あおぞら銀行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/21 05:19 UTC 版)
本店の入居する上智大学6号館ソフィアタワー | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
機関設計 | 監査役会設置会社[1] |
市場情報 | |
本社所在地 |
日本 〒102-8660 東京都千代田区麹町6丁目1番地1 ソフィアタワー |
設立 |
1957年(昭和32年)4月1日 (株式会社日本不動産銀行) |
業種 | 銀行業 |
法人番号 | 9010001016861 |
金融機関コード | 0398 |
SWIFTコード | NCBTJPJT |
事業内容 | 銀行業務 ほか |
代表者 | 代表取締役社長 大見秀人 |
資本金 |
1,000億円 (2023年3月31日現在) |
発行済株式総数 |
1億1828万9418株 (2023年3月31日現在) |
経常利益 |
連結:1832億92百万円 単体:1645億64百万円 (2023年3月期) |
純利益 |
連結:66億55百万円 単体:▲81億27百万円 (2023年3月期) |
純資産 |
連結:4311億19百万円 単体:4051億77百万円 (2023年3月31日現在) |
総資産 |
連結:7兆1840億70百万円 単体:6兆7678億05百万円 (2023年3月31日現在) |
従業員数 |
連結:2442人 単体:1980人 (2023年3月31日現在) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)12.06% 野村信託銀行(信託口2052255)4.28% 日本カストディ銀行(信託口)2.60% (2023年3月31日現在) |
主要子会社 | #関連会社参照 |
外部リンク | https://www.aozorabank.co.jp/ |
あおぞら銀行のデータ | |
---|---|
英名 | Aozora Bank, Ltd. |
統一金融機関コード | 0398 |
SWIFTコード | NCBTJPJT |
法人番号 | 9010001016861 |
店舗数 |
国内本支店20 海外駐在員事務所3 |
貸出金残高 | 2兆9,488億円 |
預金残高 | 4兆0,125億円 |
特記事項: (2021年3月31日現在) |
概説
1998年に経営破綻し、特別公的管理銀行として預金保険機構の管理下に置かれた日本債券信用銀行が、2000年9月にソフトバンクグループ・オリックス・東京海上火災保険が組成した投資ファンドへ売却され、商号を変更した。2006年4月1日に普通銀行に転換し現体制となった。
社名は人々が思いを寄せる青空のように思いを共有できるクリーン・オープン・フェアな銀行でありたい思いを込めたものとし、ロゴマーク「フューチャー・ストリーム」(未来への潮流)は金融業の新たな可能性に挑戦する意思を込めた象徴とし、永遠を思い願うイメージの青色「エターナルブルー」を基調に未来への希望を生み出すエネルギーをイメージした下部から右上へ伸びる白い曲線をあしらい、菱形は知性と信頼を表すものとした[3]。
商号変更以来、新興企業やノンバンク[注 1]・不動産投資信託各社や、地方銀行などと提携した上での中小企業への融資および当行関連会社であるベンチャーキャピタルなど通じた取引が業務の中心となっている。個人顧客対象としては、店舗取引での通常金利より若干利率を引き上げたダイレクトチャネルによる「ダイレクト定期」の取扱を2001年から開始し、新規顧客の獲得に寄与している。
2003年以降、筆頭株主であるソフトバンクグループが米国の投資ファンドサーベラスへ持株を売却し、2006年11月に日債銀から起算すると8年ぶりに東証一部に再上場を果たした。東証一部に上場したあおぞら銀行だが、2008年4月サーベラスグループによるTOBが成立した。サーベラスは上場時にあおぞら銀行株を高値で大量売却し多額の利益を得ており、モラルハザードではないかという声も上がっている。なお、2006年11月30日、同じくサーベラスグループが筆頭株主であるGMAC社に対して5億ドル(当時のレートで約579億円)の投資を行ったが、ほぼ全額が回収不能となった。
相次ぐトップ交代
現行名へ変更されてから、短いサイクルでトップの交代が繰り返されている。
