レースクイーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/17 23:34 UTC 版)
世界での状況
欧米では「Paddock Girls」「Grid Girls」等の名称で、決勝レース時のダミーグリッドでの看板持ちなどに女性を起用することが多いが、これは基本的にレース主催者側が用意するもので、日本のレースクイーンのように各チームと契約して、胸を強調するような服を着てレース毎に帯同する形態とは異なる。
ただ欧米ではこれらの女性についても「性差別の象徴」とみなして批判する意見があり、実際にFIA 世界耐久選手権(WEC)では2015年よりグリッドガールを原則廃止している[4](ただし富士スピードウェイで行われる日本ラウンドでは、2017年現在もグリッドガールが存在している[5])。
F1でも2015年ブラジルグランプリでは「女性だけを起用するのは不公平」との意見から「Grid boy and girl」として男女混在形式が導入されたほか[6]、2017年末にはWEC同様にグリッドガールを原則廃止すべきとの議論が巻き起こった(ただしドライバーやチーム関係者はこれに反対している)[7]。
廃止
- 鈴鹿サーキットクイーンは2020年末を持って活動及び新規募集を終了した[8]。
- 性差別に関するマナーは欧米は当然のごとく、ユーラシア・アジアでも非常に厳しくみられる傾向が21世紀に入り急激に強まっており、グリッドガールはその批判の先頭に立たされてきたこともあって、2018年1月31日、フォーミュラ1は「現代の社会規範にそぐわない」として2018年シーズンからグリッドガール(レースクイーン)の廃止を決定した[9]。グリッドガールに代わって「グリッドキッズ」を導入した[10]。グリッドボーイを試験的に導入したうえでの変更であった。
コスチュームの変遷
コスチュームのデザインは、同じチーム・スポンサーであっても毎年細部を含めて変更されており、その時代の流行が多く反映されている。
1980年代以前
サーキットのイメージガールである、本来のレースクイーンの活躍が見られた時期。
コスチュームはTシャツかタンクトップとホットパンツの組み合わせに、足元はブーツといういでたちが一般的。季節によって、丈の短いジャケットが加わる場合もある。たすきは必携で、時代やサーキットによっては、ミニスカートやティアラも見られる。
まだロングヘアはあまり見られない。
1980年代から1990年代前半
当時のエアロビクスブームの影響から、足ぐりの角度を極端に上げたハイレッグカット(ハイレグ)のワンピース型レオタードが主流となり、これにスポンサー名を直接プリントするか、またはたすきが用いられる。下には海外製を中心とした、ジャズダンス用のマチの見えない光沢のあるストッキングが組み合わされた。また、Tバックタイプのレオタードを着用するレースクイーンも多く見られた。
ピンヒールと大きな傘、そして当時流行の髪形(初期はレイヤー、その後ワンレンやソバージュ)とともに、レースクイーンの象徴的なスタイルとして強い印象を与えた。フェイスメイクは色黒、太眉が主流であった。
1990年代後半
ハイレグ路線から転換し、極端なミニスカートのワンピースが主流となる。スパンデックス素材で作成された体のラインがそのままに出るものから、徐々にエナメル素材(PVC)のものへと変化していった。
ワンピースの利点は布地面積が広いことであり、スポンサーロゴが大きくプリントされ、企業やチームカラーで色とりどりにデザインされた。大きな襟が付いていることも特徴的だった。
ハイレグに代わるセクシーさを求め、大胆なスリットを設けたり、バストの部分をくり抜き、谷間を強調するデザインが現れた。
2000年代初頭
大きな変化としてはワンピースからセパレートタイプへの移行が挙げられる。ウエスト部分を露出したアンダーバストまでの上衣(ホルターネック・チューブトップ・ハーフトップやキャミソールが中心)とミニスカートに、ブーツ(夏季はサンダル)、春や秋には七分袖丈の上着を合わせるというスタイルが主流となった。ワンピース時代と比べスポンサーロゴは小さくなったが、カラーリングの組み合わせが容易になった。
またパンツスタイルも採用されるようになり、長ズボン(スラックス)と短いホットパンツに大別される。この場合もサイドを網状にしたりカッティングしたりするなど大胆な露出が施されていた。
2000年代後半
引き続きセパレートタイプが主流となっているが、色や素材の違うパターンを織り込んで縫製された、細部にわたる複雑なデザインのものへと変化している。またショートパンツはローライズタイプが主流となっている。またアクセサリー・帽子・上着もチームによってさまざまに取り入れられている。さらにスポンサーによってはドレスやメイド服、セーラー服など、萌え系コスプレを意識したデザインも登場しており、露出一辺倒からの転換がうかがえる。
- ^ a b “【美女カタログ】一挙蔵出し! Fニッポン・レースクイーン集”. MSN産経ニュース. (2011年12月29日). オリジナルの2011年12月29日時点におけるアーカイブ。 2011年12月30日閲覧。
- ^ F1がレースクイーン廃止を発表!「現代の社会規範に適さない」 THE PAGE、2018年2月1日、2022年8月7日閲覧。
- ^ “2日間のギャラは50万円!? 80年代後半から始まった”レースクイーン・バブル”は、こんなにスゴかった!”. 集英社 ヨミタイ (2019年2月23日). 2019年7月25日閲覧。
- ^ FIA世界耐久選手権のグリッド・ガールが今年から廃止に! - autoblog日本版・2015年4月8日
- ^ 日本のトップレースクイーン8名が世界耐久選手権のグリッドを華やかに演出 - NewsWalker・2017年10月2日
- ^ Verstappen also no F1 ‘grid boy’ fan - ThisisF1・2015年11月17日
- ^ グリッドガール廃止説にドライバーたちが反対「F1から美しさをこれ以上奪わないで……」 - オートスポーツ・2017年12月18日
- ^ “「鈴鹿サーキットクイーン」、2020年限りで活動を終了”. Formula Web (2020年12月28日). 2022年10月24日閲覧。
- ^ “F1、グリッドガール廃止 「現代の社会規範にそぐわず」”. フランス通信社 (2018年2月1日). 2018年5月26日閲覧。
- ^ “F1、グリッドガール廃止に代わって『グリッドキッズ』の導入を正式発表”. オートスポーツWeb (2018年2月6日). 2018年5月26日閲覧。
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