Vol.3 バリー・ツイストが逃げた
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/23 22:58 UTC 版)
「ユニコーン (ポーの一族)」の記事における「Vol.3 バリー・ツイストが逃げた」の解説
1975年6月、ロンドンにて、エドガーとアランがイーストサセックスのストラトフォード・ウェルズに住むアーサー・トマス・クエントン卿にバラを送るために花屋を訪れた際、エドガーはクロエが病院に入っていくのを目撃する。エドガーは、公園のバラを見たがるアランを残してクロエの後を追う。「春の夢」でポーの村のバラを枯らして逃げ、村を追放されたクロエは、シスターとして病人たちに聖書の朗読をしながら殺さない程度に少しずつ“気”を吸い取ることで生きていた。エドガーは、かつての凶暴さをなくしたクロエにポーの村へバラを送っているというと、村のバラは100年も経てば再生するとクロエはいう。そして、クロエはエドガーに、1000年以上も昔、バリー・ツイストがバラを枯らして逃げたときのことを語って聞かせる。 9世紀頃、クロエが住んでいたヨークシャーの小さな村では流行り病のため家族を初め村中の人間が死んでしまい、クロエも死にかけていたところを、老ハンナに救われて仲間に加わった。そこには大老ポーや天使のように美しいフォンティーン、彼の異母弟のバリー・ツイストたちがいた。小さな谷にポーの村を作り始めた老ハンナとクロエたちブリトン人に対し、大老とフォンティーン、バリーら9人のローマ人たちは「ポーの一族」を名乗り、砦跡にあるトリッポの城に住みついた。やがてトリッポの城主となったフォンティーンは、大老ポーの忠告を無視し、不老を隠さず堂々と人間を狩り従えていた。フォンティーンに恋していたクロエは城で暮らしたがり、反対する老ハンナへの反発もあり、ある夜、クロエはシルバーを連れて村から城へ向かって逃げだしたところ、城と町が燃えているのを目撃する。何年経っても年を取らない城主とその取り巻きたち、周辺の村人たちが少しずつ消えていき、夜な夜な血を求めて彷徨う者たちが出没するため、トリッポの城は悪魔の城と呼ばれ、教会付きの騎士たちが征伐に向かい、大老ポーも彼らを手伝って仲間たちを燃える城に閉じ込めたのだという。そして、そこからただ1人バリー・ツイストだけが逃げのびていた。 その夏、村のバラはこれまでにないほど大輪の花を咲かせ、冬になっても咲き誇っていた。雪の日に村に戻ってきたバリーは、兄フォンティーンに会わせて欲しいと大老ポーに懇願する。フォンティーンは村の畑の下の地下深くで、美しい姿のままバラの根茎に絡みつかれて眠りについていた。冬になってもバラが枯れないでいたのはフォンティーンの力によるものだった。老ハンナの説得により村で働くことになったバリーだが、ある日、村中のバラを枯らして逃げて行ってしまった。その後、バラが再び咲くようになるのに100年近くかかった。バラが咲くようになってから、フォンティーンを近くに感じるのを嫌った老ハンナは、大老ポーとともに村を出たのだという。それを聞いたエドガーは、それから2人はウェールズのスコッティの村に来たのだと思い至る。大老ポーと老ハンナがいなくなった村に残されたクロエは、時々地下の洞窟に降りては、美しい姿のまま動かないフォンティーンを見ることに幸福を感じていた。それを聞いたエドガーは、村が好きではなかった、埋められた男を知った後ではますますいやになった、クロエも外に出て良かったのだというが、クロエは「あの地下にいた間はずっと彼は私だけのものだった」と、もうフォンティーンに会えないことを嘆く。 一方、公園でバラを見ていたアランの前にバリーが現れる。バリーはアランに以前見せた地下に作った「天国」、アランいわく「地獄」を見せたがったが、アランは拒絶する。公園からアランが去ったあと、クロエはバリーに、あの子たちに関わらない方がいい、自分は一度ひどい目にあったと忠告する。 翌1976年6月、エヴァンズ古物商の火災を目撃したバリーは、クロエが止めるのも聞かずに古物商に飛び込み、そこでアランが燃え盛る階下に落下し、その後を追ってエドガーが飛び降りるのを目撃する。意識がないまま残されたエディスを水びたしの浴槽に避難させたのはバリーだった。焼け残った古物商の前にファルカとアーサー・クエントン卿と共に立ち尽くすブランカは、「消えてない…… どこかにいる……」とつぶやく。
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