横浜市
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/25 17:36 UTC 版)
地理
市域は神奈川県の東部にあたり、東経139度43分31秒(鶴見区扇島)から139度27分52秒(瀬谷区目黒町)、北緯35度35分33秒(青葉区美しが丘西)から35度18分44秒(金沢区六浦南)に位置する[40]。東は東京湾に面し、北は川崎市、西は大和市・藤沢市・東京都町田市、南は鎌倉市・逗子市・横須賀市に接する。市域の面積は神奈川県の約18%を占め、県内の市町村で最も広い。
地形
横浜市域の地形は、丘陵地、台地・段丘、低地、埋立地に分けられる。
市の面積の多くを丘陵地が占めている。丘陵地は、市域中央部よりやや西よりに分布し、市域を南北に縦断する。この丘陵地は保土ケ谷区・旭区などを流れる帷子川付近を境に、北側と南側で性質を異にする。北側の丘陵地は、多摩丘陵の南端に位置し、標高は60mから100mで北に向かって高くなっている。南側の丘陵地は、三浦半島に続く三浦丘陵の北端部を占め、標高は80mから160mで南に向かって高くなっている。南側の丘陵地の方が起伏も激しく、標高も高い。鎌倉市に山頂部を置く大平山をはじめとする通称「鎌倉アルプス」に続く峠部分が市内最高点(栄区上郷町、標高159.4m)であり、市内最高峰の大丸山(金沢区釜利谷町、標高156.8m)や円海山(磯子区峰町、標高153.3m)もこの南側の丘陵地に位置する。一方、北側の丘陵は最高峰が高尾山(緑区、100m)と然程高い山はない。もっとも、平均標高は高く、旭区が市内で最も高い。
台地・段丘は、丘陵地の東西にある。東側の台地は鶴見区の地名を取って下末吉台地と呼ばれ、標高は40mから60mで鶴見川付近まで続く。瀬谷区、泉区、戸塚区など西側の台地は、相模野台地の東端に当たり、標高は30mから70mで南に向かって低くなっている。本牧付近で台地が海に突き出し、その南側は根岸湾と呼ばれる。横浜駅周辺も幕末まで袖ヶ浦と呼ばれる入り江だった。
低地には、丘陵地や台地を刻む河川の谷底低地と沿岸部の海岸低地がある。谷底低地は鶴見川に沿って広がり、平坦な三角州性低地を形成する。また、海岸部には埋立地が造成され、海岸線はほとんどが人工化されている。金沢区の小さな入り江平潟湾は、鎌倉幕府が江戸湾側の海の玄関口とした天然の良港であった。島としては金沢区の野島(扇島・八景島は人工島)があり、野島海岸が横浜で唯一の自然海浜となった。
- 河川
- 鶴見川、鳥山川、早渕川、砂田川
- 帷子川、今井川、中堀川
- 境川、柏尾川、㹨川、宇田川、和泉川
- 大岡川、堀割川、中村川
- 入江川、侍従川、富岡川、大川、滝の川
- 山
- 南部の港南区・磯子区・栄区・金沢区境付近の標高が高く、大丸山(標高156m)、円海山(標高153m)などがある。
気候
本州のほぼ中央、太平洋岸に位置し、ケッペンの気候区分では温帯の温暖湿潤気候(Cfa)に属する。気温の年較差は大きく、四季は明瞭。1日の寒暖の差は小さく、1年を通じて穏やかな気候である。横浜では、梅雨時と秋雨・台風の時期に降水量が多い。夏は名古屋以西の都市と比べると暑さが穏やかで、冬は晴れる日が多く、積雪は南岸低気圧によるもので年1-3回程度だが、積もるときには比較的まとまる(10cm以上)ことが多い。 一方、西部に位置する緑区の長津田地域や旭区の二俣川地域などは30cm以上の積雪となる事も少なくない。平成26年豪雪では旭区で60cm~70cmの積雪を観測した。 横浜の平均気温はヒートアイランド現象により年々上昇傾向にあり、その傾向は特に冬の最低気温に顕著に現れる。 近年では氷点下まで冷え込むことも稀となっており、冬日は年に数日程度である。 一方で旭区や瀬谷区など横浜市西部は緑被率が高く、内陸部に位置することから市中心部と比較して気温は低い。特に冬季の最低気温では横浜気象台より5度程度低く、氷点下5度以下を記録することも多い。 中心部と比較して積雪も多い。 夏季は、鶴見区や港北区など北東部ほど平均気温が高くなる一方、緑地のまとまって存在する西部の旭区・緑区や、南部の栄区・港南区などの平均気温は低くなり、最大で2度程度の差が開く事もある。
横浜の年平均降水量は1688.6mmで、月平均降水量の最高は9月の233.8mm、最低は12月の54.8mm。年平均気温は15.8°Cで、月平均気温の最高は8月の26.7°C、最低は1月の5.9°C。年平均相対湿度は67%で、月平均相対湿度の最高は6、7月の78%、最低は1月の53%。年平均風速は3.5m/sで、最大は3月の3.9m/s、最小は7、8月の3.2m/s。6月から8月にかけて南西風が卓越する他は、北風が卓越する。年平均の合計日照時間は1964.4時間で、最多は8月の206.3時間、最少は9月の130.7時間。大気現象の年平均日数は、雪が9.7日、霧が8.0日、雷が12.6日となっている[41]。
