基本情報技術者試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/03 02:11 UTC 版)
概要
試験は科目Aと科目Bに分けられている。いずれもComputer Based Testing (CBT) 方式によって実施される。問題数・問題構成等は #形式 を参照。
試験の出題範囲は、「コンピュータ科学基礎・コンピュータシステム・システムの開発と運用・ネットワーク技術・データベース技術・セキュリティと標準化・情報化と経営」など多岐にわたる。また、コンピュータ言語のプログラミングに関する問題が出されることから、主にプログラマ向けの能力認定試験として、情報産業界では古くから重要視される。
情報処理技術者試験の中では、応用情報技術者試験(旧・第一種情報処理技術者試験)と並び、最も歴史の長い区分である。
現在ではシステム開発者側だけでなく、旧・初級システムアドミニストレータ試験(初級シスアド)で対象にしていた利用者側にもある程度対応した試験となっている(例えば、午後試験で簿記や経営に関する内容が出題されたり、プログラミングに関する問題で言語の代わりに表計算ソフトを選択可能になった、など)。しかしながら、午後のアルゴリズムは選択必須であり、依然としてプログラマからシステムエンジニアへの登竜門とされている。情報工学に関連するエンジニアの実務においてもベースとなる。特に大手システム開発会社ではこの試験に合格することが技術者の必要最低限の資格として重要視されることがあり、入社3年程度以内に取得することを推奨されている。その上で、応用情報技術者試験(AP)など、上位の試験合格を目指すキャリアパスになっている。
受験者の年齢層は10代半ばから50歳代と幅広い。近年では、60代や70代など高齢者の受験も僅かながら増加している。受験者のボリュームゾーンは、19 - 21歳(主に情報系の大学生、専門学校生)と、22 - 25歳(主にシステム開発会社の新入社員)にある。合格者の平均年齢は24 - 26歳とボリュームゾーンよりやや高い年齢である。
新卒のIT職の志望者の中での取得率は10%に満たない。大手民間企業や公的機関のIT関連職では基本情報技術者試験 (FE) 以上の合格者しか採用しないケースもある。 公的機関では特に、情報技術の関連職の採用を、基本情報技術者試験 (FE) の合格を基準に行っているところがあり、大学卒業程度に相当する資格と位置づけられるのが一般的である。
受験者の最終学歴の最頻は理工系の情報系専攻の大卒となっているが、近年では文系の大卒が増加している。その背景としては文学部や経済学部といった従来情報系とは関連の乏しい分野にも情報解析、情報処理を応用した講義が増加傾向にあることや、情報メディアといった芸術職や広告業向けの専攻が増加したこと、情報技術の普及とITリテラシーの高度化などが挙げられる。
応募者数に比して実際に受験した受験者数が例年低く(これは応用情報技術者試験 (AP) も同様)、受験率は毎年60パーセントから70パーセント程度である。言い換えれば、3割程度の応募者は受験していない[3]。
年間の受験者数は10万人を超え(2022年度は応募者数約11万人)、情報処理技術者試験の試験区分のなかでITパスポート試験(2022年度は応募者数約25万人)に次いで多い[3]。1985年試験までは年1回の実施だったが、受験者数が増加したため、1986年以降は年2回の実施に変更された。
注釈
- ^ ただし例外的に、2009年(平成21年)度秋期試験と2016年(平成28年)度春期試験は30%台の高い合格率となった。この内、平成21年度秋では、午後のアルゴリズム・擬似言語の問題に出題ミスがあり、全員に加点措置が行われたためである。
- ^ ちなみに、上位区分であるスキルレベル3の応用情報技術者試験の合格者平均年齢は例年28~29歳程度である。基本情報技術者試験と同じスキルレベル2の情報セキュリティマネジメント試験の合格者平均年齢は35歳を超えている。
- ^ 第二種情報処理技術者試験の英語名称は、当初“Programmer Examination”であったが、1994年(平成6年)秋期試験より“Class II Information Technology Engineer Examination”に変更された。
- ^ 他にもシステム監査技術者試験およびプロジェクトマネージャ試験も名称変更を伴わなかった。
- ^ 1994年春期試験まで
- ^ 1994年秋期試験から
- ^ 前身の第二種情報処理技術者認定試験を含めるならば、1969年(昭和44年)。
- ^ 開発者側ではなく利用者側の区分であり、当時は最も難易度が低い区分と言われていた。初期は「システムアドミニストレータ試験」という名称だったが、のちに上級システムアドミニストレータ試験が新設されたことから名称が変更された。
- ^ 対象及び水準「プログラム設計書に基づくプログラムの作成に主として従事する者を対象とし、高校卒業程度の一般常識を有し、1年程度以上のプログラミング経験を有する一般プログラマーを想定して試験を行う。(一般プログラマー対象)」[29]
- ^ 例えば、警視庁では、警察官採用試験の第1次試験の成績の一部に利用される[31]
出典
- ^ a b 2001年(平成13年)6月7日『官報』号外第116号 p.1「官庁報告 国家試験 平成13年度春期情報処理技術者試験合格者」
- ^ 基本情報処理技術者とは??|基本情報技術者試験.com
- ^ a b c IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験:統計情報
- ^ 統計情報 - 基本情報技術者試験ドットコム
- ^ “統計情報(基本情報技術者試験)”. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構. 2024年1月9日閲覧。