社長は丸山博が1年、水上博和が3年3か月、フェデリコ・J・サカサが1年8か月で交代し、会長はエドワード・ハーシュフィールドが1年5か月[注 2]、マイケル・ロッシが2年[注 3]、能見公一が1年で交代している。経営トップの人事は大株主であるサーベラスの意向が強く反映されており、サーベラスの短期間で結果を追い求める姿勢が、安易な経営者の交代と無責任体質を生み出すと批判されている[4]。
2008年10月以降、会長ポストが空席ながら、代表権のない取締役副会長が在籍する状態となっていたが、翌年2月には、フェデリコ・J・サカサ社長兼CEOが辞任し社長不在となった。そして、ブライアン F. プリンス副社長執行役員が、代表権もなく取締役でもないまま、社長代行兼CEO代行執行役員に就任し、実務を行う形となっていたが、同年6月、代表取締役社長兼CEOに昇格した[注 4]。併せて、馬場・徳岡両副社長に代表権を付与した。
2012年9月、ブライアン F. プリンス社長が一身上の都合を理由[注 5] に、CEO職を退任の上で代表権のある会長に就任し、後継には馬場副社長がCEO兼務で昇格した[5]。
新生銀行との合併の破談
2010年10月に新生銀行との合併を目指していたが、新生側の2010年3月期の連結決算で最終赤字に陥ったことと、双方の経営方針をめぐる対立が解消できなかったことを理由に、予定していた合併を2010年5月14日付けで解消することを正式に発表した。
サーベラス支配からの脱却
2012年9月、サーベラスが保有株を売却、約9年間のサーベラスの支配から脱却した。サーベラスから送り込まれた経営陣・取締役は2013年6月の株主総会までに順次退任し、日債銀からの生え抜きである馬場信輔らが舵を取る体制となった。
大和証券グループ本社との資本業務提携
2024年5月13日、同日発表の2023年度決算について、アメリカの不動産向け融資事業の失敗などが影響し、最終損益が499億円の赤字になった。これを受けて、大和証券グループ本社との間で資本業務提携を締結し、本行が予定している第三者割当増資により、同社が株式の約15%を取得。本行の筆頭株主になることを発表した[6]。
沿革
日本債券信用銀行
あおぞら銀行
- 2000年(平成12年)
- 9月1日 - 日本債券信用銀行がソフトバンク、オリックス、東京海上火災保険(現・東京海上日動火災保険)などから成る投資グループに売却された。
- 9月20日 - 大阪市内のホテルで、本間忠世社長が自殺。
- 12月 - 丸山博が社長就任。
- 2001年(平成13年)
- 1月4日 - 行名をあおぞら銀行に変更。
- 4月 - あおぞらダイレクト定期預金の取扱を開始。
- 12月 - オリックス及びオリックス・クレジットとの共同出資で銀行系消費者金融会社「株式会社あおぞらカード」を設立。マイワン(MY ONE)の名称で事業を開始。
- 2002年(平成14年) - 新キャラクター「ゾウのアオ・ゾーラ」発表。
- 2003年(平成15年)
- 2004年(平成16年)
- 2005年(平成17年)
- 2006年(平成18年)
- 2007年(平成19年)
- 2008年(平成20年)
- 2月21日 - 株主であるサーベラスとの方針対立から、能見公一会長がCEO職を解任される。同氏は5月21日に取締役を辞任し、あおぞら銀行を去る。フェデリコ・J・サカサ社長がCEOを兼務。
- 3月31日 - ソウル駐在員事務所を閉鎖。
- 6月26日 - ジャカルタ駐在員事務所を閉鎖。
- 7月25日 - 2008年3月期決算が、経営健全化計画で挙げた収益目標を未達成なものであったため(いわゆる「3割ルール」に抵触した)、金融庁から業務改善命令を受ける[8]。
- 10月3日 - 金融庁へ、経営健全化計画を提出[9]。なお、当初、金融庁は8月25日までに提出するよう指示していたが、世界的な金融危機に伴い、提出期限の延長が認められた[注 7]。
- 12月16日 - バーナード・L・マドフによる巨額詐欺事件に投資していた事を発表。同日発表した被害額は124億円。その後、117億円に訂正。
- 2009年(平成21年)
- 2月10日 - 2009年3月期決算が約2000億円の赤字になるとの予想を発表。同日、フェデリコ・J・サカサが社長兼CEOを辞任。ブライアン F. プリンス副社長執行役員が社長代行兼CEO代行執行役員に就任、石田克敏取締役副会長執行役員に代表権が付与される。