横浜地方気象台の観測史上、最高気温は2013年8月11日および2016年8月9日の37.4°C、最低気温は1927年1月24日の−8.2°C。同じく、日降水量が最も多かったのは1958年9月26日の287.2mm、年降水量が最も多かったのは1941年の2535.2mm[42]。
横浜の初雪の平年値は12月15日で、初霜は12月10日、初氷は12月12日[43]。桜(ソメイヨシノ)の開花日の平年値は3月26日で、満開日は4月3日となっている[44]。
横浜市(横浜地方気象台)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 20.8 (69.4) |
24.8 (76.6) |
24.5 (76.1) |
28.7 (83.7) |
31.1 (88) |
35.5 (95.9) |
37.2 (99) |
37.4 (99.3) |
36.2 (97.2) |
32.4 (90.3) |
26.2 (79.2) |
23.7 (74.7) |
37.4 (99.3) |
平均最高気温 °C (°F) | 10.2 (50.4) |
10.8 (51.4) |
14.0 (57.2) |
18.9 (66) |
23.1 (73.6) |
25.5 (77.9) |
29.4 (84.9) |
31.0 (87.8) |
27.3 (81.1) |
22.0 (71.6) |
17.1 (62.8) |
12.5 (54.5) |
20.2 (68.4) |
日平均気温 °C (°F) | 6.1 (43) |
6.7 (44.1) |
9.7 (49.5) |
14.5 (58.1) |
18.8 (65.8) |
21.8 (71.2) |
25.6 (78.1) |
27.0 (80.6) |
23.7 (74.7) |
18.5 (65.3) |
13.4 (56.1) |
8.7 (47.7) |
16.2 (61.2) |
平均最低気温 °C (°F) | 2.7 (36.9) |
3.1 (37.6) |
6.0 (42.8) |
10.7 (51.3) |
15.5 (59.9) |
19.1 (66.4) |
22.9 (73.2) |
24.3 (75.7) |
21.0 (69.8) |
15.7 (60.3) |
10.1 (50.2) |
5.2 (41.4) |
13.0 (55.4) |
最低気温記録 °C (°F) | −8.2 (17.2) |
−6.8 (19.8) |
−4.6 (23.7) |
−0.5 (31.1) |
3.6 (38.5) |
9.2 (48.6) |
13.3 (55.9) |
15.5 (59.9) |
11.2 (52.2) |
2.2 (36) |
−2.4 (27.7) |
−5.6 (21.9) |
−8.2 (17.2) |
降水量 mm (inch) | 64.7 (2.547) |
64.7 (2.547) |
139.5 (5.492) |
143.1 (5.634) |
152.6 (6.008) |
188.8 (7.433) |
182.5 (7.185) |
139.0 (5.472) |
241.5 (9.508) |
240.4 (9.465) |
107.6 (4.236) |
66.4 (2.614) |
1,730.8 (68.142) |
降雪量 cm (inch) | 4 (1.6) |
4 (1.6) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
9 (3.5) |
平均降水日数 (≥0.5mm) | 5.7 | 6.3 | 11.0 | 10.7 | 11.1 | 13.5 | 12.0 | 8.8 | 12.7 | 12.1 | 8.6 | 6.2 | 118.8 |
平均降雪日数 (≥0cm) | 4.9 | 7.0 | 3.4 | 0.1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2.3 | 17.7 |
% 湿度 | 53 | 54 | 60 | 65 | 70 | 78 | 78 | 76 | 76 | 71 | 65 | 57 | 67 |
