カカオマス カカオマスの概要

カカオマス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/14 09:42 UTC 版)

カカオマスの製法

原産地での工程

収穫・発酵

カカオの実は年2 - 3回収穫される。収穫後すぐに実(カカオポッド)を割り、種子周囲のパルプ(白色の果肉)ごと取り出し、発酵させる。 発酵はバナナの葉でくるむ、若しくは木箱に入れて行い、むらができぬよう毎日撹拌する。 発酵期間は豆の種類によって異なるが、概ね一週間前後とされている。

乾燥・出荷

充分に発酵した豆は、速やかに天日若しくは乾燥機で水分を除去する。 輸送・保管中のカビの原因となるため、水分は6%以下になるようにする。 麻袋などに60kg程度ずつ袋詰めし、船便で出荷する。

加工地での工程

選別・焙炒・分離

到着したカカオ豆は選別機(クリーナー)を通され、(ふるい)や送風機の風、磁石などによって異物を除かれ、人の目視によって最終選別される。 ビーンズロースト法(豆ロースト法)ではこの後、焙煎機(ロースター)で熱風を当て、コーヒー豆と同じように焙煎される(但しコーヒー豆の焙煎温度は230-250℃、アーモンドピーナッツでは170-180℃、カカオ豆の場合は110-150℃である[要出典])。 焙煎の済んだカカオ豆は粗く粉砕され、風選機(ふうせんき)(セパレーター/ハスカー/ウィノワー)によってハスク(外皮)と胚芽を取り除かれる。 ハスクを取り除き、粗く粉砕されたカカオ豆は、カカオニブ (cacao nibs)と呼ばれる。

磨砕

カカオニブは磨砕機(グラインダー/リカーミル)によって直径約100μm程度まで磨り潰される。 カカオニブには約55%の脂肪分が含まれているため、細かく磨り潰すと液状になる。 この磨り潰されたペーストがカカオリカーである。

カカオマスの焙炒法

カカオ豆のロースト方法は、上記のビーンズロースト法の他に、ニブロースト法とリカーロースト法がある。

ニブロースト法
ロースト前にハスクの除去を行い、カカオニブのみを焙煎する方法。
リカーロースト法
ハスク除去、カカオニブ磨砕を先に行い、液体のカカオリカーを焙煎する方法。
プレロースト
ニブロースト法などの場合、本ローストの前に、ハスクを除去しやすくするため短時間熱風を当てる。

またココアパウダー用のカカオマスを製造する際は、ロースト前にアルカリ剤などを添加し、風味・色調の調整を行う場合がある。

カカオマスを原料とする製品

ココアパウダー・ココアバター

カカオマスには約55%のカカオ脂肪分(ココアバター)が含まれている。 プレス機でカカオリカーから適度にココアバターを圧搾したものをココアケーキと称し、ココアミルでココアケーキを粉砕して粉末状にしたものがココアパウダーである。 ココアパウダーの脂肪分は約11% - 23%程度である。

チョコレート

カカオマスはそれぞれのメーカーの嗜好に合わせて数種類がブレンドされ、チョコレートに加工される。ブレンドはカカオニブやカカオリカーの段階で行われる場合もある。カカオマスに砂糖粉乳ココアバター植物油などを加えて均一に混合したものは、チョコレートの元でありチョコレートドゥと呼ばれる。チョコレートドゥはその後、レファイナーによる最終磨砕、コンチェ(コンチングマシン)による精錬、テンパリング(温調)による脂肪結晶の生成、成型、包装、エージング(結晶安定化)など多くの工程を経て、製品としてのチョコレートになる。


  1. ^ 平気で「チョコ」を買う人が知らない超残念な真実” (日本語). 東洋経済オンライン (2023年2月10日). 2023年2月14日閲覧。


「カカオマス」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カカオマス」の関連用語

カカオマスのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カカオマスのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカカオマス (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS