Suite HWV 441とは? わかりやすく解説

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ヘンデル:組曲(クラヴサン組曲第2集から)

英語表記/番号出版情報
ヘンデル組曲クラヴサン組曲第2集から)Suite HWV 441作曲年: 1710-1726?年 

作品概要

作品解説

2012年3月 執筆者: 丸山 瑶子

HWV441 G-dur

 様式面の未熟さから、研究史上、本作品はヘンデル初期作品位置付けられることが多かった。しかし本作品の様式は、ヘンデル初期のそれではない。更に本作品はドイツにおけるヘンデル鍵盤作品史料のいずれにも含まれておらず、現存史料状況からもヘンデル真正性疑問視されている。

 アルマンド冒頭1711年出版されクラークJeremiah Clarke練習曲選集所収のG-durのアルマンド冒頭似ており、また様式的な稚拙さからもヘンデル真正性疑われている。全体簡素な2声体で書かれ左手和声進行呈示右手旋律声部徹し声部交換見られない。ほぼ全てのフレーズは2小節単位で、動機操作風変りな転調もない。形式和声旋律構造いずれも極めて単純である。

 アレグロアリアメヌエットジグヘンデル様式特徴見られず、真の作者ウィリアム・バベルWilliam Babell推測されている。アリアは、現存写譜集の中でバベル作と明記されている写譜がある。メヌエットジグは、写譜バベル作と明記されアリア写譜と同じ写譜集に含まれるのに加え、これとは別にバベルによる写譜集にも存在することから、バベル作である可能性提起されている。

 アレグロ弱拍音階と、和声明示する低声分散和音主要動機とし、動機変形形式構成において特に風変りな点は見られない終止カデンツ楽章通して例外なく両手の平行3度下行となる。同様の音形はアリアカデンツにも見られるが、これはヘンデル作品には非特徴的である。

 メヌエット右手の単旋律左手オクターヴ和音模倣で始まる。この楽章冒頭楽節は、後にD-dur、e-moll、h-moll、そして最後に再び主調G-durで現れる。これらの冒頭楽節の間は、音階中心とした16分音符の走句で埋められる

 ロンド形式変奏というガヴォッタの構成は、1717年出版の、バベル練習曲集所収エア変奏類似する。他にも第56-64小節の音形がバベル作品との共通点として指摘されている。ドゥーブルにおける旋律装飾変奏は、分散和音音階による単純なもので、この変奏技法稚拙さも真正性否定する根拠となっている。

 ジグ前後各半部分は、は軽快跳躍トリル動機で始まる。旋律声部音階ないし分散和音反復を主とし、終止カデンツまで一様なリズム刻み続ける。休みなく続く八分音符動機反復そこまで厳格な規則性持たない旋律の上行、下行変化が、音楽流動性支えている。

 本作品で唯一真正性が高いのはクーラントである。形式構造解りやすく、楽節押し並べて2小節か4小節から成る旋律声部音階分散和音対照的な動機交替書かれている音響に関して言えばスカルラッティ思わせる密集した両手の平行3度が、前後部分対照的な音域変化もたらしている。




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