平均月間日照時間 | 192.7 | 167.2 | 168.8 | 181.2 | 187.4 | 135.9 | 170.9 | 206.4 | 141.2 | 137.3 | 151.1 | 178.1 | 2,018.3 |
出典:気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1896年-現在)[45][46] |
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出典:気象庁[47][注釈 6] |
参考文献
- 『横浜市防災計画 震災対策編 YOKOHAMA2005』 横浜市防災会議・発行、横浜市安全管理局危機管理室・編集、2006年(平成18年)3月
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東京都町田市 | 川崎市 | ![]() | |
大和市 | ![]() |
(東京湾) | ||
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藤沢市 | 鎌倉市 逗子市 | 横須賀市 |
注釈
- ^ 徽章は横浜港開港50周年を記念して、市民からの公募により制定(明治42年6月5日告示第44号)。「ハマ」の2文字が図案化されている。公式には、この意匠を「ハマ菱」という(「交通局徽章設定ノ件」(大正10年2月25日)、横浜市功労章に関する規則(昭和30年3月5日規則第7号)別図)
- ^ 1980年(昭和55年)に緑区長津田町と旭区上川井町から一部を編入した、卸本町の一部を除く。
- ^ 関内地区の中区本町6丁目50番地の10には横浜市役所が、中区日本大通1番地には神奈川県庁がある。
- ^ 武蔵国久良岐郡に属する。「横浜」の名は、海から見たとき「横に長い浜」であることに由来するとされる[32]。櫻井澄夫や鏡味明克(横浜地名研究会会長)によれば、古語の「ヨコ」の用例から「長い浜」であることに由来し、大浜や長浜とほぼ同義であるという[33]。
- ^ 横浜村は、安政6年(1859年)に横浜町となり、1878年(明治11年)には郡区町村編制法の施行により横浜区になっていた。
- ^ 以下の数値は資料不足値の為未記載、1923年「平均気温(12.8)、最高平均(18.7)、最高気温・最高値(34)、最高気温・最低値(1.8)、最低平均(11.1)、最低気温・最低値(-6.7)、最低気温・最高値(27)、各階級日数<0℃最低(41)、≧25℃最低(13)、<0℃最高(0)、≧25℃最高(68)、≧30℃最高(38)、≧35℃最高(0)、湿度(75)」2013年「湿度(64)」
- ^ 野毛山公園の石碑による
- ^ 横浜市立学校の管理運営に関する規則(昭和59年教育委員会規則第4号)4条1項8号は、小中学校における休業日として「開港記念日 6月2日」と定めている。
- ^ 従来、開港記念日は旧暦に合わせて6月2日としてきたが、このとき新暦に合わせて7月2日とした。しかし、1928年(昭和3年)には6月2日に再変更され、現在に至っている。
- ^ 関東大震災による死者は2万人余で人口比にして東京の約2倍 (5.4%)、全壊家屋は6万戸。
- ^ 横浜大空襲による被害は、死者3,787人、重傷者1,554人、軽傷者10,837人、罹災者313,144人、罹災戸数79,350戸に及ぶ(「神奈川県下の空襲被害状況」 (PDF) 、『神奈川県警察史(中巻)』より、横浜市行政運営調整局総務部法制課)。
- ^ 横浜は連合国軍によって、港湾施設の90%、市街地の27%が接収された。接収された土地の面積は918万m2、建物は96万m2に上る。また、横浜の接収は、沖縄県を除く全国の接収土地面積の70%、接収建物の61%を占め、その6割は継続接収であった。
- ^ 以下、いずれも2020年(令和2年)9月1日現在。
- ^ 市議会を地方自治法規定外の通称である「市会」と称する慣習は、他の五大都市にも見られる。
- ^ 詳しい表記などは、「横浜市の町名一覧(平成18年11月1日現在)」(横浜市市民活力推進局区政支援部窓口サービス課、2007年1月5日更新)を参照。
- ^ 2006年(1月〜12月)の日本船籍客船の寄港回数は、131回で4年連続国内1位。
- ^ 横浜市統計書の、2019年度の市内各駅の1日平均乗車人員より算出した。複数の鉄道会社が乗り入れている駅については、それぞれのデータを合算した[119]。
出典
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