WiTricityの特許技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/06 03:00 UTC 版)
「WiTricity」の記事における「WiTricityの特許技術」の解説
WiTricityの磁界共振技術は、非放射型のエネルギー転送には一次側の第一共鳴場エバネッセントテールと二次側の第二共鳴場エバネセントテールの結合が介在するという理論を特徴としている。一次側と二次側に構成された二組のコイルとコンデンサによる共振器同士が共鳴(共振)してエバネッセントテールの結合の介在により電力伝送が行われるという理論であり、この磁界共振はWiTricityの提唱する結合モード理論(英: Coupled Mode Theory)に基づいているものである。しかしながらこの理論は難解なため、WiTricityのWEBサイトでは音叉の共鳴(英: Tuning fork)に例えられて説明されており、多くの日本語サイトもそれを引用して音叉の共鳴に例えて説明しようとしている。 引用の特許明細書1、特許明細書2によれば、第1共振構造の共鳴場エバネセント・テールと第2共振構造の共鳴場エバネセント・テール(簡単に言えば一次側共振器の磁界と二次側共振器の磁界)が特許請求項のエレメント(構成要件)となっており、特許解釈の一般論のオールエレメントルールに基づけば、一次側の第一共鳴場と二次側の第二共鳴場との介在が欠くことがでない必須なものとなる。つまりいずれかのエレメントが欠如すれば当該特許には該当(侵害)しない。 WiTricityの当該特許出願以前に一次側の第一共鳴場を欠く、すなわち二次側の共振構造のみで電力伝送を成立させる特許出願が多くあり、またWiTricityの特許出願以前、具体的には最も早くは1993年から実用化が始まっている。これらの実例はWiTricityの特許技術範囲ではないのは明らかである。 また一次側の共振構造と二次側の共振構造という構成を有する磁界共振は、1989年にエイト電子より出願されているために、少なくともこの技術範囲はWiTricityの磁界共振技術の特許技術範囲からは外れる。 1994年にも磁界共振がふたたび開発されており、村田製作所の開発者が『磁界共鳴技術』を発表していたが当時は普及に至らなかった。 1990年代に実用化が始まった第一共鳴場のない磁界共振の原理に基づいて改良された超電導リニアの誘導集電においては既に500km/hの走行中給電が実用化の域に達しており、2017年にはさらに多くの第一共鳴場のない磁界共振が実用化され始めている。これらの実用化例はいずれも第一共鳴場は必要としていないために、WiTricityの磁界共振技術の特許技術範囲からは外れる。 2016年12月にWiTricityはTMN (Tunable Matching Network)を発表し、日産自動車と共同で送電効率の向上と、異なるコイルシステム間の相互運用性の確保の向上という大きな成果を上げたが、一方で第一共鳴場の構成が必ずしも必要でないことが明らかとなり、それ以前に述べられてきた結合モード理論との整合性がなくなり、第一共鳴場が不要であることをWiTricity自ら明らかにすることになった。
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