防空
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防空(ぼうくう、英語: Air defense)とは、攻撃してくる航空機やミサイルの破壊、ないしその効果の低減・無効化を目的とした防衛手段[1]。アメリカ空軍では、対空戦における防勢作戦の一部と位置付けている[1][注 1]。
注釈
出典
- ^ a b c U.S. Airforce 2019, pp. 9–11.
- ^ Dunnigan 1992, pp. 186–188.
- ^ Hogg 1982, pp. 37–42.
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- ^ Dunnigan 1992, pp. 188–190.
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- ^ 吉田 1999.
対空砲火
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下表 はアメリカ軍が比島戦時に通常攻撃と特攻に対して、対空砲火の有効性を判定したものである。ただしアメリカ軍側からのみの判定であり、特攻と通常攻撃が一部混同されている可能性が高いことを付記しておく。 特攻機の撃墜判定記録(砲・銃弾数は1機撃墜するのに要した数、()内の機数は実際に撃墜した機数) 火砲1944年10月1944年11月1944年12月1945年1月5インチ通常 1,479発/機(1.5機) 1,213発/機(5機) 493発/機(9機) 2,675発/機(3.5機) 5インチVT 242発/機(6.5機) 324発/機(6機) 218発/機(4機) 402発/機(8機) 3インチ通常 59発/機(1.5機) 392発/機(1機) 戦果なし 986発/機(4機) 40mmボフォース 2,201発/機(23.5機) 2,408発/機(27機) 1,003発/機(33機) 3,576発/機(30.5機) 28mm機銃 戦果なし 戦果なし 戦果なし 2,170発/機(1機) 20mm機銃 9,983発/機(11機) 8,755発/機(13機) 3,933発/機(23.5機) 16,313発/機(15機) 12.7mm機銃 戦果なし 戦果なし 24,942発/機(0.5機) 17,402発/機(2機) 通常攻撃機の撃墜判定記録(砲・銃弾数は1機撃墜するのに要した数、()内の機数は実際に撃墜した機数) 火砲1944年10月1944年11月1944年12月1945年1月5インチ通常 748発/機(23機) 2,601発/機(1.5機) 795発/機(5機) 1,765発/機(4機) 5インチVT 65発/機(9.5機) 798発/機(1機) 179発/機(6.5機) 1,083発/機(3機) 3インチ通常 294発/機(4機) 戦果なし 戦果なし 戦果なし 40mmボフォース 3,672発/機(23機) 1,249発/機(6.5機) 2,151発/機(9.5機) 5,633発/機(7.5機) 28mm機銃 戦果なし 戦果なし 戦果なし 戦果なし 20mm機銃 7,802発/機(27機) 3,156発/機(5.5機) 6,729発/機(8機) 7,935発/機(10機) 12.7mm機銃 39,986発/機(0.5機) 875発/機(1機) 戦果なし 9,929発/機(1.5機) 一般的に特攻に対して絶大な効果を挙げたと誤解されている5インチVT信管が、実際には特攻に対して大きな効果を挙げていなかった。これは、5インチVT信管の供給が潤沢ではなかったことに加え、なるべく遠距離で航空機を撃破して攻撃を撃退することに秀でていた5インチVT信管に対して、特攻機側の数々のレーダー対策や、またアメリカ軍艦船に搭載されていたSkレーダーは25マイル以内の近距離の目標を探知することが困難であったので、特攻機に5インチVT信管が得意とする距離より遙か近い距離にいきなり侵入されていることも多く、砲撃が間に合わなかったためである。 そのため、特攻機対策の対空火器の主軸はボフォース 40mm機関砲やMk.IV 20mm対空機関砲(エリコンFF 20 mm 機関砲のアメリカ海軍仕様)の近接火器となった。しかし、通常攻撃であれば、攻撃機に損傷を与えれば攻撃を撃退することができるが、特攻機の場合は例え損傷しても、運動エネルギーによってそのまま艦船に突入してくる可能性もあり、特攻機を確実に撃墜するか、損傷によって進路を大きく変更させる必要があったのに対し、両機関砲は特攻機を出火させたり、損傷させたりすることはできても確実に撃墜するには威力不足であり、結果的に対空火器によって特攻を無力化することはできなかった。 