- 4月1日 - インターネットバンキングの取り扱いを開始。同時に、ネット支店であるあおぞら銀行インターネット支店を開設。
- 4月25日 - あおぞら銀行と新生銀行が将来の経営統合について交渉に入ったことが報道された。
- 6月25日 - 新生銀行と2010年(平成22年)中に合併することで基本合意したと報道された[10][11]。
- 6月26日 - ブライアン F. プリンスが社長兼CEOに、白川祐司顧問が取締役会長にそれぞれ就任(この時点でブライアン社長と副社長2名(馬場信輔と興銀出身の徳岡国見)に代表権を付与)。これに伴い、石田克敏代表取締役副会長執行役員は辞職した。
- 7月1日 - 池田憲人顧問が就任。
- 2010年(平成22年)
- 2月 - 新生銀行との合併が破談となるとの報道がなされた。
- 5月14日 - あおぞら・新生の両行が、合併解消を正式に発表。
- 2011年(平成23年)
- 5月16日 - 2011年9月後半債を以って、売出債の新規発行の停止を発表。
- 9月27日 - 同日の販売を以って、売出債の発行を停止。
- 2012年(平成24年)9月27日 - 馬場信輔代表取締役副社長が社長兼CEOに、ブライアン F. プリンス社長が代表取締役会長に、白川祐司会長が取締役にそれぞれ就任。徳岡国見代表取締役副社長は同職に再任。
- 2013年(平成25年)
- 2014年(平成26年)
- 2月 - あおぞら投信設立。
- 5月 - シンガポール駐在員事務所開設。
- 2015年(平成27年)
- 1月 - あおぞら不動産投資顧問設立。
- 6月29日 - 公的資金を完済。GMOインターネットとの間で、完全子会社であるあおぞら信託銀行の活用を前提としたネット銀行の共同運営に関する検討を開始[13]。
- 12月7日 - 償還前の売出債に対する買入消却を実施。
- 2016年(平成28年)5月2日 - 勘定系システムをBeSTAcloudにリプレース[14]。
- 2017年(平成29年)5月8日 - 上智大学が建設した6号館ビル(通称:ソフィアタワー)に本店を移転。ビル1Fに本店窓口を設置[15][16]。
- 2018年(平成30年)
- 6月1日 - あおぞら信託銀行がGMOあおぞらネット銀行に商号変更。
- 8月27日 - セブン銀行との接続を開始(片提携)。ゆうちょ銀行では非対応となる、キャッシュカードの暗証番号の変更(VISAデビットの暗証変更は不可)に対応。入金は全時間無料だが、引き出しは時間内でも有料となる。
- 10月 - GMOあおぞらネット銀行から吸収分割により信託業務を承継し、信託業務を開始。
- 11月 - 国内全営業店に設置のATMをゆうちょ銀行ATMに置き換えが完了[17]。
- 2019年(令和元年)
- 7月16日 -「BANK™ BY AOZORA BANKサービス」を開始。支店名はBANK支店(ビーエーエヌケーしてん)(従来から存在した、インターネット支店から改称)である[18]。なお、GMOあおぞらネット銀行とは(資本関係はあるが)別の銀行である。
- 2021年(令和3年)
- 1月29日 - この日までに、BANK支店および有人店舗窓口での現金取り扱いおよび個人名義の有人支店口座開設の新規受付を終了。
- 2月1日 - BANK(ビーエーエヌケー)ブルー支店を開設。
- 10月11日 - BANK(ビーエーエヌケー)スカイ支店を開設。
- 2022年(令和4年)11月1日 - BANK(ビーエーエヌケー)マリン支店を開設。
- 2024年(令和6年)5月13日 - 大和証券グループ本社との間で資本業務提携を締結。本行が予定している第三者割当増資により、同社が株式の約15%を取得し、本行の筆頭株主になる予定[6]。
注
- ^ ダイナシティ・アイフル等。
- ^ ブルームバーグ によればハーシュフィールドはカリフォルニア連邦銀行など金融事業に努めた人物。
- ^ ブルームバーグ によればロッシは米国最大手の不動産企業ショーレンスタインの顧問を長年務めていた人物である。なお同社を創立したウォルター・ショーレンスタイン(1915 – 2010)は米国民主党の主な資金提供者であった。
- ^ ブルームバーグ『人』。
- ^ 同日には、サーベラスによるあおぞら銀行株式の売却方針が明らかになっている。
