基本情報技術者試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/03 02:11 UTC 版)
第二種情報処理技術者試験
第二種情報処理技術者試験 | |
---|---|
英名 |
Programmer Examination[注 5] Class II Information Technology Engineer Examination[注 6] |
略称 | 情報2種、二種 |
実施国 | 日本 |
資格種類 | 国家資格 |
分野 | コンピュータ・情報処理 |
試験形式 | マークシート |
認定団体 | 経済産業省 |
認定開始年月日 | 1970年(昭和45年)[注 7] |
認定終了年月日 | 2000年(平成12年) |
根拠法令 | 情報処理の促進に関する法律 |
公式サイト | https://www.jitec.ipa.go.jp/ |
特記事項 | 実施は情報処理技術者試験センターが担当 |
ウィキプロジェクト 資格 ウィキポータル 資格 |
第二種情報処理技術者試験(だいにしゅじょうほうしょりぎじゅつしゃしけん、略称二種、Class II Information Technology Engineer Examination)は、かつて情報処理技術者試験にあった区分である。
1969年(昭和44年)に第二種情報処理技術者認定試験(だいにしゅじょうほうしょりぎじゅつしゃにんていしけん)として実施され、翌年1970年(昭和45年)より第二種情報処理技術者試験として開始された。
1985年(昭和60年)試験までは年1回の実施だった。受験者数の増加に伴い、1986年(昭和61年)以降は春期(4月第3日曜日)と秋期(10月第3日曜日)の年2回の実施に変更された。2000年(平成12年)秋期まで実施され、2001年(平成13年)春期より後継の基本情報技術者試験(略号FE)に移行した。
1994年(平成6年)春期までの情報処理技術者試験制度では、最も難易度が低い区分とされていた。また、同年秋期以降も、新設された初級システムアドミニストレータ試験[注 8]に次いで2番目に難易度が低い区分とされていた。しかしながら、合格率が20%を上回ることはきわめて稀であり、例年10%台の難関国家資格であった。2009年(平成21年)春期以降の現行FEは合格率が20%を下回ったことがないため、現行FEよりも難易度が高い国家試験であったといえる。
なお、対象者像は高等学校卒業後、実務経験1年以上3年未満の一般常識を有するプログラマとされている[注 9]が、実際の受験者、合格者は大学生および社会人が多く、高校生が合格するのは難しい国家試験として認知されていた。
試験形式
午前と午後の両方で基準点以上の得点を獲得することで合格となる。
午前
試験時間150分。多肢選択式(マークシート使用)で80問出題され全問解答。
コンピュータシステム、ネットワーク、データベース、離散数学、プログラムなど情報技術全般から基本的な知識を問う問題が出題された。簿記・会計や経営戦略、企業活動に関する内容(現行FEのストラテジ系に相当する領域)も出題された。
1994年(平成6年)春期までは情報技術に関する英語の文献の問題や、情報技術の歴史の問題、また、ITの知識というより一般教養(税金など)を問われるような内容の問題も出題されていた[30]。
午後
試験時間150分。午前の応用問題の他、後継のFEでも出題されているアルゴリズムおよびプログラミング言語に関する問題が出題された。特にアルゴリズムとプログラミングは配点が大きいため、合格するためにはしっかりとした対策をする必要があった。
- 擬似言語:必須問題として2問出題されていた。アルゴリズムおよびデータ構造についての知識が問われる。
- IT知識全般:午前の応用問題である。情報技術全般からの応用的知識を問う問題が4問出題されており、そのうち2問を選択して解答することになっていた。
- システム設計:3問が出題され、そのうち1問を選択して解答。内部設計・プログラム設計・マイコン応用システム設計から各1問ずつ出題され、基礎的能力を問われた。
- 各種プログラミング言語:FORTRAN、COBOL、C言語、アセンブラ言語(CASL)から一つないし二つの言語に関しての知識を問う。各言語2問ずつ、計8問出題され、うち2問を選択して回答する形式だった。
- 1985年まではCASLの代わりにCAP-Xが出題されていた。
- C言語は1992年(平成4年)秋期から追加された。
- 1994年(平成6年)春期まではPL/Iが選択可能だった。
- 1976年(昭和51年)まではALGOLが選択可能だった。
- 第二種情報処理技術者試験で選択可能だった言語のうち、後継のFEにも引き継がれたのはC言語・COBOL・CASLの3つである。ただしCOBOLは2019年(令和元年)の試験を最後に廃止された。また、CASLはFEでは仕様の改訂が行われている(CASL II)。
- 現行FEの選択可能言語のうち、Java、Python、表計算ソフトは第二種情報処理技術者試験では出題対象外だった。ただし表計算ソフトは初級システムアドミニストレータ試験には出題されていた。
- FORTRANは試験制度変更(FEへの移行)に伴い廃止された。
1994年(平成6年)春期までは第一種情報処理技術者試験(現・応用情報技術者試験)などと同じく記述式だったが、同年秋期よりマークシート使用の多肢選択式に変更された。後継のFEも多肢選択式である。
注釈
- ^ ただし例外的に、2009年(平成21年)度秋期試験と2016年(平成28年)度春期試験は30%台の高い合格率となった。この内、平成21年度秋では、午後のアルゴリズム・擬似言語の問題に出題ミスがあり、全員に加点措置が行われたためである。
- ^ ちなみに、上位区分であるスキルレベル3の応用情報技術者試験の合格者平均年齢は例年28~29歳程度である。基本情報技術者試験と同じスキルレベル2の情報セキュリティマネジメント試験の合格者平均年齢は35歳を超えている。
- ^ 第二種情報処理技術者試験の英語名称は、当初“Programmer Examination”であったが、1994年(平成6年)秋期試験より“Class II Information Technology Engineer Examination”に変更された。
- ^ 他にもシステム監査技術者試験およびプロジェクトマネージャ試験も名称変更を伴わなかった。
- ^ 1994年春期試験まで
- ^ 1994年秋期試験から
- ^ 前身の第二種情報処理技術者認定試験を含めるならば、1969年(昭和44年)。
- ^ 開発者側ではなく利用者側の区分であり、当時は最も難易度が低い区分と言われていた。初期は「システムアドミニストレータ試験」という名称だったが、のちに上級システムアドミニストレータ試験が新設されたことから名称が変更された。
