gravure

実用日本語表現辞典

グラビア

英語：gravure

「グラビア」とは・「グラビア」の意味

「グラビア」とは、「Gravure」と表記され、グラビア印刷を意味する印刷用語である。

「photo gravure」の略であり、1879年にチェコスロバキアのカール・クリッチが発明した歴史がある。安価で手軽に印刷できることから、雑誌などに多く使用されるようになった。日本では、1960年代に女性タレントの写真が印刷された週刊誌から、グラビアという言葉が広まったとされる。グラビアが世間に認知されたことで、ジャニーズや有名人などの写真が印刷され、インタビューなども掲載された週刊誌などの出版物が販売されるようになった。

「グラビア」の語源・由来

グラビアの語源は、フランス語の「gravure」で版画・彫るといった意味がある。グラビア印刷は、写真のような諧調を表現するために、版画の技術を応用して作られた技術であることから、英語の写真（photo）とフランス語の版画（gravure）が組み合わさり「photo gravure」になったとされる。

「グラビア」の熟語・言い回し

グラビアには、さまざまな熟語や言い回しがある。

グラビア印刷とは

印刷手法の一つ。版に凹点を作り、インキを流し込んで印刷する凹版印刷の一種である。インキの量を調節することにより、微細な濃淡が表現できるため、写真の印刷に適している。濃淡の表現が優れており、写真の再現性の評価が高い。使用される版は、アルミや鉄による金属加工で作られており、耐久性が優れているのが特徴的で、リピートで印刷する場合や大量印刷に向いている。リピートで印刷する場合、1枚当たりのコストが安く済むが、版の制作に時間と費用がかかるため、大量に印刷しないと採算が取れない場合もある。

グラビアアイドルとは

雑誌のグラビアページや写真集などで活動する女性のアイドル、タレント、モデルを意味する和製英語。グラドルと略される場合もある。男性向けの青年誌などに掲載されることが多く、雑誌の売り上げを左右するほどの重要な存在だ。性的な魅力が重要とされ、セックスアピールが重視される傾向にある。グラビアアイドルの中でもとくに高い評価を受けた人は、グラビアクイーンと呼ばれている。芸能事務所などのプロダクションに所属するのが基本だが、フリーで活動しているグラビアアイドルも少なくない。

巻頭のグラビアとは

雑誌の巻頭（一番最初のページ）に掲載される写真のこと。雑誌の顔ともいえる重要な存在で、売り上げに大きく関係するとされる。巻頭グラビアを飾ることで一気に知名度が上がり、芸能界で売れるケースもあるため、巻頭グラビアに掲載されることを目標としているグラビアアイドルも少なくない。カラーで掲載される場合が多く、雑誌を華やかにして人目を引く効果が期待できる。知名度が高かったり、注目されているアイドルや有名人が巻頭グラビアに掲載される場合が多い。

雑誌のグラビアとは

出版物に掲載されている写真ページを意味する。写真ページを中心とする雑誌は「グラビア雑誌」、掲載されている写真は「グラビア写真」と呼ばれている。1960~1970年代に写真ページの印刷手法の主流がグラビア印刷であることから、雑誌などの出版物の写真ページがグラビアと呼ばれるようになった。グラビアは写真ページの一般的な呼称で、グラビア印刷で印刷されていなくても写真ページはグラビアと呼称される。

グラビア撮影とは

出版物に掲載する写真を撮影すること。主に女性アイドルやモデルなどを撮影するときに使われる。出版物に掲載する写真の場合は、プロのカメラマンが撮影するのが基本である。屋外での撮影だけでなく、スタジオやレンタルスペースを借りての撮影も多い。グラビアアイドルやモデル、フリーで活動するコスプレイヤーなどが、個人で撮影できるグラビア撮影会を開く場合もある。出版物に掲載しなくても写真を撮る行為そのものをグラビア撮影と呼ぶことも多い。

（2022年12月5日更新）

デジタル大辞泉

グラビア【gravure】

読み方：ぐらびあ

１ 写真製版法による凹版印刷。版面は、原画の色の濃淡に応じた深さの微細な凹点からなり、これによってインキ層の厚薄を生じ、画像の濃淡を表現する。写真・図版などの印刷に用いる。写真凹版。フォトグラビア。

２ 1で印刷された写真などのページ。グラビアページ。「巻頭—」

グラビール【(フランス)gravure】

読み方：ぐらびーる

ガラス器の表面に、グラインダーを用いて、摺(す)り模様や彫り模様を表す技法。