色 色の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 07:29 UTC 版)

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概説

色の認識には、光源・物体・視覚の三要素が必要である[2]

色と光に何らかの関係があることは古くから知られており、アリストテレスは「色は光と闇、白と黒の間から生じる」と述べている[3]。しかし、色の本質が明らかになるのは20世紀になってからである[3]。現代科学では色は目の前にあるというより色彩の認識として存在すると考えられている[3]

色覚は、目を受容器とする感覚である視覚機能のひとつであり、色刺激に由来する知覚である色知覚を司る。色知覚は、質量体積のような機械的な物理量ではなく、音の大きさのような心理物理量である。例えば、物理的な対応物が擬似的に存在しないのに色を知覚する例として、ベンハムの独楽がある。同一の色刺激であっても同一の色知覚が成立するとは限らず、前後の知覚や観測者の状態によって、結果は異なる。

色の様相

色の分類

物理学上の分類

色は物理学上では光源色と物体色に大きく分けられる[4]

光源色
太陽や電球、ネオンサインなどのように光源が発する光の色のことを光源色という[4]
物体色
物体に光を当てた時に認識できるその物の色のことを物体色という[4]。物体色には表面色(反射色)と透過色がある。表面色(反射色)はリンゴの表面の赤色のように物体に光が当たった際に特定の波長の光のみが反射されることでもたらされる(白の場合はすべての光を反射し、黒の場合はすべての光を吸収する)[4]。透過色はメロンソーダの緑色のように半透明の物体を光が通過する際に吸収されずに透過した特定の波長の光によってもたらされる[4]

色彩学上の分類

炎や電球が写り込んだ写真では実際にそこから光を放射しているように見えるなど、実際の色の認識は光源色と物体色では説明できないことが知られている[5]。そのため色彩学では面色と表面色という色の見え方の違いが重要とされている[5]

面色
視界に入る一面が青空のときのように位置関係や距離が不明瞭で奥行きのない二次元の色の見え方[5]
表面色
通常、物体の表面に現れているもので位置関係や距離などが明瞭に認識できる色の見え方[5]

色の三属性

色の見えは光源や物体によって変化するが、色味とその濃淡(強度)や明暗を具えている点で共通する。これは、色相彩度明度と呼ばれる。色相・彩度・明度は合わせて色の三属性と呼ぶ[1]

白や灰色、黒のグレースケールは、明度で区別され、色相を含まず彩度が0である。このような色を無彩色と呼ぶ。グレースケール以外の色は三属性すべてを持つ有彩色である[6]

血色などは体調などに対する反応に過ぎず、色ではない。上記の様に、色の三属性を全てを具えたものが色であり、「色には明度が無い」とか「白や黒は色ではない」などと主張している人たちが、志向しているものは色ではない。

色相

色相はオレンジといった色の様相の相違である。「ピンク色」「レモン色」「空色」「赤茶色」「肌色」「水色」などの色合いを表現する名詞と知覚内容を表す述語、そして、固有色名は色相を表現する語彙ではない。

色相は特定の波長が際立っていることによる変化であり、際立った波長の範囲によって、定性的に記述できる。ただし、常に同じ帯域が同じ色に見える訳ではない。連続して変化していく色味を円環上に並べたものを色相環と言う。白、黒、グレーを除く全ての色は、色相環に配置される色相のいずれかに属する。

色相の連続的な変化を示す例を3つ挙げる。

 
 
 

彩度

彩度は色の鮮やかさを意味する。物体の分光反射率が平坦になる程、彩度は低くなる。また、色相によって彩度が高いときの明度が異なる。彩度の連続的な変化を示す例を3つ挙げる。

 
 
 

明度

明度は色の明るさを意味する。明度の高低は、物体の反射率との相関性が高い。光の明暗に関して、明るさ (brightness, luminousity) があるが同様の知覚内容を指していると言える。色相に属さず、明度の違いによって区別される、白、黒、グレーなどの色を無彩色という。対して、色味を僅かでも持つ色は有彩色と呼ばれる。純色の中では、ニュートラルな黄色が最も明度が高く、ニュートラルな青は最も明度が低い。

明度の連続的な変化

特殊な色

ガリウム の結晶。
分光反射率はよく似通っているが、光の経路や光度によって色は異なる。
色上げ前の赤銅の板。

蛍光色や金属光沢を有する色は特殊な色として挙げることができる。なお、ここに掲げる色、特に特定条件における特定の部分の色を色の三属性で指定することは可能だが、指定される条件への依存度が大きく、色の指定としては有効ではない。