- ^ 対象及び水準「プログラム設計書に基づくプログラムの作成に主として従事する者を対象とし、高校卒業程度の一般常識を有し、1年程度以上のプログラミング経験を有する一般プログラマーを想定して試験を行う。(一般プログラマー対象)」[29]
- ^ 例えば、警視庁では、警察官採用試験の第1次試験の成績の一部に利用される[31]
出典
- ^ a b 2001年(平成13年)6月7日『官報』号外第116号 p.1「官庁報告 国家試験 平成13年度春期情報処理技術者試験合格者」
- ^ 基本情報処理技術者とは??|基本情報技術者試験.com
- ^ a b c IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験:統計情報
- ^ 統計情報 - 基本情報技術者試験ドットコム
- ^ “統計情報(基本情報技術者試験)”. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構. 2024年1月9日閲覧。
- ^ 平均年齢 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験:統計情報 2019年11月24日閲覧
- ^ 小学生9歳が最年少合格 IT技術者の国家試験:日本経済新聞
- ^ “プレス発表 基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験に8歳の小学3年生が合格 | プレスリリース”. www.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (2023年5月17日). 2024年1月9日閲覧。
- ^ “87歳が「基本情報技術者試験」最年長で合格 学び直しと挑戦の日々”. www.asahi.com. 朝日新聞デジタル (2023年5月29日). 2024年1月9日閲覧。
- ^ ジュニアマイスター顕彰に係わる区分表
- ^ 2000年(平成12年)11月8日通商産業省令第329号「情報処理技術者試験規則の一部を改正する省令」
- ^ 2001年(平成13年)1月4日『官報』第3027号 p.11「官庁報告 国家試験 平成13年度春期情報処理技術者試験」
- ^ 2007年(平成19年)経済産業省令第79号「情報処理技術者試験規則等の一部を改正する省令」
- ^ 2009年(平成21年)1月4日『官報』第3027号 p.11「官庁報告 国家試験 平成13年度春期情報処理技術者試験」
- ^ 平均年齢 (PDF) (IT人材育成センター国家資格・試験部)
- ^ 情報処理技術者試験 推移表 (PDF) (IT人材育成センター国家資格・試験部)
- ^ a b 情報処理技術者試験 推移表 (PDF) (IT人材育成センター国家資格・試験部)
- ^ a b 「表計算ソフトの機能・用語」改訂版の公開について at the Wayback Machine (archived 2018年1月27日)
- ^ “【重要なお知らせ】令和2年度における情報処理技術者試験、情報処理安全確保支援士試験の実施について”. www.jitec.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構. 2020年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月9日閲覧。
- ^ “情報セキュリティマネジメント試験(SG)、基本情報技術者試験(FE)のCBT方式での実施(予定)について”. www.jitec.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (2020年10月15日). 2020年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月9日閲覧。
- ^ a b “情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について(基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験の通年試験化)”. IPA 情報処理推進機構 (2022年4月25日). 2022年4月25日閲覧。
- ^ “プレス発表 基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験を通年試験化”. IPA 情報処理推進機構 (2022年4月25日). 2022年4月25日閲覧。
- ^ “試験要綱・シラバスについて | 試験情報”. www.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構. 2024年1月9日閲覧。
- ^ 出題率は80問中10問! セキュリティ問題の重要性|初心者も未経験者も。基本情報技術者試験 ~合格への道~
- ^ プレス発表 iパス(ITパスポート試験)をはじめとする情報処理技術者試験の出題構成の見直しについて:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
- ^ “プレス発表 基本情報技術者試験における出題を見直し:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構”. www.ipa.go.jp. 2019年1月28日閲覧。
- ^ xTECH(クロステック), 日経. “COBOLを廃止しPythonを採用、IPAが基本情報技術者試験を見直し”. 日経 xTECH(クロステック). 2019年1月28日閲覧。
- ^ 基本情報技術者試験 (FE) の午前試験が免除される制度について | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
- ^ 第二種情報処理技術者試験 - 情報処理推進機構:情報処理技術者試験
- ^ 昭和の情報処理試験問題を発見したので公開します:新刊ピックアップ - 技術評論社
- ^ 資格経歴等の評定(警察官)_採用情報_平成29年度警視庁採用サイト
- ^ “IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験:大学活用(入試優遇)”. www.jitec.ipa.go.jp. 2021年4月8日閲覧。
- ^ “IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験:大学活用(単位認定)”. www.jitec.ipa.go.jp. 2021年4月8日閲覧。
- ^ “資格等で単位認定”. 通信教育課程 | 産業能率大学・自由が丘産能短期大学. 2021年4月8日閲覧。
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