クロロホルム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/16 05:08 UTC 版)
毒性
中枢神経に作用するため、その特性を逆に利用して麻酔剤として利用されてきた。しかし大量に吸入すると血圧や呼吸、心拍の低下を引き起こし、重篤な場合は死に至る。また呼吸器、肝臓、腎臓に影響を与えることが確認されており、発がん性も疑われている[2]。IARCの発がん性評価ではグループ2Bに分類されている。マウスなどの動物実験によって変異原性が疑われている[2]。また、ラットを用いた実験では、胎児毒性、発達毒性が見られた[2]。しかしヒトの生殖に対してどのような影響を与えるのかは知られていない。
歯磨き粉や咳止めシロップ、軟膏や他の薬剤に用いられたこともあったが、アメリカ合衆国では1976年に利用が中止された。
不燃性であるが前述のように強塩基や強酸化剤、マグネシウムや亜鉛といった金属類とは反応するため、溶媒として用いる際には注意が必要である。
これらの問題のため、研究室ではドラフト内で利用することが望ましい。なお毒性と厳しい排出規制、およびグリーンケミストリーの観点から極力使用しないよう推し進められており、より安全なジクロロメタンや、より環境負荷の小さい溶媒への転換が行われている。
日本では毒物及び劇物取締法の医薬用外劇物に指定、労働安全衛生法の第二類物質特別有機溶剤等に指定されるなどの規制を受けている。
作業環境での管理濃度は、3ppmである。
脚注
関連項目
- ^ 麻酔の歴史 - 浜松医科大学麻酔・蘇生学講座
- ^ a b c d e f “IPCS UNEP//ILO//WHO 国際化学物質簡潔評価文書 No.58 クロロホルム” (PDF). 国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部 (2009年). 2012年1月14日閲覧。
クロロホルムと同じ種類の言葉
- クロロホルムのページへのリンク