その為、近接火力を強化すべくボフォース 40mm機関砲が大幅に増設された。エセックス級空母では、当初は4連マウント×8基=32門だったのが、最多で18基=72門まで増設された。ボフォース 40mm機関砲は先進的なMk.51 射撃指揮装置 により射撃管制されていた。最接近する特攻機に対してはMk.IV 20mm対空機関砲(エリコンFF 20 mm 機関砲のアメリカ海軍仕様)の大幅増設と連装化で対抗した。竣工時46門であった同機関砲も、特攻の脅威が増大した1945年には76門上と大幅増になっている。さらに、エセックス級空母では一旦は搭載が見送られたM45四連装対空機関銃架も応急的に設置して対空火力の強化をはかった。これら近接用の対空火器の大量装備によって威力不足をある程度は補うことができたが、より威力のある近接用の対空火器が必要と考えたアメリカ軍は、Mk 33 3インチ砲の開発を開始したが、配備は大戦に間に合わず、戦後にアメリカ海軍艦艇は、大半のボフォース 40mm機関砲以下の機関砲や機銃を取り外し、Mk 33 3インチ砲を装備している。 これらの対空火器を使用した対空戦闘については、対空火器の1基ないし数基が固定照準器を用いて個別射撃をしていた日本軍と違い、アメリカ軍は捜索・測定・照準用のレーダーを導入し、先進的な射撃指揮装置を使用した艦全体での統制射撃をおこなったため、射撃の精度は非常に高かった。各射撃要員にはマニュアルのほか、理解しやすいように動画を使用した教育も行われたが、個別の専門的な技術に加えて、「とにかく撃ちまくれ」と徹底されている。 沖縄戦で、特攻機を撃退しようとして大艦隊の10,000門を超す大小の火砲が信じられない速度で一斉に砲弾を打ち上げる様子は、我を忘れて見とれるほど壮観だったという。とあるアメリカ兵は夜間攻撃をかけてきた特攻機に対し一斉に打ち上げられた高射砲の曳光弾で空が真っ赤に染められているのを見て「独立記念日の花火を何百も併せたようなもので、何とも素晴らしいカーニバルだった」と感想を述べている。また白昼に攻撃してきた特攻機に何百万発という対空砲火が撃ちこまれ、その砲煙や爆煙で昼なのに空は薄暗くなっていたという。またアメリカ軍自身も想定外の量の対空砲火であったため、対空砲弾の破片が艦隊に降り注ぎ、中には艦艇が対空砲弾の破片により損傷したり火災を起こしたりすることもあった。また、その落下してきた破片により4月6日だけでアメリカ軍水兵が38名も死傷したほどだった。 特攻機の方も激化する対空砲火対策のため戦術を工夫しており、少数の特攻機で多大な戦果を挙げた硫黄島の戦いで、第2御盾隊の攻撃を受け大破した正規空母サラトガの戦闘報告によると「この攻撃はうまく計画された協同攻撃であった。攻撃が開始されたとき、4機の特攻機が同時にあらわれたが、各機は別々に対空砲火を指向させなければならないほど、十分な距離をとって分散していた。もしこれが自殺攻撃による一つの傾向を示しているのであれば、自殺機のなかには対空砲火を指向されないものが出てくる可能性があり、対空射撃目標の選定について混乱を生じさせることは確実なので、この問題はおざなりにできない」とあり、特攻機数機が連携をとりながら対空砲火を分散させる巧みな戦術で攻撃したことがうかがえる。第2御盾隊はサラトガに接近する際も、真っ直ぐサラトガには向かわず、同艦の真横35マイルに達した時点で、急角度で方向転換して、同艦の上空を覆っていた雲の中から降下し迎撃されることなく接近に成功している。 既存の対空火力では特攻対策に不十分と考えたアメリカ軍とイギリス軍は艦対空ミサイルの開発を本格的に進めた。先に開発されたのがイギリス軍のフェアリー・ストゥジ (英語版)であったが、実戦への投入は間に合わなかった。アメリカ軍は1945年7月に地対空ミサイルKAN リトルジョーを試作した。これは近接信管を装備し手動指令照準線一致誘導方式の指令誘導ミサイルであったが、性能が軍の要求を下回った上に、完成後まもなく終戦となったため、その後開発が中止されている。また、より先進的なセミアクティブ方式の誘導ミサイルとなったラーク(SAM-N-2 Lark) (英語版)の試作は太平洋戦争中に間に合わず、完成したのは1950年になってからだった。特攻対策で開発が加速した艦対空ミサイルは、その後ジェット機や対艦ミサイルに対抗するために高速化されるなど進化を続け、現在では高射砲に取って代わり艦隊防空システムの中枢に位置することとなった。
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