蛍光色

蛍光顔料には、昼光蛍光顔料有機蛍光顔料)と燐光顔料(無機蓄光顔料)がある。昼光蛍光顔料は蛍光染料の加工品である。昼光蛍光顔料は紫外線も含め吸収した光エネルギーの波長を変え、通常の反射光と合わせて反射する。このため、高い明度、高い彩度を示す。波長の移動は、長波長側に向かって起こるので、蛍光色は暖色に多い。燐光顔料は、残光性がある物で、蓄光顔料とも言う。有機蛍光顔料とは異なり、顔料そのものの色は弱く、夜光顔料に利用される。

構造色

光の波長あるいはそれ以下の微細構造による干渉や回折、散乱により物体が色付く現象を構造色と呼ぶ。構造色として有名なものに、昆虫のモルフォチョウ、コウトウキシタアゲハ、タマムシ、他にカモの羽根、宝石のオパールなどがある。油膜やコンパクトディスクの記録面の虹色も構造色といえる。

金属色

金属の粉末で金属光沢を有する粉末を顕色成分とする塗料などの色を金属色と称することがある。金属光沢は、金物一般に特有な、滑らかな表面に見られる光を反射する性質のことである。


注釈

  1. ^ JIS Z 8105:2000「色に関する用語」日本産業標準調査会経済産業省)11頁。
  2. ^ 他方で、日置隆一は『新編色彩科学ハンドブック』において、「物体という概念が付随」すると主張している。
  3. ^ 『新編色彩科学ハンドブック』などの参考文献を参照。ただし、著書の表題のように例外もある。
  4. ^ 錐体細胞の数が健常者よりも少ないために色が異なって見える。
  5. ^ ただし、完全な原色は実在しない。
  6. ^ 印刷技術で多用されるアゾ赤よりも色相的にマゼンタに近い。出典 :『有機顔料ハンドブック』 橋本勲 カラーオフィス 2006.5
  7. ^ 牛骨や石膏などの美術教材が良くないことや、市販の写真用のレンズが産業用レンズより良くないことに似ている。

出典

  1. ^ a b 『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会
  2. ^ 松本 英恵 『人を動かす「色」の科学』サイエンス・アイ新書、2019年、21頁。 
  3. ^ a b c 松本 英恵 『人を動かす「色」の科学』サイエンス・アイ新書、2019年、20頁。 
  4. ^ a b c d e 松本 英恵 『人を動かす「色」の科学』サイエンス・アイ新書、2019年、26頁。 
  5. ^ a b c d 松本 英恵 『人を動かす「色」の科学』サイエンス・アイ新書、2019年、30頁。 
  6. ^ 尾登誠一「3 色の世界を知る」 『色彩楽のすすめ』岩波書店〈岩波アクティブ新書〉、2004年、34頁。ISBN 4-00-700101-4 
  7. ^ 『新編色彩科学ハンドブック』日本色彩学会 東京大学出版会
  8. ^ 『広辞苑 第六版』岩波書店
  9. ^ インクジェット用顔料インキにおける顔料分散
  10. ^ 色の恒常性 - 脳の世界:京都大学霊長類研究所・行動発現分野(旧URL)
    色の恒常性 - 脳の世界:中部学院大学 三上章允(新URL)
  11. ^ 目と健康 No,13 特集:色覚の異常
  12. ^ 色の組み合わせチェック - 読みやすい前景色と背景色
  13. ^ インテリアセミナーレポート「高齢者の視界と色の視認性」(東リ)(1999.02) - ウェイバックマシン(2010年10月19日アーカイブ分)
  14. ^ 日本色彩研究所 『色の百科事典』丸善、2005年、124-127頁。ISBN 978-4621075425 
  15. ^ 清野恒介 『色彩用語事典』新紀元社、2009年、136-137頁。ISBN 978-4775307113 
  16. ^ 男は青。女は赤。これって決まりごと?(Excite Bit コネタ) - エキサイトニュース 反面、「男は青、女は赤」というイメージは、万国共通らしい。武蔵野大学のある教授が世界20カ国、約5000人を対象に「男女のイメージカラー」について調査したところ、「男は青、女は赤」という回答が最も多く得られたというのだ。
  17. ^ レゴに緑が少ない理由とは? レゴブロックの“深イイ”世界 〈dot.〉 dot.ドット 朝日新聞出版






色と同じ種類の言葉


品詞の分類

接尾語    色  荒らし  

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