- ^ 平均年齢 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験:統計情報 2019年11月24日閲覧
- ^ 小学生9歳が最年少合格 IT技術者の国家試験:日本経済新聞
- ^ “プレス発表 基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験に8歳の小学3年生が合格 | プレスリリース”. www.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (2023年5月17日). 2024年1月9日閲覧。
- ^ “87歳が「基本情報技術者試験」最年長で合格 学び直しと挑戦の日々”. www.asahi.com. 朝日新聞デジタル (2023年5月29日). 2024年1月9日閲覧。
- ^ ジュニアマイスター顕彰に係わる区分表
- ^ 2000年(平成12年)11月8日通商産業省令第329号「情報処理技術者試験規則の一部を改正する省令」
- ^ 2001年(平成13年)1月4日『官報』第3027号 p.11「官庁報告 国家試験 平成13年度春期情報処理技術者試験」
- ^ 2007年(平成19年)経済産業省令第79号「情報処理技術者試験規則等の一部を改正する省令」
- ^ 2009年(平成21年)1月4日『官報』第3027号 p.11「官庁報告 国家試験 平成13年度春期情報処理技術者試験」
- ^ 平均年齢 (PDF) (IT人材育成センター国家資格・試験部)
- ^ 情報処理技術者試験 推移表 (PDF) (IT人材育成センター国家資格・試験部)
- ^ a b 情報処理技術者試験 推移表 (PDF) (IT人材育成センター国家資格・試験部)
- ^ a b 「表計算ソフトの機能・用語」改訂版の公開について at the Wayback Machine (archived 2018年1月27日)
- ^ “【重要なお知らせ】令和2年度における情報処理技術者試験、情報処理安全確保支援士試験の実施について”. www.jitec.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構. 2020年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月9日閲覧。
- ^ “情報セキュリティマネジメント試験(SG)、基本情報技術者試験(FE)のCBT方式での実施(予定)について”. www.jitec.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (2020年10月15日). 2020年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月9日閲覧。
- ^ a b “情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について(基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験の通年試験化)”. IPA 情報処理推進機構 (2022年4月25日). 2022年4月25日閲覧。
- ^ “プレス発表 基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験を通年試験化”. IPA 情報処理推進機構 (2022年4月25日). 2022年4月25日閲覧。
- ^ “試験要綱・シラバスについて | 試験情報”. www.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構. 2024年1月9日閲覧。
- ^ 出題率は80問中10問! セキュリティ問題の重要性|初心者も未経験者も。基本情報技術者試験 ~合格への道~
- ^ プレス発表 iパス(ITパスポート試験)をはじめとする情報処理技術者試験の出題構成の見直しについて:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
- ^ “プレス発表 基本情報技術者試験における出題を見直し:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構”. www.ipa.go.jp. 2019年1月28日閲覧。
- ^ xTECH(クロステック), 日経. “COBOLを廃止しPythonを採用、IPAが基本情報技術者試験を見直し”. 日経 xTECH(クロステック). 2019年1月28日閲覧。
- ^ 基本情報技術者試験 (FE) の午前試験が免除される制度について | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
- ^ 第二種情報処理技術者試験 - 情報処理推進機構:情報処理技術者試験
- ^ 昭和の情報処理試験問題を発見したので公開します:新刊ピックアップ - 技術評論社
- ^ 資格経歴等の評定(警察官)_採用情報_平成29年度警視庁採用サイト
- ^ “IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験:大学活用(入試優遇)”. www.jitec.ipa.go.jp. 2021年4月8日閲覧。
- ^ “IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験:大学活用(単位認定)”. www.jitec.ipa.go.jp. 2021年4月8日閲覧。
- ^ “資格等で単位認定”. 通信教育課程 | 産業能率大学・自由が丘産能短期大学. 2021年4月8日閲覧。
基本情報技術者試験と同じ種類の言葉
試験に関連する言葉 | 国際ポルトガル語検定試験 全商情報処理検定試験 基本情報技術者試験(きほんじょうほうぎじゅつしゃしけん) 無試験(むしけん) 試験(しけん) |
- 基本情報技術者試験のページへのリンク