不退去罪 概説

不退去罪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/07 06:05 UTC 版)

概説

他人の住居、建造物、艦船に、適法に又は過失によって立ち入ったのち、要求を受けたにもかかわらず退去しなかった場合に成立する。ただし、退去を要求されたからといって即座に不退去罪の既遂となるわけではなく、所持品を整理して持つとか、衣類を着用して靴を履くなど退去に要する合理的な時間を超えて故意に退去しなかった場合に成立する。また、住人や管理人が退去してほしいと思っていても、明示的な退去要求がなければ本罪は成立しない。

不退去罪に該当する例として、住人に拒否された後の債権の取り立て、営業や布教の継続、店員から退去要求を受けた後の当該店舗への滞在継続などが挙げられる。

不退去罪にも未遂処罰規定が存在し、これは、退去要求後、退去に要する合理的な時間を経過前に突き出された場合などがあげられるが、その行為に当罰性はないとされる[1]

法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金である。

住居侵入罪に当たる行為により侵入した後、要求を受けて、なお立ち去らなかった場合には住居侵入罪のみが成立し、不退去行為はこれに吸収される[2]

退去の要求をうけたにもかかわらず居座っている者に対して、食糧を供給するなどし、その者の居座りを助けた場合には、不退去罪は継続犯であるから、同罪の共犯となる。

脚注

出典

参考文献


  1. ^ 大谷實『新版 刑法講義各論[追補版]』(成文堂、2002年)参照。この場合、「退去義務が生じていない予備の段階」であると解すべきだとする。
  2. ^ 最高裁決定 昭和31年8月22日


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