- ^ ソフトバンクは当初、グループ内の投資会社ソフトバンク・インベストメント(現・SBIホールディングス)と提携し、当行をインターネット関連事業に対する投資銀行化を図った。しかし、同グループの投資銀行化を恐れた金融庁の反対により頓挫し、株式の売却に至る。
- ^ 同じ7月25日に業務改善命令を受けた琉球銀行と岐阜銀行も提出期限延長を認められ、9月16日に経営健全化計画を提出している。
- ^ みずほ銀行は2002年(平成14年)の再編と同時に取り止め、新生銀行は普通銀行転換前に取りやめている。
- ^ 返済の原資を利益金ではなく資本剰余金とすることは、会計上「資本の払い戻し」と位置づけられ、優先株の価値を下げる効果がある。
出典
- ^ コーポレート・ガバナンス - 株式会社あおぞら銀行
- ^ 構成銘柄一覧:日経平均株価 Nikkei Inc. 2021年10月8日閲覧。
- ^ あおぞら銀行 - 日本のロゴ(成美堂出版2007年)35頁
- ^ 週刊ダイヤモンド 2008年6月7日号
- ^ 馬場副社長が社長に昇格 あおぞら銀がトップ交代 『共同通信』2012年9月27日
- ^ a b 日本放送協会 (2024年5月13日). “あおぞら銀行 大和証券グループ本社が業務提携で筆頭株主へ”. NHKニュース. 2024年5月14日閲覧。
- ^ あおぞら銀行が業務クライアントをMacに移行、その理由とは? - Enterprise Watch 2005年10月21日
- ^ 株式会社あおぞら銀行に対する行政処分について - 金融庁 2008年7月25日
- ^ 経営健全化計画の見直しについて - 金融庁 2008年10月3日
- ^ 新生銀・あおぞら銀、10年合併で基本合意 比率「1対1」軸に 日本経済新聞 2009年6月25日[リンク切れ]
- ^ 新生銀行 あおぞら銀行合併へ NHKニュース 2009年6月25日[リンク切れ]
- ^ 勘定系システムの更改について 2013年7月31日
- ^ “あおぞら銀が公的資金完済 ネット銀設立を発表”. 日本経済新聞. (2015年6月29日) 2015年7月19日閲覧。
- ^ “システム移行に関する重要なお知らせ”. あおぞら銀行 2016年1月8日閲覧。
- ^ “あおぞら銀行新本店、上智大に完成 研究や授業でも連携”. 朝日新聞デジタル. (2017年4月12日) 2017年5月9日閲覧。
- ^ “あおぞら銀、上智大キャンパスの新本店開業”. 日本経済新聞. (2017年5月8日) 2017年5月9日閲覧。
- ^ “あおぞら、全ATMをゆうちょに置き換え 11月までに”. 朝日新聞デジタル. (2018年8月27日) 2018年8月28日閲覧。
- ^ “あおぞら銀行、アプリを使った新サービス「BANK」を開始 - 金利は年0.2%”. マイナビニュース (2019年7月19日). 2019年8月10日閲覧。
- ^ 保護預り債券(あおぞら債券(リッシン・リッシンワイド))買入消却の実施について 2015年6月11日(2015年6月30日閲覧)
- ^ 「あおぞら銀行 資本再構成プラン」ならびに「あおぞら銀行の目指す姿」について 2012年8月27日
- ^ 公的資金の普通株転換回避 あおぞら銀 - 日本経済新聞 2012年8月27日
- ^ 松下内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要 - 金融庁 2012年8月28日
- ^ 値上がり率 ランキング 東証1部 2012年8月28日
- ^ 主要株主による保有株式売却の意向の表明について 2012年9月27日
- ^ 自己株式(普通株式)の取得に関するお知らせ 2012年9月27日
- ^ あおぞら銀行の種類株主総会に対する対応等について 2012年9月27日
- ^ 公的資金の一部返済に関するお知らせ 2012年10月2日
- ^ “あおぞら銀、公的資金6月末に完済 配当性向引き上げ”. 日本経済新聞. (2015年5月15日) 2015年5月26日閲覧。
- ^ “あおぞら銀が公的資金完済 りそなに続き、新生銀焦点”. 共同通信. (2015年6月29日) 2015年7月19日閲覧。
- 1 あおぞら銀行とは
- 2 あおぞら銀行の概要
- 3 関連会社
- 4 自己株式取得
- 5 利息付与時期
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