグル AGM-84「ハープーン」 通常爆弾 増槽等 |
派生型
BAe シーハリアー
(シーハリアー から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/28 00:58 UTC 版)
BAe シーハリアー(英: British Aerospace Sea Harrier)は、ホーカー・シドレー(現BAEシステムズ)社が開発した垂直/短距離離着陸機。同社のハリアーGR.3攻撃機を元にした艦上戦闘機として開発され、イギリス海軍・インド海軍で運用されたが、イギリス海軍では2006年、インド海軍でも2016年までに運用を終了した[1]。
注釈
出典
- ^ a b c d Calvert 2019.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 松崎 2005.
- ^ a b c d Polmar 2006, ch.19 New Directions.
- ^ a b Taylor 1983, pp. 253–256.
- ^ a b c d e f g 田村 2005.
- ^ 防衛研究所戦史研究センター 2014, pp. 154–168.
- ^ 防衛研究所戦史研究センター 2014, pp. 193–205.
- ^ 防衛研究所戦史研究センター 2014, pp. 168–174.
- ^ a b c Lambert 1991, pp. 311–312.
- ^ FlightGlobal: “Light fighter, big punch” (英語) (1996年7月10日). 2016年1月10日閲覧。
- ^ 近代日本史料研究会 2007, p. 155.
- ^ “英、冷戦時代に中国への兵器販売を検討”. AFP通信. (2008年12月31日)
ホーカー・シドレー ハリアー
(シーハリアー から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/14 03:12 UTC 版)
ホーカー・シドレー ハリアー (英語: Hawker Siddeley Harrier) は、イギリスのホーカー・シドレー(HSA; 後のブリティッシュ・エアロスペース)社が開発した垂直/短距離離着陸機(V/STOL機)。
- 1 ホーカー・シドレー ハリアーとは
- 2 ホーカー・シドレー ハリアーの概要
シーハリアー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/22 14:12 UTC 版)
「ホーカー・シドレー ハリアー」の記事における「シーハリアー」の解説
詳細は「BAe シーハリアー」を参照 1966年度国防白書ではCVA-01級航空母艦の計画中止も決定されており、イギリス海軍は将来的に正規空母を手放さざるを得ない事態に直面して、1969年頃から、新しい対潜巡洋艦でのハリアーの運用についての検討に着手した。1970年から1971年にかけての検討を経て、全通甲板巡洋艦(Through Deck Cruiser, TDC; 後のインヴィンシブル級)の排水量が18,750トンにまで大型化したことで、ハリアーの搭載計画が本格的に推進されることになった。1973年に1番艦「インヴィンシブル」が発注された時点で、海軍本部では既に艦隊航空隊(FAA)向けハリアーの要求事項を作成していたものの、同年の第四次中東戦争に伴う石油価格高騰の煽りを受けて、実際の発注は1975年となった。 まずハリアーGR.3をもとに、視界を改善するとともにブルーフォックス・レーダーを搭載、また兵装を変更するなど、艦上戦闘機として再設計したシーハリアーFRS.1が開発された。これはハリアーGR.3とともにフォークランド紛争で実戦投入されたが、空対空戦闘では被撃墜ゼロという偉業を達成し、また可動率も高く、高い評価を受けた。しかしレーダーのクラッター抑制能力の不足と視界外射程ミサイル運用能力の欠如が課題として指摘されたことから、レーダーをブルーヴィクセンに換装するなどした発展型のシーハリアーFA.2が開発され、既存のFRS.1から改装されたほか、新規製造も行われた。しかし、これらも、機体構造としては第一世代ハリアーの系譜に属しており、新型エンジンへの換装などのアップデートにはかなりの困難が伴うことから、2006年までにシーハリアーFA.2の運用は終了した。 なおインド海軍も、空母「ヴィクラント」搭載のホーカー シーホーク艦上戦闘機の後継機としてシーハリアーFRS.51を導入し、1983年より受領を開始した。これはFRS.1とほぼ同規格だったが、空対空ミサイルはアメリカ製のサイドワインダーではなくフランス製のマジックに変更されていた。また2006年からはレーダーをイスラエル製のEL/M-2032に換装し、ラファエル社のダービー空対空ミサイルの運用にも対応しており、インド軍は「インド洋で最良の空母対応型防空戦闘機」と称した。しかしやはり老朽化が進み、母艦となる「ヴィラート」の退役にあわせて、2016年に運用を終了した。
※この「シーハリアー」の解説は、「ホーカー・シドレー ハリアー」の解説の一部です。
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